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死神の約束  作者: 烏蛙
6/6

死神の約束【6】

 ゲートをすぎるとそこには、いかにも怖そうな顔付きの大男やとても綺麗なお姉さん、被り物を被った男もいる。


 小春が少し怖気付いているとカラの手がさっきより少しだけ強く握られた。

 カラとルカスの顔を見ると二人とも緊張しているのが分かる。


 小春が部屋を見渡していると、さっきの綺麗なお姉さんが三人に近づいてくる。


 カラとルカスが小春を庇うように後ずさると彼女は三人に優しく微笑みかける。


「そんなに警戒しなくても大丈夫よ? 別に取って食ったりしないから」


その口調はとても穏やかで優しさに満ちている。


 小春が見惚れているとお姉さんはルカスに近寄った。


「貴方がルカス君? 一度会ってみたいと思っていたのよ。貴方の目、とても綺麗な翠色ね。それに髪もとっても綺麗に手入れされているわ。流石、お医者様なだけあって髪から指先まで清潔にされているわね。やはり、噂通りの美しさだわ」


 彼女はそう言いながらルカスの髪の毛をひとふさ手に取り口付けをする。すると、ルカスの髪は綺麗な翠色の光を放ちルカスの髪はさらに艶を増した。


 お姉さんはルカスの腰を指さして言う。


「ココに私の印をつけたわ。貴方はこれから私、豊穣の神イシスの加護が得られるわ」


 ルカスが服を捲るとそこには大蛇と注射器の紋様が浮かび上がっている。


 ルカスはイシスに跪き頭を下げる。


「貴方様のご加護を賜り、大変嬉しく存じます。ありがとうございます」


 いつもとは違いキッチリとした言葉遣いでそう告げると、イシスの手の甲に口付けをする。


 彼女はウフフっと笑い軽く頭を下げた後、小春の手を取った。


「ようこそ神界へ! 生者で神界に来たのは貴方が初めてよ。貴方、お名前は?」


小春は少し驚きながら答える。


「こ、小春! 木下小春……です」


イシスはフフッと小春に笑いかける。


「小春ちゃんね。これから色々な事に関わることになると思います。生者では危ないこともあるかと思うわ。頑張るのよ」


イシスは優しく小春の頭を撫でた。


 小春は「ありがとうございます」と頭を下げる。

 小春が頭を上げると一人の男がルカスとカラに話しかける。


「ルカス君、カラ君。久しいな。随分とかしこまっているじゃないか。ここへ来る途中の元気はどうした?」


 カラとルカスは頭を下げた。小春もつられて頭を下げる。


「ご無沙汰しております。……ここへ来る途中の様子をご覧になられていたんですね」


 カラがそう言うとルカスも口を開いた。


「盗み見とは本当に趣味が悪いですねぇ。いつ監視されているのかわからないとなるとどこにいてもくつろげませんよぉ」


ルカスがそう溢すと男はフッと笑う。


「ルカス君、君は相変わらず俺には緩い言葉遣いなんだな。カラ君も相変わらず堅いな」


 男は胡散臭い笑みを浮かべる。小春は男の笑い方や所作が誰かに似ているような気がした。


 カラはそんな小春の様子に気がついたのか小春の方を振り向いた。


「あの方がオシリス様だ。死神になった時に記憶を無くした俺を一から育ててくれたんだ。とても尊敬しているひとだよ。ルカスはちょっとオシリス様が苦手なようだがな」


 カラが柔らかな笑みを浮かべながらそう言うとルカスは「あの人は僕に似てるんだよぉ……。キャラ被りはごめんだねぇ」とむくれる。オシリスはやれやれと笑った。


『誰かに似ていると思ったらルカスだったのか。そんなに嫌がるなら自分が変えればいいのに……』


 小春はそんなことを思いながら苦笑した。




 カラとルカスがオシリスやイシスと話していると、そこにやたらガタイのいい男が現れてカラに話しかけた。


「そこのお前……カラと言ったな?」


「は、はい。そうですが……」


 カラが答えると男はニッと笑ってカラの肩をバシバシ叩いた。


「お前、その首の後が天使の噛み跡かぁ‼︎ アレは俺らでもつけられたら一溜りもねぇのに、よく生きてんなぁ‼︎ ハッハッハッ‼︎‼︎ お前、見かけによらず強いんだなぁ。一人で天使を何体も薙ぎ倒したらしいじゃねぇか‼︎ 俺は強いやつが好きだぁ!」


