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昭和に逆行した俺、バブル前に仕込んで億万長者になる  作者: 柿の木


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第34話:もう一度繋がる線

33話を7:40に作り直しましたので先にお読みください

ポストに原稿を入れてから、数日が経った。


いつもと同じ時間が流れている。


学校へ行き、帰ってきて、机に向かう。

作文の話をし、ノートにまとめ、また書く。


変わらない日常。


だが、その中に一つだけ、静かな違いがあった。


(今回は、どう出るか)


再投稿した原稿。


一度出して、ズレに気づき、書き直したもの。


今までとは少し違う流れだ。


普通なら、一度出したらそれで終わり。

だが今回は違う。


自分の中で納得できる形にして、もう一度出した。


その差が、どう出るか。


「……まあ、待つしかないか」


そう呟きながら、恒一はノートに目を落とす。


今日も一つ、短い文章を書いていた。


すぐに出すわけではない。


ただ、積む。


この数日で、少しだけ感覚が変わってきていた。


一つに絞る。

だが、流れは残す。


削る。

だが、削りすぎない。


そのバランスが、少しずつ掴めてきている。


「……前よりいいな」


自分でそう思える。


それだけで、進んでいる証拠だ。


昼休み。


例の作文の話をしていたグループの一人が、少し嬉しそうに言った。


「書き直したやつ、今度ちゃんと褒められた」


「どこが?」


「ここ」


指差されたのは、前に恒一が指摘した“繋ぎ”の部分だった。


「いいじゃん」


「前よりわかりやすいって」


「それなら正解だな」


そう言うと、相手は満足そうに笑った。


(やっぱり、そこか)


削るだけではダメ。

残すだけでもダメ。


その間。


そこを掴めば、結果は変わる。


それは投稿でも同じはずだ。


放課後、家に帰る。


机の上には、まだ何も届いていない。


当然だ。


出してから、まだ数日しか経っていない。


「……気にしすぎだな」


自分で自分に言い聞かせる。


結果を急がない。


それはわかっている。


だが、今回は少しだけ意識してしまう。


一度ズレて、直して出した。


その分、どうしても気になる。


(まあ、来るときは来る)


そう切り替え、ノートを開く。


今日のまとめを書く。


・削ると残すのバランス

・他人の反応で確認

・焦らない


ペンを止める。


そのとき、ふと昨日の編集部のことを思い出した。


あの部屋。

中村宏太の言葉。

そして、最後に言われた一言。


“今のままでいいと思うよ”


あの言葉は、今でも少し引っかかっている。


そのままでいい。


だが、同時に、それだけでは足りない気もする。


(どっちだ)


考える。


そのままでいいのか。

それとも、変えるべきなのか。


答えは、すぐに出た。


「……両方だな」


土台は変えない。

やり方は変えない。


だが、精度は上げる。


急がない。

だが、止まらない。


それなら、矛盾しない。


「……これでいい」


そう整理したとき、玄関の方で音がした。


「恒一、手紙来てるわよ」


母の声。


その一言で、空気が少しだけ変わった。


立ち上がる。


急がないように歩く。


だが、足は少しだけ早くなっていた。


差し出された封筒を見る。


見慣れた形式。


出版社からのもの。


「……来たか」


小さく呟く。


手に取る。


重さは、いつもとほぼ同じ。


特別厚いわけでもない。


だが、今回は意味が違う。


一度出したあとに、出し直した原稿。


その結果が、ここにある。


部屋に戻る。


机の前に座る。


封を切る前に、一瞬だけ手が止まる。


(まあ、どっちでもいい)


そう思う。


載るか、載らないか。


それ自体は重要だが、それだけではない。


今回は、過程が違う。


ズレて、直して、出した。


その結果がどうなるか。


そこが重要だ。


封を開ける。


中身を取り出す。


紙を広げる。


目を通す。


数秒。


そして――


「……載ってるな」


静かにそう言った。


掲載通知。


そして、掲載ページのコピー。


そこにある文章は、間違いなく“書き直したほう”だった。


一度目に出したものではない。


修正したもの。


それが選ばれている。


「……そっちか」


少しだけ、口元が緩む。


狙い通り、とまでは言わない。


だが、方向は間違っていなかった。


削りすぎは弱い。

バランスが必要。


その判断が、結果として出た。


「……いいな」


小さく呟く。


この一回で何かが変わるわけではない。


だが、確認はできた。


自分の修正は、ちゃんと外に通じる。


その事実は大きい。


封筒の中には、もう一枚紙が入っていた。


短い文章。


手書きではないが、どこか柔らかい文面。


「先日の来訪、ありがとうございました。今回の投稿も拝見しました。前回よりも、印象がはっきりしていて良かったです。今後も楽しみにしています。」


「……中村か」


そう思う。


文面の温度が、あの時と同じだ。


過剰ではない。

だが、ちゃんと見ている。


「前回よりも、か」


その一文が効いていた。


ただ載っただけではない。


比較されている。


そして、変化が見られている。


(やっぱり見てるな)


当然だ。


一度会っている。


ただの投稿者ではない。


その前提で読まれている。


なら、次も同じだ。


「……悪くない流れだな」


封筒を机に置く。


掲載されたページをもう一度見る。


自分の文章。


少し前の自分より、確実に良くなっている。


それが、形として残っている。


夜、布団に入る。


今日のことを頭の中で整理する。


再投稿。

掲載。

評価。


すべてが繋がっている。


「……これ、いけるな」


そう思う。


投稿でも。

価値提供でも。


やり方は同じだ。


試す。

ズレる。

直す。

また出す。


その繰り返し。


そして、それを見ている人間がいる。


中村宏太。

そして、まだ姿は見えないが、もう一人。


その視線がある限り、止まる理由はない。


目を閉じる。


次に書くものは、また少しだけ精度が上がる。


その確信が、静かに積み上がっていた。


線は、もう一度繋がった。


今度は、少しだけ太くなっていた。

私の2作目

「神様転生したはずが赤ん坊の自分に転生していた件」

この作品は一言で言うと神様に笑われた男が世界を笑えなくするです。(自分でも導入で笑ってしまいました)

良かったらどうぞよろしくお願いします

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