14話~彩華~
この前の一件でぼろぼろになってしまったお城の修復作業が行われているところが見えた。
「はぁ。ここまで来ればいいでしょ」
「葉月!」ふと遠くの方から僕を呼ぶ声が聞こえた。
僕の使い魔である彩華だった。翼だけを部分的に顕現させて飛んできた。
元々、彩華は神獣の鳳凰なのだ。
「どうして構ってくれなかったの? 私寂しかったんだから……」
「ほら自分の事を大切にしなきゃ、ね?」
「――わ、私は葉月の役に立ちたいのっ!」
むむ、もしかして契約で思考にも影響が出始めてるのかな。いやでも、影響が出ないように契約したからこれは彩華の"自分の意思"?
「彩華。ごめんね」と言って僕は抱きしめた。
「ん、嬉しい……。けど他の女の子の匂いがする」と言って彩華は僕に冷たい視線を向けてくる。
誤魔化してもしょうがないので正直にいう事にしよう。
「佳織と奏がね」
「ひどい! 私という女がいながらっ!」
「まず僕に彼女いないからねっ!?」そう、生まれて―転生する前も―この方彼女ができたことはないのだ。
「佳織と奏と私の事よ!」と言って僕に魔力を中てる。
神獣であるせいか威圧感を感じるが僕にとってはそよ風程度にしか感じない。
「いつからなったのさっ?」
彩華は身体を震わせている。寒いのかな?
「……私を、私を召喚した時よおっ!」感情が爆発したせいかそよ風程度だったのが強風となって僕を襲う。
「彩華、落ち着いてっ。地上が荒れちゃうよ!?」
「――キスして」
「えっ?」
「わたしにキスしてよ! そうしないとやめないんだからっ!」