第4話:最初の仕込み
「母さん、ちょっといい?」
夕食後、声をかける。
「なに?」
「雑誌に投稿したいんだけど」
母は少し驚いた顔をする。
「雑誌? 作文みたいなの?」
「うん、そんな感じ」
完全な嘘ではない。
ただ、“未来を知っているだけ”だ。
「……いいけど、ちゃんとやるのよ?」
「うん」
(許可は取れた)
部屋に戻る。
問題は、どう書くかだ。
未来をそのまま書けばいいわけじゃない。
(“予測”に見せる必要がある)
例えば――
・これから流行る遊び
・売れる商品
・若者の動き
断言ではなく、傾向として書く。
(外れてもおかしくない形にする)
それでいて、当たる。
(信用を積み上げるための文章だ)
鉛筆を握る。
⸻
「今後、子供向けの娯楽は家庭内に移行していく可能性があり――」
⸻
未来のファミコンブームを、“それっぽく”ぼかす。
(よし、いい感じだ)
数時間後。
原稿が完成する。
「……これで、第一段階だな」
すぐに金になるわけじゃない。
だが――
(ここから全部繋がる)
信用。
実績。
そして、資金。
それらを積み上げていけば、
やがて来る“本番”で一気に跳ねる。
(バブルまで、あと十年)
長いようで、短い。
「……余裕で間に合うな」
小さく笑う。
まだ誰も気づいていない。
この静かな時代の中で、
一人の男が未来を使って動き始めていることを。
今まで読み専だったけどこんなストリートをもっと読みたいと思ったけどないから書いてみました
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