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最強の登頂者〜名を持たぬ異能は、百階層の頂へ至る〜  作者: アヌア


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09話 塔の実習Ⅴ — 証明 —

「…お前は誰だ?」

目の前にいる人型の何かはそう問いかけていた。

「答える義理はないな」

「お前は俺で、俺はお前だ。だが、気配が変わっている。お前は()()じゃない」

「俺はユウだ。お前は俺じゃない」

次の瞬間、俺は妹を両手で持っていた。

【制限時間:1:13】

あぁ…時間がないな。

「《⬛︎⬛︎》」

次の瞬間、闇が俺の身体を包んだ。

「お前はやはり…」

俺は地を蹴りそいつを通り過ぎた。

「…早いな」

そいつはそう言い笑った。

その瞬間、人型の首が消し飛んだ。

【討伐完了】

扉が現れる。

俺は妹の元へ歩く。

ボロボロだな。

「《⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎》」

次の瞬間、妹の体を闇が包む。

闇が消え、傷が癒える。

俺の出番はここまでだな。




「ここは…」

俺は暗闇に居た。

「久しいな」

声がした方向を見る。

そこに居たのは、

間違いなく()だった。

「お前は…誰だ?」

「俺は…お前だ」

「…何?」

「細かく言うならばお前ではないが。今はお前だということにしようか」

「何故、俺を助けた」

「お前が死ぬと俺にとって都合が悪いんだ」

「俺は死なない」

「異能を使う事を恐れてあいつに負けそうだったというのにか?」

「…」

それは正しかった。

俺はあのまま行けばあの人型に殺されていた。

「それは、お前の弱さだ。前までは異能を使うことに躊躇などなかったはずなのに。あの出来事のせいで、お前は()()()()で終わりを迎えた」

…俺は守りきれなかった。

正しく言えば…

俺の異能が暴走して、巻き込んでしまったんだ。

そのせいで異能を使う事を躊躇うようになってしまった。

「…今回出てきたのが()()()()()()俺でよかったな」

「…」

「お前もわかっているのだろう。あいつが出てきたせいでお前は暴走したんだ。その件は俺のせいでもある。もう出てくることは…ないだろう」

「お前が《⬛︎⬛︎の使徒》なんだな」

「…かつてはそう呼ばれていたな。今ではお前の()()となっているがな」

「…じゃあな」

「ああ、()()()

そいつは

俺と同じ顔で、俺よりも深い闇を宿した目で笑っていた。

次の瞬間、世界が暗転する。




「…ちゃん!」

ん…?

「お兄ちゃん!」

「ぁあ。ユミ」

目を覚ますと、ユミが心配そうな目で俺を見ていた。

「大丈夫…?」

ユミが震えた声で言う。

周囲を見渡すと37階層だった。

扉があり、おそらくあいつがあの人形を倒したのだろう。

「ああ…」

一瞬だけ言葉を止め、

そして静かに告げた。

「もう大丈夫だ」

ユミは泣きながら俺に抱きついた。

「ごめんな。二度と…このようなことにはならない」

俺は…まだ大切な人がいる環境下で異能を全力で使う事を躊躇っていたのだと、

今回で理解した。

(もう二度と…ユミを傷つけさせない…)

