11話~束の間の休息~
1日遅れちゃいました。
談笑をしながら、家までもう少しというところで以前に体験したような"ゾクゾクとした寒気"が背筋からする。
「ハーレムを目指している訳じゃないのにね」と僕は佳織に愚痴を漏らす。
「私が一番じゃなきゃダメだからねっ!」――あれ? 佳織まで……?
前回と同じく、音,魔力を出さないように降りたけど奏ちゃんが仁王立ちして僕を睨んできている。
「奏ちゃん。ただいま」
「おかえり、葉月。……それでその女は誰なの?」奏ちゃんからダークオーラが溢れ出ている。
それに、嫉妬を纏わせた瞳で佳織を見ている。
佳織は無言で、奏ちゃんの方に足を歩ませた。僕もついて行こうかと思ったけど、そこから動くなというオーラが出ていたのでやめた。
それを感じた途端に、佳織が奏ちゃんと一緒に不可視防音結界の中に入っていた。
不意に世界が回った。――否、僕だけなのかもしれない。魔神との戦いで消耗しすぎたからなあ。
立っているのがやっとなんだもの。光輪を消して、羽根を合計4枚に減らす。
そこで、僕は意識を失ってしまった。
目を開けるとそこは自分の部屋の天井。
「んっ。……何で僕ここに?」たしか、あれから意識を失って…。
「気がついた?」と佳織が僕を心配そうに見つめてくる。
「うん。大丈夫」
僕は起きあがろうとするけれど、佳織に止められた。
「まだ治ってないから動いちゃだめよ」
あれ、拘束魔法をかけられたような。
「念のため、拘束魔法掛けておくわ」
「佳織。そこまでやらなくても大丈夫だよ。……どのみち動けないし。ねっ?」
「――葉月が、そこまで言うなら……」しぶしぶだったけど拘束魔法を解いてくれた。
これで、夜抜け出して外の空気を吸えるだろう――と考えていた時期がありました。
川の字で…しかも僕が真ん中ですよ? ちなみに右から佳織、僕、奏ちゃんの順番だ。
魔法を使えばなんとかなるけれど、今回は佳織がいるからそれは無理だ。
無理以前に、佳織には敵わないからなあ。
――なんて現状から逃避しているけれど、限界に近い。
いい匂いがするし、時々「んっ」と寝息をしてくるんだよ?
「ちょっと、佳織。これ以上はくっつかないで……」それが逆効果だったのかは分からないけど佳織が抱き着いてきた。
「んみゅう……」寝息を立てながら満足そうな顔をする佳織を見ていると抵抗しづらくなった。
その時、意識が朦朧としてきた。
そう感じた瞬間には、僕の意識は落ちていった。