10話~再開! 幼なじみは神様でした~
投稿1日遅れてしまいました。
どのくらいの時間が経っただろうか。僕と魔神の戦いは、人間と天使,悪魔には、見えない速さでやっている。
「守護神よ! この戦い、我は楽しいぞ!」この、戦闘狂め。
「……魔神よ。ここから、去れ」
短時間で済ませないと世界に負荷が掛かってしまうし、修正力も動いてしまう。――その前に決着をつけないと!
「今さら何を言う? 世界の力はまだ来ないのか、早く来てもらわないと困るではないか」
「それは使わせないつもり。なぜなら僕が、倒すから!」
僕はあるモノを発動させる。
「此処は僕のフィールド。理を決めるのは、この僕。……顕現せよ、深層心理!」
魔神は変わっていく景色を眺めて、盛大な笑いをした。
そして、個人空間から真紅色の刀――業焔を取り出して魔神を一閃する。その瞬間に魔神からうめき声を出して左下の羽根が空間を舞う。
左腕から、神気が液体となった――人間で言えば血が指へと流れている。
「面白い! 我も本気でやることにしよう」魔神の眼が赤黒くなって、6対で12枚だったのが、8対に増えて16枚になった。
――僕の翼より多いよ。……でも、ここは僕の世界。
「魔神は僕を倒すことは出来ないよ。なぜなら此処は僕の世界だからっ!」と言っただけなのに、衝撃波が魔神を襲う。
ただ、それだけなのに魔神の羽根が切り刻まれる。
「くっ、その力は厄介だな。だが我は、力で世界を屈伏させたのだ。この程度の事でやられてたまものか…っ!」
魔神は片腕を僕に向けて、"黒い何か"の塊をターゲットに放った。
羽根を使って防御するが、その黒い何かは羽根を浸食されていき、その部分が地上へと舞い落ちていく。
羽根を再構築させようとした時に、魔神が嗤っていた。――僕の世界にもう1体の神の気配がした。
「っ! "神"が入り込んだ、だと!」魔神が嗤っているという事は、あいつの仲間なのか?
「うおおお!」新手の神が吼えた。僕の空間が揺らぐ。
「くっくく、あははっ!」魔神が笑っている瞬間に新たな神の姿が揺らいで、気付いた時には魔神が真っ二つになっていた。
――ここだけでも、これぐらいなんて。
背中しか見えていないが、ものすごい量の神力が僕の身体を襲う。…でも。
「お前は、誰だ」
純白の長い髪が風でなびいた。そしてゆっくりと僕の方へと身体を向ける。
――羽根は20対ほどで、眼の色は神を示す金色だった。
「ぁ」と僕の口から間抜けな音が出る。
「久しぶりだね、葉月」
そう、その姿と声は、幼馴染みの佳織だったから。
「佳織。な、なんで此処に…?」
「今まで隠しててごめんね。私は"神"なの」
「えっ、花織が神? でも…」
「私ね、神世界が嫌で人間界に降りてきたんだ。それでその世界に合うように、身体を再構成させて人間として生きて来たんだ。
力を封印してね。でもね。はづちゃんが死んじゃって……私は無力でっ! 助けられなくて、苦しかった! 辛かったっ!」
「佳織」僕はそっと近づいて優しく抱きしめた。
「はづちゃん…」
「ありがとう。でもね、僕は此処に居るよ」
「ぐすっ…はづちゃーん」それから佳織は泣いた。僕の腕の中で。
生命の息吹きが、風が僕達を優しく包み込んだ。――まるで、僕達の再会を祝福しているように。
泣きやんだ佳織は、なぜか頬を上気させていた。
「久しぶりだね。佳織」
「うんっ!」
「家に帰るけど…ついて来るよね?」
「行くわ! もう離さないって決めたからね」と言って微笑んだ。
久しぶりの幼馴染との再開に僕は胸を高鳴らせる。
「葉月。手、つないでいい?」
「いいよ」僕は左手を佳織に差し出して、迷わず僕の手を握った。
手を繋ぎながら、空を飛んで僕達は帰っていた。