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魔弾の狙撃手  作者: 結城 からく


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2/3

中編

 兵士達が車内で倒れている。

 頭部を打ったのか、数人は血を流していた。

 いち早く起き上がった指揮官が鋭い声で叫ぶ。


「敵襲だ! 外に出て反撃するぞ!」


 横転した軍用車から兵士達が這い出る。

 そこは焼け落ちた廃墟が並ぶ荒れ地だった。


 進路の先がローブ姿の男が立っている。

 男の顔や手には複雑な紋様が刻まれており、宝石のはめ込まれた杖を構えていた。

 いずれも典型的な魔法使いの特徴だった。


「総員、あいつを撃て!」


 指揮官の命令に合わせて、兵士達が一斉に発砲する。

 しかし、銃弾は魔法使いを囲う半透明の結界に阻まれてしまった。


「ふはは、無能の民め。貴様らに格の違いを教えてやろう」


 魔法使いは浮遊して上空を陣取ると、杖から大量の火球を生み出した。

 火球は自由自在に飛び回り、地上の兵士達へと炸裂する。

 爆炎と共に悲鳴が上がり、血肉が飛び散った。


「ぎゃあああああああぁぁっ!」


「お、俺の腕がッ!?」


「無理だ! 魔法使いに勝てるわけねえよ!」


 火だるまになった兵士がばたばたと倒れ、熱線に四肢を切断された者が大声で喚く。

 突然の攻撃に兵士達はパニックに陥っていた。


 そんな中、指揮官は頭上に向けて銃を連射する。

 数発の弾が結界の隙間を抜けて魔法使いの胴体に命中した。

 魔法使いは攻撃をやめて目を見開く。


「……ッ」


 傷口の肉が蠢いて膨らみ、間もなく塞がった。

 血の滲むローブを撫でた魔法使いは勝ち誇ったように言う。


「馬鹿め! 鉛玉で俺を殺せると思ったか!」


 魔法使いは杖を高々と掲げる。

 そこに特大の火球が生まれようとしていた。

 火球は回転しながら膨張し、既に魔法使いの何倍もの大きさまで成長している。


「俺に弾を当てた褒美だ。最強の魔法で葬り去ってやろうッ!」


 魔法使いが杖を下ろそうとした寸前、乾いた銃声が鳴り響く。

 魔法使いの胸に一発の弾丸が炸裂した。


「フッ、無駄な抵抗を――」


 余裕の笑みを浮かべた魔法使いだったが、すぐに怪訝な顔になる。

 結界の一部が砕けて穴が開いていた。

 さらに胸の傷は再生せず、溢れた血が瞬く間にローブを染めていく。


「なっ、なぜだ!? おかしいぞ、こんなことが……!」


 困惑と焦りを見せる魔法使いが、何かに気づいて廃墟の物陰を睨む。


 静かに銃を構えるのは狙撃兵のモナだった。

 彼女の顔には、右目を中心に紋様が浮かび上がっていた。

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