「ほら、行くぞ」

「…わかっだ…」

ユミは少し泣きながらそう言った。

そして、俺たちは扉を潜り抜けた。




38階層…

そこは白い世界だった。

空も、地面も、ただ白い。

あるのは、俺とユミ、そして…影だけだった。

「…なにここ」

ユミが不安そうに呟く。

俺は答えない。答えられなかった。

その時、

空間に文字が浮かぶ。

【38階層:証明】

【進行条件:前へ進め】

「証明…」

誰に対してだ。何を。

俺たちは、歩き出した。

コツ…コツ…

音だけがやけに響く。

その時だった。

影が増えた。一つでもない。二つでもない。無数。

それらは全て…自分だった。

理解する。これは敵ではない。

塔に試されているのだろう。

お前はどれだ。と。

誰かを殺した俺。

暴走している俺。

幼い頃の俺。

守りたい者を守りきれなかった俺…

後悔が…沸々と溢れ出てくる。

胸の奥が、軋む。

「あぁ…」

認めたくなかったものが、溢れてくる。

俺は…弱い。何も変わっていない。あの時から

ずっと…

「お兄ちゃんは…」

声が聞こえた。

「お兄ちゃんは…お兄ちゃんだよ」

顔を上げる。そこには、

真っ直ぐ俺を見るユミがいた。

影が、揺らぐ。

「何があってもお兄ちゃんは、お兄ちゃんなんだから」

「……」

「自信…持ってよ」

影が消えた。全て。跡形もなく。残ったのは、俺自身だけ。

過去は消えない。後悔も消えない。

それでも…

「…ありがとうな。ユミ」

ユミが笑う。

「えへへ」

その時、目の前に扉が現れた。

白の中に浮かぶ、次への道。

「行こ!お兄ちゃん」

「ああ」

俺は歩き出す。

もう、立ち止まらない。

過去は残る。だが、

縛られるほど俺は弱くない。

俺たちは扉を潜った。




39階層へ来た。

そこは、夕焼けの崩壊都市だった。

次の瞬間

ドゴォォン!!

爆発音が響き渡った。

「誰かいる!」

ユミがそう言った。

「探すぞ!」

音の方向的に…

俺らは走っていた。

俺またはそこに着いた。

レイとヴァルフが巨大な生物と対峙していた。

すると、

「《氷槍(フロスト・ランス)》!!」

バゴォォン!!

「ヴァルフ!」

「わかってます!!《重圧(グラビティ)》!」

巨大な生物に重圧がかかる。だが、効いてるようには見えなかった。

「レイさん!!」

レイが躓き、倒れる。

巨大な生物はそれを見逃さなかった。

「…ッ!!」

押し潰されそうになった。

次の瞬間、

「先生、大丈夫ですか」

「…君は…ユウ?」

「俺はユウです。助けに来ました」

レイは目を見開き俺を見ていた。

「君…本当にユウなのか?出会った時と雰囲気が違う…」

「気にしないでください。今はあいつを対処しましょう」

俺はそう言いレイを下ろす。

「あいつは俺がやります。下がっててください」

「…いや、私も」

「大丈夫です」

「わかった。頼んだぞ」

俺は歩いてその巨大な生物の元に行った。

こいつは本来50階層より上で現れた奴だ。

やはり…塔は前と変わっている。

「其方は何故、この時代に存在している。どうして、器が壊れていない?」

こいつ…俺のことを覚えている。

「何故わかる」

「我は魂そのものを見ている。其方の魂の闇を忘れるわけがなかろう」

「お前はここで死ぬから気にしても仕方ないだろう?」

「ハハ…其方は面白い」

そいつは拳を俺に突き刺してこようとした。

(もう恐れる事などない)

「《⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎》」

次の瞬間、巨大な生物が闇に包まれいく。

「ッ…」

そいつは笑みを見せながら倒れて

「また会おう…⬛︎⬛︎の使徒」

そう言い闇に葬り去られた。

「お兄ちゃん!」

ユミが近づいてきて

「すごい!今のなんなの?」

「…少しだけ力が強くなっただけさ」

「お兄ちゃん…隠し事は良くないよ」

「たまにはいいだろう?」

「言いたくなるまで待ってあげるからね!」

「ははは」

恐らく…この異能(ちから)について話すのは、

かなり先なのだろう。




「ヴァルフ…見たか?」

「はい…闇を司っているように見えました。レイさん。彼は本当に生徒なんですか?あの圧は…以上です」

「彼の異能は…もしかしたら…最強格。いや…

()()かもしれない」

「神格…?」

「あの闇を…私は…

()()()()()()()()()()()()




