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昭和に逆行した俺、バブル前に仕込んで億万長者になる  作者: 柿の木


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第35話:一歩先に出るということ

掲載されたページを閉じたあとも、恒一はしばらく机の前に座ったままだった。


書き直した原稿が載った。


それ自体は、これまでと大きく変わらない。

何度も経験してきたことだ。


だが、今回は違う。


一度ズレて、修正して、出し直したもの。


その“後”が、ちゃんと結果として返ってきた。


「……確認できたな」


小さく呟く。


やり方は間違っていなかった。


削りすぎない。

流れを残す。

一つだけ強くする。


その調整が、外にも通じた。


それがわかっただけで十分だ。


机の上に置いた封筒をもう一度見る。


中村からの短い文章。


“前回よりも、印象がはっきりしていて良かったです。”


その一文が、静かに効いていた。


比較されている。

そして、変化を見られている。


(次も同じじゃダメだな)


自然にそう思う。


今までのように“安定”を積むだけでは足りない。


いや、必要ではある。

だが、それだけでは止まる。


一段、上に出る必要がある。


「……何を変えるか」


ノートを開く。


白いページ。


そこに、ゆっくりと書く。


・テーマ

・構成

・視点


どれを動かすか。


全部変える必要はない。

むしろ、それは危険だ。


一つだけでいい。


「視点、か」


そう決める。


今までは、自分の見たこと、自分の感じたことを書いてきた。


それは強みだ。


だが、それだけだと限界が来る。


読む側が慣れる。


なら、少しだけズラす。


自分ではなく、別の立場から見る。


「……やれるか?」


少しだけ考える。


難易度は上がる。

だが、不可能ではない。


前世で、相手の立場を考えて文章を書くことは何度もやってきた。


営業でも、資料でも。


視点を変えるだけで、伝わり方は大きく変わる。


「やってみるか」


そう決める。


翌日。


学校で、いつものように作文の話が出た。


「次のテーマさ、なんか普通すぎて書けないんだけど」


一人が言う。


「どんなの?」


「家族のこと」


ありがちなテーマだ。


だからこそ、差が出にくい。


恒一は少しだけ考えてから言った。


「自分じゃなくて、家族の目線で書いてみれば?」


「え?」


「例えば、お母さんから見た自分、とか」


「それってアリなの?」


「ズレてなければ大丈夫だと思う」


完全な正解ではない。

だが、一つの方法ではある。


相手は少し考えてから言った。


「……それ面白いかもな」


その反応を見て、恒一は確信する。


(やっぱり効くな)


視点を変える。


それだけで、新しくなる。


自分の投稿にも使える。


放課後、家に帰る。


机に向かい、原稿用紙を出す。


今回のテーマを決める。


日常の中の一場面。


それを、“自分以外の視点”で書く。


頭の中で構成を組む。


誰の目で見るか。

何を感じるか。

どこを強くするか。


「……ここだな」


一つ決める。


書き始める。


最初は少しだけ違和感があった。


自分ではない誰かの視点。


言葉の選び方が変わる。


だが、それが面白い。


「……これ、いいな」


書きながら思う。


今までとは違う広がり方をする。


同じ出来事でも、見え方が変わる。


それだけで、新しくなる。


途中で一度、手を止める。


削りすぎないように。

流れを残すように。


前回の反省を活かす。


書き終える。


少し長い。


だが、読み直しても崩れていない。


そして、最後に残るものもある。


「……前よりいいな」


自然にそう思えた。


机の横に置いた、前回の掲載ページと見比べる。


違いははっきりしている。


安定した文章。

そこから少しだけズレた文章。


どちらも必要だ。


だが、今は後者のほうが価値がある。


(これ、どう出るかだな)


封筒を用意する。


だが、すぐには入れない。


一度だけ、時間を置く。


前回の反省だ。


「……明日出すか」


そう決める。


その一晩が、意外と大きい。


翌朝、もう一度読み返す。


問題ない。


むしろ、少しだけ良く感じる。


「……これでいい」


封筒に入れる。


ポストへ向かう。


今回は、手は止まらなかった。


投函する。


音は同じ。


だが、感覚は少し違う。


「……一歩出たな」


そう思う。


安定から、少しだけ外へ。


その一歩。


家に戻る途中、頭の中で整理する。


今回の変更点。


視点を変えた。

だが、構造は変えていない。


それでいい。


全部を変える必要はない。


一つずつでいい。


夜、布団に入る。


目を閉じながら、編集部のことを思い出す。


中村宏太。

そして、あの気配。


(……見てるなら、これも見るな)


そう思う。


なら、出す価値はある。


ただの繰り返しではない。

少しだけ変えたもの。


それをどう評価するか。


それもまた、確認になる。


「……次だな」


小さく呟く。


投稿は続く。

価値提供も続く。


そして、その両方が少しずつ繋がっていく。


目を閉じる。


今日出した一枚が、また次に繋がる。


その確信が、静かに形になり始めていた。

私の2作目

「神様転生したはずが赤ん坊の自分に転生していた件」

この作品は一言で言うと神様に笑われた男が世界を笑えなくするです。(自分でも導入で笑ってしまいました)

良かったらどうぞよろしくお願いします

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