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15話~キスは自分の意志でやらなきゃ意味がない~
彩華の言い放った言葉が僕の頭の中でループしている。
――「わたしにキスしてよ! そうしないとやめないんだからっ!」
「彩華、キスって言うのは好きな相手のために取っておいた方が良いって!」
僕は、なんとか彩華を説得しようと試みるが、
「葉月のばかっ!」
逆効果だったみたいだ。先ほどよりも風が強くなり台風並みの風になってしまった。
あれ、僕の身体と意識が離れていく……?
「彩華。すまない」
彩華の顔との距離が縮まっていき、ついに唇同士が触れ合った。
「んゅ……、ちゅっ」
これってディープな方のキスだよね!? てか、僕の身体を操ってるのは誰だよっ!
「彩華、これでいいかい?」
「は、はづきぃ」彩華は紅潮させていて瞳を潤ませていた。
「お預けだ」彩華の唇に人差し指を添えて意地悪な笑みを浮かべた。――その瞬間に僕の身体が自分の意思で動けるようになった。
「わ、私キスしたんだ……」唇をなぞって残った感触を確かめて余韻を楽しむ。
「ぼ、僕帰るね。じゃ、また!」
僕はなんとも言えない気持ちを胸に抱きながら、そこから逃げ出した。