9話~守護神(僕)と魔神の戦い~
9話投稿します。
まだ、陽がまだ昇らない時間。アストリアが寝た事を確認した僕は、ベッドから抜け出して外に出た。
羽根を広げて、音を立てないようそっと飛んで家の屋根に座る。深夜の星はきれいだ。――あっ、流れ星。
僕は、流れ星に願いごとをする。皆の日常を守れますようにと。
僕は小さくしていた羽根を元の大きさに戻して、風に当たらせる。羽根がユラユラと揺れて虹色の魔力を風に舞わせる。
光輪を頭の上に出して、瞬きをする。――能力を完全開放したのだ。
遠くの山がある辺りの力場が歪んでいる。崩壊の始まり……。
――凄く大きな地震が発生した。大地が揺れている。地鳴りがしてる。
山が崩れたのだ。おじいさんがくれた知識の予定より早い!
奏ちゃんが自分の家から走って、僕の家に来ている。
「はづちゃん!」奏ちゃん。真夜中に大声出すのはどうかと思うよ。
それと同時に、家からアストリアと母さんが急いで外に出てきた。
僕は、屋根から降りて皆を見る。
「葉月様!」「主殿」と使い魔が、慌てた様子でこっちに来た。
「ケロちゃん、彩華。大丈夫だよ」
わざわざ、神界から来てくれてありがとう、と使い魔にお礼を言う。
――その時、空気が変わった。
「っぁ!」奏ちゃん達も感じたようだ。天使と悪魔の到来を。
僕は王都のある方角を見る。金色の眼を煌めかせて。
お昼になるまで、僕の家に全員が集まっていた。――安全なところはここだから。僕が生きていればの話だけど…。
「葉月様。これからこの国はどうなるのでしょうか?」流石、アストリアだ。民の心配もしている。
大丈夫だよ、と言って僕は笑顔を作ると、使い魔の方に行く。
「彩華、ケロちゃん。……僕がこの世界から居なくなってもお願いね」と他の人には聞こえない様に、小さい声で話す。
わかりました、と使い魔達は言うと神界へと帰っていく。
僕は、羽根を広げて王都へ飛んだ。声を聞こえないふりをして。
王都まで、向かう途中に天使と悪魔の戦闘があり、僕を見た瞬間にその戦闘を中断して襲いかかってきた。
だが、僕に触れようとすると自身の力が暴走してしまい、身体が粒子になって風に流れて散ってゆく。
ここで戦闘をしている天使と悪魔は下級だという事も分かってしまう。
上級は、神並みの能力を持ってはいるが神の下級神には敵わない。――苦戦はするけどね。
ふと、目の前からもの凄い力を持つ"何か"が姿を現そうとしているためか空間が歪んでいる。
天使たちは、何かに近づいて行くが消えてしまう。――たしかに神気が駄々漏れである。
駄々漏れの神気が収束していき、形が出来ていき咆哮をあげる。
咆哮と同時に世界が揺れる。世界が悲鳴をあげているのだ。
「なぜ、お前がここにいる?」魔神のその言葉に神気が含まれていて空間が揺れる。
「魔神こそ、此処に何か用があるのですか? 場合によっては消さなければなりませんが……」僕は、内に溜めていた神気を少し外に出した。
それは愚問だな、と鼻で笑う。
そうか…。なら消さないといけないな。
「世界に害を及ぼす存在のため、貴方を排除します」僕は瞳を閉じて、そう宣言した。
「ほう、守護神だったのか」魔神――アルスは笑う。
羽根を一枚抜いて、それを光の刀に変えてから魔神の背後にワープして、一閃して背中を斬った。
「守護神、葉月よ。我を滅するならばそれ相応の覚悟を持てよ?」魔神はニヤリと笑いながら僕に、神気を当てている。
魔神が言っている覚悟とは、"殺し"の事だろうか。それとも制御下から離れた力の事なのか。――でも、僕はっ!
「うおおおお!」僕はかけ声を出しながら、刀を両手で持って魔神を頭から斬るべく刀を振るった。だが、手ごたえは無く逆に僕が魔神に蹴られた。
「ぐっうぅぅ!」僕は痛みで呻きながら、空から地面に落ちていく。
――魔神の力を侮っていた。天使と悪魔の様に簡単に倒せると思っていた自分が馬鹿だった。
地面と接触するぎりぎりで僕は羽根を広げて再び空にかけあがる。
「アルスううぅぅっ!」僕は、自分の神気を"自動追尾弾"にして、アルスに10発も一気に発射させる。
今度は、ダメージを与える事が出来るっ。自動追尾弾全てがアルスに中り、翼から羽根が数枚程おちていく。
「守護神、今のは効いたな」と口では言っておきながらも、余裕そうだ。
「そう言っておきながら、余裕そうだよね」翼の周りに自動追尾弾を待機させる。
――守護神と魔神のは、まだ始まったばかりである。
今回から、不定期更新になりました。
10話もお楽しみに!