妹!?
突然少女が言い放った言葉に、僕は考えさせられた。
授業中にも訊いてきた? .......もしかして僕が眠ってた時に聞こえてきた声、なのか? そう思うとこの少女の声はあの時と似ている。いや、完全に一致している程同じだ。でもあの時の教室内にこんな女の子はいなかった。あれは僕の夢の中だけの存在じゃなかったのか。
「あれれ、もしかしたら覚えてなかったりする? どれだけぐっすり眠ってたのか」
と、呆れたような口ぶりそう言った。
「ぐっすりでわかったな。で、君は一体誰なんだ?」
ずっと気になった事を思い切って訊いてみる。それから、何で俺の家にいるのかも隙をついて訊いてみようと思った。
「んと、それはね......やっぱ秘密にしておく!」
何だよ、それ。
「むむむ、その顔は何か言いたげだね」
「当たり前だろ、身元隠してるんだから怪しいに決まってる。それに僕の家にどうやって入った」
あれ?
「そんなこといいじゃん、細かい事は。さ、早く中に入ろっ」
「全然細かくないだろ!」
何で僕、初対面なのにこんなに簡単に話してるんだ? 自分でも言うのもなんだが、僕は人見知りする方だ。なのになんで......。
彼女が先に上がって、追々僕も靴を脱いで上がった。
彼女はリングに入っていきなり
「どりゃー」
とソファーの上でダイビングした。
「佑真、これふかふかで気持ちいいね! 一体に何に使う道具なのだ」
何を言ってるんだこの子は? 今時ソファーも知らないのか。それとも家のソファーは少し高級な奴だからわからないのか。
「ソファーだよ。まぁ柔らかい椅子みたいなものだ」
「へぇーこれが椅子。見た目で気持ちよさそうに見えたから、ついつい子供っぽいことしちゃった」
子供っぽいって子供だろうが。
僕は向かい側のソファーに座って話を訊く事にする。
「で、君は何で家に入った。どうして入ったんだ? 鍵はかかっていたはずだぞ」
そう、鍵はかかっていた。なのに扉を開けた途端、この子が玄関に座っていた。
普通ならば警戒すべきなんだろうけど、何故か俺に警戒心が起こらなかった。謎すぎる。
「いいじゃないそんなことは。あっなんか飲み物ない? 喉渇いちゃった」
なんて自分勝手な奴。人の質問には答えようとしないのに自分の欲求だけは出してくる。
「駄目だ。質問に答えないと出さない」
「えーいいじゃん。このケチっ!」
足をぶらぶらさせながらそんな事を言ってくる。
「ケチじゃない! 第一俺はそんな事する権利はないはずだ」
「私はお客さんなんだよ。お客さんにお茶を出すのがマナーじゃない」
何がお客さんだ。勝手に入ったくせに。そういうのはお客さんじゃなくて悪人だろ。
「で、何でお前はこの家に居るんだ。何か用字でもあるのか?」
話が逸れてしまったので元に戻す。それにしても、こいつが居るとなんか調子狂うなぁ。
「うん、あるよ。佑真がいつも毎日がつまらないって言ってたじゃん。だから私が面白くさせようと思って来たんだ」
「面白くさせようって一体どうやって?」
「私、恵那は今日から佑真の妹になります!」