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最強の登頂者〜名を持たぬ異能は、百階層の頂へ至る〜  作者: アヌア


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10話 塔の実習Ⅵ — 使徒 —

俺は簡易ベッドの上に座っていた。

隣のベッドには寝息をたてながら横になっているユミがいた。

俺は目を閉じた。


その暗闇で目を開ける。

「…どうしてここに来た?」

目の前にいるそいつはそう問いかけてきた。

「…あの日、俺はどうやって()()()に負けた?」

そいつは目を見開いて、

少しした後、不気味な笑みを浮かべ

「言わない。()()を初めから知ってしまったら…面白くないだろう…?」

「ハッ…舐めやがって」

「それだけだろう?さっさと出ていけ…俺は()()で忙しいんだ」

次の瞬間、そいつが指を鳴らした。

すると、視界が揺らぎ、そいつの輪郭がぼやける。

「お前…一体、なにを…した…」

「お前はさっさとあっちの世界へ行け」

世界が暗転する。


目を開ける。

眠っていたのか…

だが、胸の奥に、妙な感覚が残っていた。

まるで…何かが動き出しているような…

ユミはまだ寝ていた。

俺はベッドから起き上がり、部屋を出た。

外の様子を見に行く。

簡易拠点の出口から外に出た。

見張りのやつが2人いた。

「…あなたは、確か」

「ユウだ」

「ユウ…どこかで聞いたことあるけど忘れちゃった。私はミレイ。それで…」

となりにいる奴はとても気持ちよさそうに寝ていた。

「こいつは…」

「その子はシエル。そう見えて、ちゃんと強いんだよ」

「ミレイ。君たちは何班だ?」

「私たちはB班。貴方は…D班だっけ」

「そうだ。俺は散策に行ってくる」

「はーい」

俺は39階層の探索に行った。



時間がないため、俺は少し走っていた。

グォォォォ!!

少し近いところからそんな鳴き声が聞こえてきた。

次の瞬間、

目の前に人が現れた。

目の前に現れた瞬間、空気が変わった。重い。

まるで、この空間そのものが、そいつを中心に支配されているかのような感覚だった。

瞬時に俺はその拳を回避した。

回避したと同時に、後ろの建物が消し飛んだ。

こいつ…早い!

その拳を放ってきた奴は一度、距離を取った。

そして俺を顔を見るなり

「…!お前は…D班の…ユウって奴か」

「そうだ」

「すまないな。狩りと探索をしていた。ただ者でない気配を感じたから殺そうとしてしまった」

「俺じゃなかったら死んでいたぞ」

「これで殺せるとは思っていない。それに、あれを避けられないなら、これから先での命は短いだろう?」

「…」

間違ってはいなかった。

とはいえ、俺達は一応味方だ。

「お前は、セラフィムだな?」

「どこで名を知った」

「レギウスに教えてもらった」

「そうか。それじゃまた後でな。異端者さんよ」

そう言いセラフィムは去っていった。

異端者、か…

あながち間違いではないな。



探索をしてみた結果だが、

セラフィムがほとんどの生物を始末したせいなのか、あまり生物を確認できなかった。

他には、所々に塔の文字が刻まれていたりしていた。

読む事はできないが、あまり意味のあるようなものとは思えなかった。

俺は探索を終え、扉の前へ向かっていた、

扉の前には7名の学生、2名の教師がいた。

「お兄ちゃん!どこいってたの?」

「少し探索に行っていた」

「ユウ、何か得られた物はあったか?」

「特に何もありませんでした」

レイに応答したあとに

セラフィムの方を向くと、

そいつはニヤリと不気味な笑みを浮かべていた。

まるで、これから起きることを知っているように見えた。

「そうか…諸君!全員いるな!」

全員がレイを見る。

「40階層に入る。その前に先発隊を入れる」

先発隊か…安全重視だな。

先発隊は基本的には1人で構成されて、大体の場合は捨て駒が向かわされる。その捨て駒になる奴は地上での犯罪者がほとんどだ。だが、その犯罪者をここまで連れてくるのは面倒な為、先発隊として利用されるのは気配を消すのが得意なやつだ。つまり…

