12話~神界を探検しようと思ったら?~
高校の合宿のために1日遅れてしまいました。
この感じは初めてではない。僕がセカンドライフをもらった世界と似たような構造だ。いや空間と呼ぶべきだろうか。
「久しぶりだな。葉月よ」あれ、前と言葉遣いが違う。
「そうだね。……それで、なぜ僕はここに居るの?」
「……力の使い過ぎだな。身体が慣れていないのに無理に使ったから、といった方がいいな」
「そうなんだ。佳織達……あっちの僕は?」
「ここでのことはあっちの世界では数分にしかすぎない。それにぐっすりと熟睡しているから大丈夫だ」
――よかった。これ以上、佳織と奏ちゃんに迷惑をかけたくないしね。
この空間に来てから20時間が経ったが、僕はまだここに居る。
「おじいさん。僕ってそんなにダメージを受けたの?」
ふむ、とおじいさんは頷いた。
「折角なのだから、しばらく遊んで来たらどうだ?」
「遊ぶ?」
「そうだ。なにせここは神々が住む世界だからな」
「神の住む世界……。じゃあお言葉に甘えさせてもらいますよ」と言ってこの部屋を出た。
外に出たら驚いた。なぜなら僕が転生する前にいた日本――地球に似ていたからだ。
「君が、葉月くんだね」背後から声がした。
僕は振り向きながらそうですけど、で止める。
「なんで、蔵元がいるの?」
神宮寺は乾いた笑いをしてちょっとな、と言ってごまかす。
「ふーん。あのコト言っていいのかな?」
「お前は悪魔かっ! わかったよ言うよ。下界にいたのは、じい……最高神からの命令で観察してこいって言われたからだよ」
彼は、神宮寺 蔵元。どうやら正体は神様だったらしい。
僕の周りって神様が多かったんだね。
「蔵元、ここ案内してくれない? ここ初めてだからさ」
「彼女に案内してもらったら? 君が呼べばすぐに駆けつけてくれるはずだよ」と蔵元は言ってその場を離れた。
佳織、来るはずないじゃん。だって下界に居るんだよ。
「はづちゃん、呼んだ?」佳織が目の前に居ました。
「なんでっ!?」
「葉月が、私を呼んだから来たの。今の葉月って精神体?」
「そうみたい。今まで溜めていた力を一気に放出したから不安定になったのかもね」と言って僕は笑った。
けど、佳織は深刻そうな顔になった。――なんでだろう?
「急いで連れ戻さないと大変なことになるわ」
佳織は、いきなり僕の手を掴んで周りの景色がぼやける。
神界で僕が覚えていることはここまでだった。