俺たちは4人で扉の場所へ向かっていた。

この階層は、扉の位置が固定されている。

その間、俺は36階層であったことを話した。

「そうか…それは大変だっただろう」

「塔に登る以上、仕方のないことだと思います」

「君は…冷酷だな」

「よく言われます」

塔に登るには、環境に適応しなくてはならない。

「恐らく、皆着いているだろう。我々が最後の到着となる」

「そうでしょうね」

扉が見えた。

その近くに簡易拠点らしきものが見えた。

「こっちだ!」

生徒が手招きをしている。

俺たち4人はそこへ向かった。




簡易拠点内。

「諸君、全員いるな?D班の者、簡易拠点の作成に感謝する」

簡易拠点。場所としては廃墟の中だった。とは言え、広く過ごすのに適していた。

「ここで一日休息を取り、明日に40階層へ向かう」

「C班が全滅したのに。大丈夫なのですか?」

誰かがそう聞いた。

正直、きついだろう。教師を合わせて10人。

教師たち以外の人間の実力を俺は知らない。

と言っても教師達の戦闘は一瞬しか見ていないからほとんどわかっていない。

「大丈夫だ。明日、目覚めた後に準備をし、扉の前に集合したまえ。集まり次第行く。動きはその時に伝える」

時間を知る術がないためそうなってしまうのは仕方ない。

「今日だが襲撃に備えるため、当番制で見張りをしてもらう」

その後、当番の順番について話されて解散となった。




俺は外でベンチに座り、空を見上げながらゆっくりしていた。

「君…E班のユウって人だよね」

突然、声をかけられた。

気配を感じれなかった。

「そうだが。お前は誰だ?」

「僕は、レギウス。ユウくんは水神ポセイドンの息子だよね」

「そうだ。お前は何班なんだ?」

「僕はD班だよ。もう1人の名前はセラフィム」

「…それで、用件は?」

「君の異能について知りたい」

「話せる事はない」

「…そう…残念。君のこと知りたかったけどな」

「まだ手の内がわかっていない以上迂闊に情報を渡せない。すまないな」

「じゃあD班の僕とセラフィムくんの異能を教えてあげるよ」

…そうきたか。

「僕の異能は《隠密》。話しかけた時に気づいたよね」

隠密…先の階層の様子見でとても使えそうな異能だ。

「セラフィムくんの異能は…《超越》。詳しい事は僕もわからないんだよね。だけど…彼は塔に()()()()。って言っていたよ」

超越…

聞く限りかなり強そうだな。

そして、塔に選ばれている人間、か。

「そのセラフィムって奴はどこにいるんだ?」

「彼は今…この階層を探索しに行ったよ」

探索か…

塔について少し知っていそうだな。

「情報交換だろう。俺は異能について話す事はできないから…」

俺は少し考えた後、

「この塔の情報を少しやろう」

「…へぇ、塔について知ってるんだ」

「信じるかはお前次第だがな」

俺は一泊をおき

「塔は生きている」

そう言った。

「…え?」

「意思がある。登る者を見ているんだ」

レギウスの表情が固まる。

「選んでいるんだよ。上に行く者を。セラフィムが塔に選ばれた。そう言っていたらしいな」

つまりあいつも()()()()なのだろう。

「どうして…そんなことを知っているの?」

「見ていればわかる」

俺は続けた。

「それと、この塔は今、本来の構造とズレている」

「ズレている?」

「ああ、本来現れるはずのないものが現れている」

「と言うと?」

「レギウス。お前に聞く、36階層から38階層はどのような階層だった?」

「…?えっと。30階層から夜の荒廃した街だったんだけど。それがずっと38階層まで続いたよ」

…だろうな。

「俺と俺の妹のユミは36階層から38階層で選別を受けた。本来…このような事はここら辺の階層では起こらない」

レギウスが息を呑む。

「最後に一つだけ忠告だ」

「…なに?」

「40階層から先は、本当の試験が始まる」

俺はそう言いその場を立ち去った。

背後で、レギウスが小さく呟いた。

「…ユウくん。君は一体…何者なんだ?」

俺は答えない。

答える必要はない。

塔は、既に俺を知っているのだから。




ーーー???


「塔の37階層にて、⬛︎⬛︎の使徒の反応がありました」

「そうか。500年ぶりだな。やはり生きているか」

「どうしますか?」

「奴の調査にはヴァルフを付けてある。引き続き調査を続けるように伝えてくれ。まあ…ヴァルフは最強格の異能持ちではない。50階層までの間で死ぬかもしれないが…頑張ってもらうとしよう」

「そうですが…もしヴァルフさんが死なれた場合は…」

「俺が直々に塔に出向くとしよう。この…ディオスが」

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