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*完結* Dearest  作者: Terra
Petals Stir ~花弁の鼓動~
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COYOTE Waning Crescent[6]

Waning Gibbous[8]






 臨時講義には、出席するよう指示された生徒や、自主的に受ける生徒。後方には、他の教授もたくさん集まっていた。


 大学のウェブサイトには、生徒が参加する講義の資料や課題が確認できるよう、専用ページが設けられている。臨時講義の資料もまた、予めデータ化してダウンロードできるようにされていた。併せて、出席人数の確認もできる仕組みになっており、ホールには、予想を上回る人数が訪れていた。






 スクリーンには“狩猟の世界の裏の、犬と人”と、大きく掲げられていた。


 そのテーマの下に、余裕ある歩みで、女性講師が現れる。少しカジュアルなスーツ姿には、親しみやすさがあり、柔らかな人柄が浮かぶ。最前列の真ん中を陣取るキャシーは、より一層、この機会に魅力を感じた。




 講師は、職業内容を含めた自己紹介を済ませると、参加者を手元の資料に導きながら、本題に入った。



「ここには、動物医療系や飼育員、訓練士、ペットビジネス関係に就くことを視野にいれている人達が多いと思うの。あと、自然保護官もいそうね。

 私の仕事もまた、未来に大きく関わる役目を持ってる。それぞれ立つ場所は違えど、生き物と直に触れ合って状況を読むのは同じこと。

 今日は、この職業だから、この職場にいるからといった線引きを一旦外して、考えてみて欲しいことがある。ハンティングの歴史を通して、私達人間を見ていきましょう」



 話は18ー19世紀に遡る。そう切り出した講師は、狩猟に必要とされる専門の犬――猟犬の在り方について触れていった。



「当時の貴族のハンティングというものは、現代で想像するそれとは違い、派手な演出のようだった。予め、全体の動きを決めておくといったものだった」



 例えば、弾が当たりやすいよう、囲いに動物を集めるキャンドハンティング。決まった場所に仕掛けた罠で、故意に動物を宙に跳ね上げて撃ち落とす方法。その背景には、どうすれば楽に簡単に仕留められるかという考え方があったと、講師は語った。



「狩猟に使われる犬は高貴なもので、誤った人の手に渡るべきでない、ともされていた。昔は、庶民が飼う雑種犬が、貴族の犬と競うほどの能力を持っていると分かると、その能力は奪われてきた」



 その例として、脚を切って自由を奪うなどがあり、何世紀にもわたって当然のように行われていたのだと、講師は付け足す。



「また、犬の行動が社会や自然の秩序を乱すとされた時、すぐに罰せられることもよくあった」



 例えば、獲物の場所を伝えるポインティング。獲物を動けなくさせるセッティング。回収専門のレトリービング。これらは仕事の一種であり、猟犬は、1つの仕事に一生を尽くすと期待されていた。

 よって、複数の仕事を兼ねる犬は、良くないとされていた。それは、期待する仕事を強制するためであり、そのためならば、口を使えなくするといった手段も打たれていた。


 決まった獲物を追うよう訓練された犬が、もし別の獲物を追いかけるようなことがあれば、それは飼い主の飼育の悪さであると指摘された。そしてその犬は、時にその場で処分を下された。




 講師は一息置くと、ホール一帯の目を意識した。そのまま、淡々とした口調を変えずに、しかし次の発言からは少し緩やかに、鮮明になる。



「こうした行動の目的は、人の序列を守ることにあった」








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その他作品も含め 気が向きましたら是非



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