第2章 第02話 修行と正座
オリトの襲撃以降シルトは、憑き物でも付いたかのように図書館に入り浸っては魔術の勉強を始めた。
「そんなに根をつめては体を壊しますよシルト・・・」
心配そうな瞳で見つめるシロにシルトは、
「心配しなくても大丈夫だよ自分の限界は知っているから」
と暗い顔で返してきた
「それにもう遅いから帰ろうか」
笑顔で言っているが付き合いのあまり長くないシロでさえ無理しているのが分かった
「シルト様・・・」
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《ミアの部屋》
「折り入って相談があるんだけど」
前回色々あって行く事の出来なかった部屋にシルトは着ていた
「へぇ~シルトが相談とはめずらしいこともあるものね」
普段人に相談することないシルトが相談を持ちかけてきたので正直驚いていた
「実は・・・僕に魔術を教えてほしいんだ」
「いいわよ」
「ごめんそうだよね普通はいいよとはいえ・・・・え?」
予想外の反応にシルトは目を白黒させていた
「いいの?」
「別に構わないわよ」
「でも巫女の仕事とかは大丈夫なの」
巫女は結界の維持や結界系魔術の修行などで忙しく実際2年ほど前までミア自身学校に行く暇も無いほど忙しかった(実際は学業も修行に入っていた)
「2年前みたいに見習い巫女や一般の巫女ならさすがにシルトの頼みでも断ったかも知れないけど今の私は、自慢じゃないけお寺にも18人しかいない上位巫女の一人よ教えることはあっても教えられることなんてほとんどないわよ」
あきらかに自慢だが指摘すると狩られるので(主に命が)黙っていた
「だから貴方一人に魔術を教える時間くらい取れるわよ」
「じゃあお願いしてもいいかなお礼はするから」
そういうと機嫌がよさそうに笑顔なシルトに時間と場所を指定した
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《修練場》
雲一つない青一色に染まる空
ただただ粘土質の地面が広がる空間
修練場といわれ予約さえすれば基本的に誰でも使用可能な運動場のようなところにシルトとシロ、ミアがいた
「今日は初日だから魔術についての説明から始めるわ」
ミアがシルトとシロに説明を始めた
「まず始めに魔術とは体内に眠る魔力を自らの意思で操作して現世に奇跡(魔法)を発現させる力のことよ」
「発現させる方法は地方によって異なっていて私たちが住む大陸を東西南北で四つに割ってそれぞれ、北方魔術・南方魔術・東方魔術・西方魔術といわれていて」
「それぞれ異なった魔術形態を持っていて私が教えられるのは私たちが住んでいる・・・」
「東方魔術だね」
ミアが答える前に答えを言ったシルトそして気にせず続けるミア
「そうそして東方魔術は、他の3つの魔術形態の中でもっとも新しく出来た形態で他の3つの流れを汲んだ術式も多く存在しているわ」
ミアの永遠とも思えるほど長い魔術説明はとうとう歴史にまで遡った
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(3時間後・・・)
青く澄み渡っていた空は茜色に転身し説明開始当初は自身の身長程度しかなかった影が今では数倍の長さになっていた・・・
「というわけでそのときの戦争で活躍した魔術師であるアリアルベーゼと数人の弟子が使用していた魔術が東方魔術の原型といわれています・・・」
言い終わるとミアは周りを見渡して
「じゃあもう遅いから続きは2日後の今日と同じ時間に」
(やっと終わったのか・・・)
修行が終わると3時間正座をし続けてもはや感覚のなく歩けないシルトをおいて帰ってしまった
余談だがその後シロの肩を借りて帰るシルトだった
この後の修行パートに入るべきか入らざるべきか迷ってます・・・