第2章 第01話 発言と意思
シルトが襲撃されてから3日後・・・
シルト カイン レオ ミア シロの5人は久々の平和を謳歌していたはずだった
「「「襲われた?(だと?)(ですって?)」」」
疲労のあまり丸2日ほど寝込んでいたシルトも復活してトゥワイスそしてオリトのことを説明した
「そのこと誰かに話したの?」
ミアは心配そうに尋ねてきた
「いやまだ誰にも話していないそれに話してもどうしようもないしねおそらく襲ってきた二人とも半巨人より数段階強い」
シロを除く3人は息を呑んだ当然といえばとうぜんである
3人で戦ってもろくに手傷も負わせることのできなかった半巨人、そしてそれよりも強い敵
「まじかよ・・・」
レオが呟いた
「残念ながら本当だよ」
シルトの言葉で場の氷付いた
「シルトを襲った奴は二人組みなんだろうか」
カインが尋ねた
「その可能性は低いと思います」
シロが答えた
「二人とも戦闘に特化した人物に見えました下級とはいえ結界に守られた居住区に侵入させるのは魔術に特化した人物が複数名必要でしょう」
居住区に張り巡らせている結界は万能ではない人や物資空気に水など遮断してはならないものがある異常ある程度の隙間が存在する
この世界には人間以外にも高度な知識を持ち人間と交友を持つ亜人も多く存在するそのため高度ではあるが認識妨害及び認識変換系統の術式を使用すれば結界をすり抜けることが理論上可能である
しかし、結界は莫大な魔力を使用にて作られまたミア達のような巫女により常に探査や調査などの術式によって通過するものを調べている
また、認識妨害及び認識変換系統の術式は対象と異なる存在に見せようとすればするほど多大な魔力を消費する
半巨人を通行可能な亜人に変化させるのには熟練の魔術師数人を必要とする・・・
「仮に結界に細工したとしても同じく人数を必要とするでしょう」
「その可能性はないわ」
ミアが反論した
「大婆様クラスの人物なら結界を改変することも可能でしょうがその日、大婆様は外に出ていないし他の巫女に一切知られることなく結界に干渉できる人物が寺に入ったのなら巫女の誰かが確実に気づくわ」
「そうですね目的が主シルトだった以上そんな人物が侵入したのならその人物が襲ったほうが早いし確実ですね」
シロも納得したようだ
「半巨人とシルトを襲った人物が同一の組織とも断定する要素がないしな」
カインの意見も一理ある前者は単純に事故もしくは別の事件で偶然襲われたということもありえるのである
カイン ミア シロの3人で会議が白熱していく中レオとシルトは別の話をしていた
「襲った奴より今後どうするかだな」
普段からは考えられないような真剣な顔をしたレオ
「うん」
そのことについてはシルトも考えていた・・・
「もう襲ってこないなんてことは無いだろうし・・・」
レオの不安そうな態度をよそにどこか達観した様な表情をしたシルト
「大丈夫だよカイン」
そう言うとシルトは窓の外・・・白く濁った曇天の空を見つめながら
「これ以上みんなに迷惑はかけられないからぼくは・・・・」
どこまでも空を覆いつくす雲を見ながらシルトは何かを決意したかのように答えた
そんなシルトをただ呆然とレオは眺めていた
「シルトおまえ・・・」
その声は、後ろの三人の声にまぎれ虚空へと消えていった