第2話:神童と呼ばれるまで
「高瀬、今日の問題わかるか?」
教師の声に、教室の空気が少し張り詰める。
黒板には、少し難しめの文章題。
周囲の子供たちは、ざわざわと騒いでいる。
(……簡単だな)
高瀬 恒一は、静かに手を挙げた。
「はい」
「お、珍しいな。じゃあ高瀬」
前に出る。
チョークを持つ。
少しだけ、手が小さいことに違和感を覚える。
だが――
(やることは同じだ)
式を書く。
一つずつ、順序立てて。
「えっと、まずここをこう考えて――」
言葉にして説明する。
できるだけ、子供でも理解できるように。
書き終わる。
振り返る。
「……これで、三分の二です」
教室が静まる。
教師が、少し間を置いて言った。
「……正解だ」
ざわっ、と空気が揺れる。
「なんでわかるの?」
「すごくね?」
(よし)
だが、ここで調子に乗らない。
重要なのは、一回の正解じゃない。
(“継続してできるやつ”だと思わせること)
その日から、恒一は少しずつ“できる生徒”として振る舞い始めた。
全部を完璧にやるわけじゃない。
だが――
•難しい問題は確実に解く
•簡単な問題はあえて少しミスする
•先生の質問には的確に答える
(目立ちすぎず、でも印象には残る)
数日後。
教師が職員室で言っているのを、偶然耳にした。
「高瀬、あいつちょっと違うな」
(いい流れだ)
“神童”と呼ばれるには、まだ早い。
だが――
(このポジションは、後で効いてくる)
未来を変えるための、最初の布石が打たれた。
今まで読み専だったけどこんなストリートをもっと読みたいと思ったけどないから書いてみました
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