 カラはあまりの力によろけてしまう。


「ルカスのおかげですよ……。それに俺はただ現場慣れしてるだけなので…………」


 カラがそう言うと男はカラに肩を組んだ。


「ハッハッハ! お前、気に入ったぞ‼︎‼︎ よし! この俺‼︎ 戦争の神、セト様の加護をお前に受けさせてやる‼︎」


 セトはそう言いながらカラの手の甲に指で縁を描く。するとそこに烏と髑髏の印が現れた。


 カラはサッとセトの腕の中から出ると深く頭を下げた。


「セト様のご加護を受けれること大変嬉しく思います。心から感謝いたします」


 カラが頭を上げるとセトは豪快に笑いながらカラの肩をバシバシと叩く。


「まぁそんなにかしこまんなって‼︎ お前は本当に【ざ・真面目】って感じだなぁ‼︎‼︎」


カラはよろけて今度は耐えきれず転んだ。


 小春が駆け寄り「大丈夫?」と手を差し出すとカラは、「だいじょばない……」と呟いてから小春にもたれかかる。

 小春は驚いて固まった。


 ルカスはそれをみて大爆笑しながらカラを持ちあげた。


「クヒェッヒェッッ__あぁ笑った笑った。大丈夫かい? お嬢さん。カラ、今のは何だい? 急にみんなの前でイチャつき始めてビックリしたよぉ。クックッ」


 ルカスはそう言いながらカラを床に寝かせてカラの服の裾を乱暴に捲る。


「あぁ、傷口はまだギリギリ開いてないみたいだぁ。セト様、カラは一応まだ怪我人なのでお手柔らかにお願いします。」


 ルカスはセトに向き直り微笑む。

 セトは「ん? すまんすまん︎!」と謝った。


 ルカスはカラの服を元に戻してから、カラのおでこをベチンと叩いた。


「伸びてないでさっさと起きなよぉ」


 カラは起き上がりルカスを睨む。


「人に注意すんならお前も俺に気ぃつかえよ‼︎ 痛ってぇな‼︎」


 カラがそう言うとルカスはそっぽを向く。


「僕は力加減というものを知っているからねぇ。それに僕なら幾らでも責任取って治すことができるしねぇ」


「そういう問題じゃねぇ」


『また喧嘩してるよ…………誰か止めてくれたりしないのかな』


 小春がそんなことを考えながら周りを見るとみんな微笑ましそうに二人を見つめている。


『周りの人たちって昔からいるの神様だから、二人のことを子供とでもみてるのかな』


 小春は苦笑する。


 すると一番奥の席に座っていた男がゴホンッと大きく咳払いをした。


「あー、猫同士の喧嘩を眺めるのもいいが……皆そろそろ本題に入らぬか?」


 彼がそう言うと空気が変わった。

 男の声はとても重圧感があると同時に安心感を与える声だった。


 カラとルカスも喧嘩をやめてイシスに案内された席に座る。


 カラとルカスは自分を猫と例えられたことに少し納得がいかないのか不満げな顔をしている。


 奥に座っている男が口を開く。


「まずは、自己紹介からするか。私の名前はアトゥム。創造神である。よろしくな」


 彼は優しい笑みで三人に笑いかけた。三人は「よろしくお願いします」と頭を下げる。


「次は……シュウ。お前だ」


 シュウと呼ばれた男は「まぁ、アトゥムの話は聞かないといけないけどさぁテフヌトでも良いわけじゃん?なんで僕なのかなぁ……」とグダグダ喚いている。

 すると隣にいた女性が「じゃあ、私からやれば文句は無いのですよね? 貴方は私が貴方の身代わりになれば救われるのですよね? 私は貴方のために捨て駒になれば良いよですよね?」と聞いた。


 シュウは「まぁそうだけど、そうじゃなくてさぁ…………ね?」とまだ喚こうとする。

 女性はシュウのグダグダを無視してまた「貴方は私が犠牲になればいいと思ってるんですよ、きっと。私は貴方にとってそれだけの価値しかないんですね。」とヒステリックを起こし始めると、空気がジメジメし始めた。


 シュウは呆れたように「もう良いよ。僕がやれば良いんでしょ?」と項垂れる。

 アトゥムはため息を吐いた。


「僕は大気の神、シュウだよ。もうめんどくさい。なるべくこういう場では空気でいたいのになんで話しかけるんだよ‼︎ 僕のことなんかほっといても同じだろ?! なんかの嫌がらせなのかなぁ? これって何ハラに入るんだろ……」


