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昭和に逆行した俺、バブル前に仕込んで億万長者になる  作者: 柿の木


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第46話:残すものを選ぶ

昼休みの少し前、恒一は窓際の机の前に立っていた。


基準の紙。

昨日更新したもの。


その下に、別の紙が一枚増えている。


誰かが書いたものだ。


簡単なメモのような内容。


「ここをこうするといい」

「この順番のほうがわかりやすい」


そういった補足が、いくつか書き足されている。


「……増えたな」


小さく呟く。


昨日までは、自分が作ったものだけだった。


今は違う。


他の人間の情報が混ざり始めている。


それ自体は悪くない。


むしろ、自然な流れだ。


だが――


「……少し多いか」


そう感じる。


情報が増えると、便利になる。


だが、同時に迷いも増える。


何を見ればいいのか。

どこが重要なのか。


それがぼやける。


「これ、誰書いた?」


近くにいた一人に聞く。


「え、俺」


「なんで足した?」


「なんか、ここわかりにくいって言われたから」


「……なるほど」


意図はわかる。


ズレを直そうとしている。


それ自体は正しい。


だが、全員が同じことをやるとどうなるか。


「……見にくくなるな」


そう呟く。


実際、基準の紙が少しごちゃついている。


読むのに時間がかかる。


それは良くない。


(……選ぶか)


そう決める。


全部を残す必要はない。


必要なものだけ残す。


それが次の段階だ。


チャイムが鳴る。


昼休みが始まる。


いつものように人が集まる。


だが、今日は少し違う。


「これ、どれ見ればいいの?」


一人がそう言う。


机の上を見ている。


基準。

補足。

別の紙。


確かに、迷う。


「これだけでいい」


そう言って、基準の紙を指差す。


「他は見なくていい」


それだけ。


相手は少しだけ迷った顔をしたが、頷いた。


「……わかった」


その反応を見て、さらに確信する。


(減らしたほうがいいな)


必要な情報だけ残す。


それが一番強い。


別の子が言う。


「でも、これもあったほうがよくない?」


補足の紙を指差す。


「これ書いたやつ」


「うん」


少しだけ考える。


全部否定する必要はない。


だが、そのまま置くのは違う。


「それ、一回外す」


「え?」


「必要なら、ここに入れる」


基準の紙を指差す。


「全部別にするんじゃなくて、必要なとこだけ足す」


それだけ説明する。


相手は少し考えてから頷いた。


「……そっちのほうがいいか」


その言葉で十分だ。


その場で、補足の紙を外す。


机の端に置く。


基準の紙だけを残す。


少しだけスッキリする。


「……見やすいな」


誰かがそう言う。


「だろ」


短く答える。


それだけでいい。


数分後。


また一人が来る。


「これ、ここどうする?」


基準の紙を見ながら聞いてくる。


「どこ?」


指差された部分を見る。


少しだけ曖昧な箇所。


昨日までなら、その場で説明していた。


だが、今日は違う。


「ここ、書き足すか」


そう言って、ペンを取る。


一行だけ足す。


「ここは一文でいい」


それだけ。


書き終えて、全体を見る。


「……これでいい」


前よりも少しだけ強くなった。


余計なものはない。


必要な部分だけある。


(……こういうことか)


自然に理解する。


全部を増やすのではなく、選ぶ。


残すものを決める。


それが重要だ。


昼休みの後半。


流れはさらにスムーズになっていた。


最初に基準を見る。

迷ったら一箇所だけ直す。

それで終わる。


無駄がない。


(……だいぶ整ったな)


そう思う。


最初の頃とは、まったく違う。


その場の対応から始まり、今は仕組みとして動いている。


放課後、家に帰る。


机に向かい、今日の流れを整理する。


ノートに書く。


・情報が増えると迷う

・必要なものだけ残す

・一箇所の修正で整う


ペンを止める。


そのあと、ゆっくりと書き足す。


「削る側になる」


これが今日の一番の変化だった。


作る側。

広げる側。


そこから、削る側へ。


その役割の変化。


「……これ、強いな」


自然にそう思う。


前世では、増やすことばかり考えていた。


情報を足す。

機能を足す。

価値を足す。


だが、それでは重くなる。


今は違う。


削る。


残すものを選ぶ。


それで精度が上がる。


原稿用紙を出す。


今日のテーマは決まっている。


“残すものを選ぶ”


増やすだけでは足りない。


削ることで、強くなる。


その流れ。


書き始める。


昨日までの更新。

今日の削減。

情報の整理。


それを一つの流れにする。


最後に残す一文を決める。


「全部は残さない」


そこに絞る。


書き終える。


前よりも、さらに無駄がない。


構造がはっきりしている。


「……いいな」


そう思う。


封筒に入れる。


今回は一瞬も迷わない。


外に出る。


ポストの前に立つ。


(これ、わかるな)


そう思う。


見ている側なら。


この変化は明確だ。


書き方ではない。


選び方。


その違い。


投函する。


音がする。


それで十分だ。


家に戻り、布団に入る。


目を閉じると、今日の机の上が浮かぶ。


増える。

迷う。

削る。

整う。


その流れが、はっきりと見える。


「……選ぶか」


小さく呟く。


残すものを選ぶ。


それだけで、全体が変わる。


「……次は」


さらに一歩進めるなら――


“残す基準”か。


何を残すかを、どう決めるか。


その考えが、静かに浮かんでいた。


目を閉じる。


仕組みは、さらに磨かれた。


次は、その精度をどう上げるか。


その段階に、確実に入っていた。

私の2作目

「神様転生したはずが赤ん坊の自分に転生していた件」

は修正のために一時的に更新を停止しました

代わりとして新作を投稿します

「遊びで山をいじったら、日本が変わり始めた。」

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