第1章 第8話 覚醒と神流
敵の振り下ろすこん棒が空気を引き裂きながら三人の頭上に落とされようとしていた
三人が諦めかけたとき目の前に黒い影が現れた
「なっ…」
レオが息を呑む
自分の数倍はあろうこん棒を片手で止めているシルトの姿があった
「おおおおぉ?」
敵も異変に気がついたらしく不思議そうに声を上げていた
「許さない・・・」
普段不の感情をまったく表に出さないシルトが静かな怒りの篭った声で呟いた
「許さない…よくもカインを!!」
三人はシルトの右腕に見慣れない光る腕輪を目にした
「あ・・・あれは?」
ミアがシルトに問いかけたしかしシルトは答えないすると
「あれは星の王が持つ星の力を引き出すことのできる腕輪」
シロが後ろから答えた
「星の力?」
ミアが尋ねるとシロはうなずいた
「こんなに早く覚醒するとは思いませんでしたが」
シロはじっとシルトの方を見つめていた
何か考え込むかのようにとっていたシルトが不意に呟いた
注意していないと聞き逃してしまいそうなほど小さな声で
「【神流・烈火】」
そう呟くとシルトの右手に炎の如く紅い両刃の剣が現れた
シルトは剣を構えると居合いの要領でこん棒をぶった切った
「あのこん棒をまるでバターのように切るなんて・・・」
信じられないといった顔をしてミアはシルトを見つめた
敵がこん棒の切れ端をシルトに投げた
しかし、シルトはまったく気にした様子もなく剣から漏れ出す炎で焼き尽くした
「でもシルトは神流をつかえないはすじゃあなかったの」
ミアはレオに問いかけた
「あ…あぁこの前までは出せなかった 昨日今日目覚めなていたってこともありえるが俺たちに内緒にしておく必要が無いし二・三日で使いこなせるようになるほど神流は甘くない」
レオも困惑していた
すると、シロが解説を始めた
「あれは星剣に刻まれた星の王の武器・神流の一つです」
すらすらと解説をした
(一つ?)
ミアは疑問に感じたが敵が動き出したのでそちらに気をとられてしまった
敵が勝ち目が無いと悟って逃げ出したのだ
意外と素早い敵に体格の差から徐々に差が広まっていった
「あの距離じゃあもう剣戟がとどかねぇ」
悔しそうにレオが呟いた
「まだだ【神流・疾風】」
紅い剣が掻き消えて変わりに碧の大鎌が現れた
シルトが大鎌を両手で握り大きく振ると鎌鼬のように斬戟が放射状に広がり
斬戟が敵の胴体に達するとまるではさみで紙を切ったかのように切り裂かれた
むせるような血の匂いが風と共にやってきた
「たった一人で半巨人族を倒したのか・・・」
レオが驚きに満ちた目でシルトを見た
大鎌が消えるとシルトの腕には腕輪が装備されていた
カインを背負ったレオとミアの三人が近寄るとシルトが糸の切れた操り人形のように倒れた
「2種類の神流を使うなんて」
ミアが誰にも聞こえない声で呟いた
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