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誰かが来る?

 カチッ

 先生が黒板に書いた文章をノートに映し終わって、僕はシャーペンを置いた。

 クラスの大半はまだ書き終えておらず、黒板と睨めっこを続けている。先生は廊下に出て二階の窓から見える景色を眺めていた。

「ねぇ、ちょっと黒板見えずらいから頭下げてくれる?」

 背後から女子の声が聞こえてきた。どうやら僕の頭が邪魔のようで、見えないらしい。だったら自分で動けばいいだろと内心思っていたが、大人しく従う事にした。授業中にごちゃごちゃ言われるのが嫌いだからだ。

 僕は頭を下げ、机に突っ伏した。

「ありがと」

 後ろの女子はお礼を言うと、再び黒板と睨めっこを再開する。

 あれ、この子の名前なんだっけ? 確か皆みきって呼んでたな。でもそれはあだ名だったはず。本当の名前は.......まぁいいやそのうち思い出すだろう。

 そう思いながら目を瞑るといきなりの眠気が襲ってきて、大きなあくびが自然に出てきた。

 このまま突っ伏しているうちに授業が終わればいいな。

 そう思って時計を眺めると、始まってから30分しか経過してなかった。

「ちぇ、何で毎回同じことしてるんだろうな俺は」

 そんな事わかっているが、どうも気に食わなかったから口に出して言ってしまった。

 こんな毎日繰り返すんなら学校なんか行かない方で、家でごろごろしてた方が人生楽しいと思わないか? 好きなことやって好きな時間を使う。素晴らしいじゃないか! これだったらもし事故にあって死んでしまっても苦にならず、無事成仏できはずだ。成仏できない霊は何かに縛られて目的を達成出来てない人達が多いと聞く。だったらこんな学校や会社なんか作らなきゃいい。自分の事は自分でやる。何故大人たちはそんな世界を作らなかったのだろう? 不思議だ。実に不思議だ。

「もう書き終えたから顔あげていいよ」

 そんな声がまた後ろから聞こえてきた。だが僕はこのままでいたかったから顔を上げず、目を瞑ったまま起きなかった。何故起きなかったのかというと単純なことだ。眠たかったのだ。もう目を開ける余裕なんてない程に。もう脳みそはおねんね状態だ。こんな状態でまともに授業なんて受けられない。

「あれ、もしかして寝ちゃった? 先生に怒られても知らないよ」

 全く自分勝手だな、後ろの奴は。自分の用事が終わったらそれで終わらせるんだから。一体誰のせいで......こんな...に...眠くなったん、だと......思うんだ......。

 それから僕は睡魔に負けてしまい、眠ってしまった。



「佑真、起きて。早く起きて!」

 そんな声が僕を現実へと引き戻していく。だが完全にはまだ戻らない。

「ほら、そろそろ次の内容に入るみたいだから起きて。もう皆ノート映し終わったから」

 ......五月蠅いな、なんでぼくが起きないと駄目なんだ。まだ寝ててもいいじゃないか、眠いんだし。第一、君は一体誰だ? 何で僕を起こす。

 と皆に聞こえないように心の中で屁理屈をいってみた。

「私? 私は――」

「おい、何で僕の声が聞こえるんだ!?」

 口に出して言ってないのに僕の質問に対して答えようとした。あまりにも驚いた事なので、彼女が言い終わるのを待たず僕は叫んでしまった。

「お、皆書き終わってたか。じゃあ次の内容に入るぞ、教科書を次のページに開いて。寝てる奴は寝言言ってないでとっと起きろ」

 その先生の話が終わるのと同時に僕はハッと目が覚めて起き上った。この時不思議に僕は眠気が飛んでいたのだった。

 クラスの皆は何故か僕を見てクスクスと笑っていた。


 今日の授業が全て終わり、部活に所属していな僕はまっすぐ家に帰った。家に帰ったって家には誰もいない。僕は一人っ子で両親は共働きだからだ。

 ポケットから家の鍵を取り出し、鍵を開ける。

「おっおかえり佑真!」

「――!?」

 僕は心臓が飛び出そうな勢いで驚いた。家には誰もいないはずなのに、玄関に中学生くらいの女の子が足を伸ばして座っていたからだ。

「......君、誰?」

 恐る恐る聞いてみる。

 女の子は右の頬を爪を立ててで掻いていた。

「それ、授業中にも訊いてきたよね。もう、折角私が答えようとしたのに佑真が言葉を遮っちゃうんだから」

 授業中? この子は何を言ってるんだ?

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