「レギウス、君は先に入ってくれ。その後、安全を確認できたらこの通信機で伝えてくれ」

「…わかりました」

40階層…俺の覚えてる限り…

「それでは行ってきます」

レギウスはそう言い、扉を潜り抜けていった。



俺達は静かにレギウスからの報告を待っていた。

すると、

通信機からノイズが聞こえてくる。

ノイズが途切れ、レギウスの声が聞こえる。

だが、聞き取れなかった。

『………』

「レギウスくん、聞こえるかな」

『安全です』

……

「地形はどんな感じだ?」

『平地です。生物は確認できませんでした』

「わかった。諸君!我々も入るぞ」

そう言いレイとヴァルフが先頭となり扉に入っていった。

他の班もそれに続いていった。

セラフィムが俺の隣を通り過ぎる。

その時、

「お前、死ぬなよ?」

そう言った。

「こっちのセリフだ」

セラフィムはハッと笑い扉の中に入って行った。

「お兄ちゃん…どういう事?」

「俺たちも入ろうか。足元に集中しろ。わかったか」

「え?あ、うん。わかった」

俺達も扉の中へ入ろうとした。

扉の前で、一瞬だけ足を止めた。

「どうかしたの?」

「大丈夫だ」

俺はこの先の光景を既に経験している。

だから、予測ができる。

それはまさに…

…地獄なんだろう。




俺達は扉を潜り抜けた。

地獄のような空間だった。

地面は黒く焼け焦げ、空気には血と肉の焦げた匂いが混ざっていた。

生き物の気配がない。静かすぎる。それが、逆に異常だった。

そして、先に行ったはずの教師、そして他の班のやつらの姿が見えなかった。

『安全です』

「安全です」

同時に通信機と背後から声が聞こえた。

俺とユミは後ろを見る。

そこに立っていたのは、()()()()だった。

いや、違う。

顔がなかった。

「お兄ちゃん…何あれ…」

「見過ぎるな。もうレギウスは死んだ」

「ッ…!!」

ユミは瞬時にそのレギウスとの距離を縮め、懐に入り

腹に拳を突き刺した。

文字通りレギウスは吹き飛び、壁にぶち当たる。

「お兄ちゃん、みんなはどこ!」

ユミが焦りを含んだ声でそう言う。

「分断された。この階層はそういうところだ」

40階層は最初、分断される。

どれだけ同じタイミングに入ろうと2人に分けられる。

そして、レギウスは先発隊として入ったが、

この階層に利用された。

『皆!聞こえるか!』

『聞こ…ッ!!ます!現在、レギ…交戦中!!』

『私達はもう既に倒した!レギウスを倒し次第探索に向かえ!!』

「お兄ちゃん!今!」

「ああ…レギウスを倒し次第。そう言っていた」

そう言った次の瞬間。

砂埃の中からそのレギウスが突っ込んでくる。

その拳を俺は腕で受け止める。

「ハッ…変わりすぎだな?レギウス。いや、もう違うか…」

「《⬛︎⬛︎》」

そう言った瞬間、

レギウスだったものは闇に包まれ、消えた。

「…お兄ちゃん」

「なんだ?」

「お兄ちゃんって…少し力が強くなるだけじゃなかったっけ…」

「……」

「嘘ついてるよね…?」

「それを応用しただけだ」

「…そ、そう…」

「とりあえず他の班のやつを探す。ここからはどれだけ早く合流できるかが鍵だ」

「わかった!急ごう!」

俺達は先に進んだ。

「…始まったか」



「ここは…どこだ…?」

僕は…暗闇に居た。

ここが…40階層?

異能を使う…気配を察知されないよう…

隠密を…

「そう警戒をしなくて大丈夫だよ…」

その()を聞いた瞬間、動けなかった。

その場の空気が変わった。

「安心してくれ…君を殺そうだなんて思っていない。ただ、利用させていただく…」

コツ…コツ…とその何かは近づきながらそう話す。

足音が止まる。

「君の隠密は素晴らしいね。(ここ)の中でも最も気配探知が優れている生物にも見つからず、情報を集める。そこまでの精度は僕にも出せないなぁ…」

次々と、そいつは話す。

「使徒になって貰おうかな〜って、思ってるんだ」

使徒…?聞いたことがない。

「僕もそろそろ欲しかったんだよね。わざわざ高階層からやってきて…適当に探してたら意外と当たりなのを引いたみたい」

隙を伺って逃げなくては…

「…」

その瞬間、背中を突き刺されたかのような感覚に陥った。

「逃げれるとは思わない方がいいよ」

殺気だった…

背中に冷や汗をかく。

動けない…圧に圧倒される。

僕は全力で後ろを向いた。

「あ!見られちゃったか…それじゃあ…」

そこには…顔のない黒い…ただ黒い人形の何かが存在していた。

次の瞬間、そいつの片手が僕の顔を覆った。

「見られちゃったら、しょうがないよね。だけど、利用させてもらうよ」

抵抗できなかった。

次の瞬間…

グシャッ…

何かが潰れる音が、暗闇の中に響いた。

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