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昭和に逆行した俺、バブル前に仕込んで億万長者になる  作者: 柿の木


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第43話:集まる場所が生むもの

昼休みの少し前、恒一は席を立った。


いつもなら机の上で対応する。

紙を出して、渡して、説明する。


だが今日は違う。


「……場所、決めるか」


小さく呟く。


昨日考えたこと。


基準を作る。

そして、それを見る場所を作る。


そのためには、固定の場所が必要だった。


教室の後ろ。

窓際の空いているスペース。


人が集まっても邪魔になりにくい場所。


そこに、机を一つ動かす。


「何してんの?」


同じクラスの一人が声をかけてくる。


「ここでやる」


「やるって?」


「作文のやつ」


それだけ言う。


相手は少しだけ考えてから頷いた。


「じゃあ、昼ここ来ればいいの?」


「ああ」


それで十分だった。


昼休みのチャイムが鳴る。


いつも通り、何人かが声をかけてくる。


「今日もいい?」


「場所変えた」


「え?」


「後ろ」


それだけ伝える。


数人がついてくる。


窓際の机の周りに、人が集まる。


「ここでやるの?」


「ああ」


机の上に紙を並べる。


基本三枚。

補助一枚。

そして昨日作った“基準の一枚”。


「これが一番大事」


そう言って、一枚を指差す。


「これ見て、足りなければ足す。多ければ削る」


それだけ。


説明は短くする。


あとは見て、使わせる。


一人が紙を手に取る。


読む。


「……ああ、これわかりやすい」


別の子も覗き込む。


「前より簡単じゃない?」


「簡単にした」


それだけ答える。


数分で、周りに六人ほど集まる。


いつもより少し多い。


だが、今回は違う。


全員が同じ紙を見ている。


同じ場所で。


「これ、どこ足せばいい?」


一人が聞く。


その問いに、別の子が先に答える。


「ここじゃね?」


「でもそれだと多くない?」


「じゃあこっち削る?」


会話が発生する。


自分が何も言わなくても、やり取りが始まる。


(……いいな)


そう思う。


今までは、一対一だった。


今は違う。


一対複数。

そして、複数同士。


その中で、考えが回る。


「……ここはこうだな」


一言だけ補足する。


全部は言わない。


方向だけ示す。


それで十分だ。


別の子が紙を持ってくる。


「これ、どう?」


見る。


少し長い。


だが、まとまっている。


「一箇所だけ削ればいい」


そう言う。


「どこ?」


指で示す。


「ここ」


それだけ。


相手はすぐに消す。


読み返す。


「……あ、いいかも」


その反応で十分だ。


一つ直せば、全体が整う。


それが伝わっている。


だが、同時に新しいズレも出てきた。


「これ、どっちが正解?」


二枚の紙を持ってくる。


内容は似ているが、少し違う。


片方は短い。

もう片方は少し長い。


(……来たな)


選択の問題。


今までは、単純だった。


削るか、足すか。


だが、今は違う。


複数の“正しさ”が出てきている。


「どっちもいい」


そう答える。


「え?」


「状況で変わる」


「どういうこと?」


少しだけ考えてから言う。


「時間がないなら短いほう。余裕あるなら長いほう」


それだけ。


相手は少し考えてから頷いた。


「……なるほど」


それでいい。


正解は一つではない。


状況で変わる。


その感覚を渡す。


(……一段上がったな)


そう思う。


今までは“やり方”だった。


今は“判断”に入っている。


放課後、家に帰る。


机に向かい、今日の流れを整理する。


ノートに書く。


・場所を作ると回る

・他人同士で考え始める

・正解が複数になる


ペンを止める。


そのあと、ゆっくりと書き足す。


「判断を渡す」


これが今日の一番の変化だった。


やり方ではなく、判断。


それを渡すことで、動きが広がる。


「……これ、投稿も同じだな」


自然にそう思う。


一つの書き方だけではなく、複数の見方。


それをどう使うか。


読む側も、それを感じる。


原稿用紙を出す。


今日のテーマは決まっている。


“集まる場所”


人が集まることで何が起きるか。


ズレ。

修正。

判断。


それを一つの流れにする。


書きながら、自然と整理される。


どこで引くか。

どこで寄るか。


前よりも、視野が広い。


「……これでいい」


書き終える。


前よりも、少しだけ“自分以外”が入っている。


それが大きい。


封筒に入れる。


今回は迷いはない。


外に出る。


ポストの前に立つ。


(これも見られる)


その感覚が、さらに強くなっている。


ただの一枚ではない。


流れの中の一つ。


投函する。


音がする。


それで十分だ。


家に戻り、布団に入る。


目を閉じると、今日の窓際の光景が浮かぶ。


人が集まる。

話す。

直す。

決める。


そのすべてが、一つの流れになっていた。


「……場、か」


小さく呟く。


ただの紙ではない。


ただの説明でもない。


人が集まることで、動くもの。


それができ始めている。


「……次は」


さらに一歩進めるなら――


“残す”か。


その場だけで終わらない形。


その考えが、自然と浮かんでいた。


目を閉じる。


流れは、形になった。


次は、それをどう残すか。


その段階に、確実に入っていた。

私の2作目

「神様転生したはずが赤ん坊の自分に転生していた件」

この作品は一言で言うと神様に笑われた男が世界を笑えなくするです。(自分でも導入で笑ってしまいました)

良かったらどうぞよろしくお願いします

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