 シュウは自己紹介を終えてもまだブツクサと何かを言っている。


 アトゥムは呆れながら「次」と言うと、先ほどのヒステリックな女性が三人に向き直る。


「私は湿気の神、テフヌトです。本当に私なんかが皆さんの前に立っちゃってごめんなさい。私の声なんか聞きたくないですよね。すみません。死んでお詫びします」


 テフヌトと名乗った女性はかみがお風呂上がりのように濡れている。


 彼女を見てルカスは『性格から見た目まで全部ジメジメしてるんだなぁ』と感心した。


 アトゥムは疲れた様子で「次」と言う。すると髭と髪の毛が無造作に生えた男が三人に向き直る。


「初めまして。俺は大地の神、ゲブ。よろしくね。」


 見た目に気を使っていないだけで物腰は柔らかくとてもこの中では普通の人だと小春は思った。


 三人は頭を下げる。


 ゲブは「俺はそんなに偉くないからそんなことしなくて良いよ!」と慌てていた。するとゲブの真反対に座っていた女が口を開く。


「そんなことないよぉ! ゲブ君は大地の神なんだからもっと偉そうにしても良いんだよ? 本当にゲブ君は優しいね! ゲブ君だぁいすき!」


 彼女はとても陽気にな笑顔を浮かべた。


「あ、私は天空の神、ヌトだよーん! 小春ちゃん、ないとは思うけどゲブ君に色目使ったりしないでね! その時は生界を永遠の嵐にするから‼︎」


 そう言い放つヌトの顔はずっと笑顔だったが、小春にはその笑顔が狂気的に見えた。


 カラが小春を安心させるように小春の背中に手を置く。その手の温もりで小春はほっとした。

 ルカスは笑顔のまま口を開く。


「その心配はいりませんよぉ。お嬢さんにはカラしか見えていませんからぁ。クックック」


 その言葉を聞いた小春の顔はみるみる赤くなる。

 それに釣られて赤くなったカラの顔を見てルカスは笑いを堪えるのに必死だった。


「あら、そうなの?! なら、よかった! 小春ちゃん! 応援するわ!」


 ヌトが小春に笑いかける。小春は苦笑した。


 アトゥムが頭を抱えながら「次」と呟く。


「私は先ほど、自己紹介をしましたが、改めて。豊穣の神、イシスよ。よろしくね」


イシスはヒラヒラと小さく手を振った。三人は頭を下げる。


「次は俺か。冥界の王、オシリスだ。ルカスとカラはよく知っているだろうがお嬢さんは先ほど初顔合わせだったからな。改めてよろしくお願いします」


 オシリスは少し胡散臭い笑みを浮かべる。

 小春は小さく頭を下げた。


「じゃあ次は俺か! さっきも言ったが、俺は戦争の神、セトだ! 俺は戦いと強いやつ以外に興味はない。強いやつの頼みなら聞くがそれ相応の対価をもらうからな!」


 ルカスは苦笑する。


「最後はアタシかしら。アタシは葬祭の神、ネフィティスよ。よろしく」


 彼女が軽く頭を下げると、セトがギロリと彼女を睨みつけた。

 ネフィティスはヒッと小さく声を漏らす。


「セト! ネフィティスを虐めるのはよせと何度言った⁉︎ さっさと睨むのをやめろ! お前の妻なんだぞ?」


 オシリスはセトを諭す。


「お前のせいだろ‼︎ お前がネフィティスを誘惑したから悪いんだろが‼︎」


セトはオシリスに逆上して怒鳴りつけた。

 ネフィティスがまた、ヒッと声を上げながら縮こまる。


 それと同時に小春の肩もビクッと跳ねた。

どうもっ!烏蛙です。今回は長めかもしれないですね。いやぁルカスとカラの喧嘩は僕的に需要が高いです。喧嘩シーンは書いてて楽しい!好き!ここでプチ情報いきます!神様達は今のところはエジプト神話をもとにしています。シュウとテフヌトの間にできた男女二人がヌトとゲブです。そして、その二人の子がイシス、オシリス、セト、ネフィティスの四人です。この四人の中でイシスとオシリスが夫婦で、セトとネフィティスも夫婦です。ですが、オシリスとネフィティスが不倫をしたためセトは怒っています。詳しいことは僕もあんまり調べてません。モデルはこれと言うだけなので違うところがあっても気にしないでください!それでは皆さん!さいなら〜!

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