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昭和に逆行した俺、バブル前に仕込んで億万長者になる  作者: 柿の木


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第10話:原稿料という未来

小さな掲載から数日後。


また封筒が届いた。


今度は、前より少し厚い。


差出人は同じ編集部。


恒一は封を見た瞬間、心臓が一つ大きく跳ねるのを感じた。


部屋に戻って開ける。


中には手紙と、郵便為替らしきものが入っていた。


文面を読む。


掲載のお礼。

今後も投稿を歓迎すること。

そして――


些少ですが、謝礼を同封いたします。


「……え」


声が漏れる。


金額は大きくない。


前世の感覚でいえば、ランチ代にも届かないような額だ。


だが、恒一はしばらくその数字から目を離せなかった。


(稼いだ)


投資ではない。


親からの小遣いでもない。


誰かに言われた仕事でもない。


自分で考え、自分で書き、自分で通して得た金。


人生で初めての、“自分の力で生んだ金”だった。


前世の給料は、たしかに自分で働いて得た金だった。


だがあれは、組織の中で歯車として動いた対価でもある。


もちろん大切な金だ。


けれど今、恒一の手元にあるこれは、それとは違った。


頭の中にあった未来知識と、前世で身につけた考え方。


その二つを使って、自分一人で作った価値だ。


「……これか」


思わず呟く。


自分が欲しかったものは、単なる大金だけではない。


“自分の意思で、未来を変えられる感覚”。


それを、初めて指先で掴んだ気がした。


居間に行くと、母が封筒を見て驚いた。


「謝礼って、お金?」


「うん。少しだけ」


「すごいじゃない!」


本当に嬉しそうに言う。


その声に、父も新聞から顔を上げた。


「ほう。じゃあもう立派な仕事だな」


仕事。


その言葉が、妙に胸に響いた。


前世では、仕事という言葉を聞くだけで胃が重くなった。


だが今は違う。


同じ言葉なのに、意味がまるで違う。


「それ、どうするの?」


母に聞かれて、恒一は少し考えた。


本音を言えば、全部取っておきたい。


これは記念だ。


最初の種銭だ。


だが、ここでがめつく見えるのも違う気がした。


「半分は家に入れる」


そう言うと、母は目を丸くした。


「え、いいわよそんなの」


「でも、切手とか色々使ったし」


「それはそうだけど……」


父がくすっと笑った。


「じゃあ、残りは自分でちゃんと貯めろ」


「うん」


その夜、布団の中で恒一は天井を見つめていた。


たった少しの謝礼。


だが意味は大きい。


投稿で金になる。


掲載で信用になる。


この流れは、十分に使える。


(伸ばせる)


すぐに大金持ちにはなれない。


当たり前だ。


今はまだ十歳。できることには限界がある。


だが、その限界の中でも、増やせるものはある。


知識、信用、実績、そして少しずつの資金。


(十年ある)


バブルまで、まだ時間はある。


その間に、準備できることは山ほどある。


ただ待つのではない。


静かに仕込み続けるのだ。


誰にも気づかれない場所で、将来の爆発のための火薬を積んでいく。


「……よし」


小さく呟く。


次の目標は、もっと明確だった。


単発の投稿では終わらせない。


継続して載る。


継続して稼ぐ。


そして、自分の中に“勝ち方”を定着させる。


昭和五十年の夜は静かだった。


だがその静けさの底で、高瀬恒一の人生は確実に加速を始めていた。

今まで読み専だったけどこんなストリートをもっと読みたいと思ったけどないから書いてみました


とりあえず今日はここまでです


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