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路地裏の正義

作者:芹沢有望
最終エピソード掲載日:2026/03/12
神保町の路地裏を自転車で駆ける青年・風間海斗(かざま・かいと)。彼はただのフードデリバリー配達員ではない。玄関先で、ドアの隙間から漏れ出る「生活の匂い」と、言葉にならない「無言のSOS」を嗅ぎ取る特殊な嗅覚を持っていた。

一方、家庭裁判所調査官の柊木直子(ひいらぎ・なおこ)は、感情を排し、法と事実だけで家族を裁く「完璧な調査官」。ある配達トラブルをきっかけに出会った正反対の二人は、奇妙なバディとして現代社会の闇に挑むことになる。

SNSで理想の妻を演じ続け心が壊れた女性、ヤングケアラーとして声を殺す少女、認知症の夫を施設に入れることを「愛の放棄」と拒む老婦人、完璧主義の父に支配される少年――。海斗が拾い上げた「違和感」を、直子が職権で「事実」として救い上げていく。

しかし、他人の家族を救うたび、直子は自身の左手首をさする癖を抑えられなくなる。彼女もまた、支配的な父と、自分を置いて消えた母という「呪縛」に囚われていた。海斗もまた、十年前に行方不明となった姉の影を追い続けていた。

物語の後半、直子はかつての自分と重なる少年との出会いを機に、封印していた過去と向き合う決意をする。施設で認知症が進み、娘のことさえ忘れた父。戸籍の追跡で判明した、北の街で生きる母の消息。

「会いたい」という本能と、「母の今の平穏を壊したくない」という理性。
 葛藤の末、直子は海斗の「踏み込まない優しさ」に支えられ、ある決断を下す。それは感動の再会ではなく、互いの人生を尊重するための「永遠のすれ違い」を選ぶことだった。

法律では救えない人がいる。記録にも残らない正義がある。
 誰かの心の平穏をそっと守り抜く「路地裏の正義」の果てに、二人が見つけた光とは――。
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