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ChatGPTで学ぶ論理的思考  作者: 天秤座
第7章:社会と論理的に向き合う視点
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批判的思考と陰謀論の違い

批判的思考クリティカル・シンキング」と「陰謀論」は、表面的にはどちらも“常識に疑問を持つ行為”として見えることがある。しかし両者は、その動機・方法・目的において本質的に異なる。現代社会で情報に対して健全な懐疑を持つためには、この違いを明確に理解しておく必要がある。


批判的思考とは、前提や根拠を問い直し、論理的な整合性をもとに判断を下す思考法である。それは「本当にそうだと言えるのか?」「その証拠は何か?」「他の視点はあるか?」といった問いを用いながら、自己の思考を客観的に点検し、誤りや偏りを修正していく姿勢である。


一方、陰謀論は特定の結論に執着し、その結論に合致する情報だけを取り入れ、都合の悪い反証や矛盾を無視または否定する傾向がある。たとえば「裏で誰かが操作している」という前提を前提として疑わず、その枠組みの中で全ての出来事を解釈してしまう。これは論理的な検証ではなく、信念の補強に近い。


両者の決定的な違いは、「反証可能性」にある。批判的思考は、自らの主張が間違っている可能性を認め、もし反証があれば修正しようとする姿勢を含んでいる。これは科学的態度と共通しており、知的誠実さの表れである。一方で、陰謀論は反証を逆に「陰謀の証拠」として用いることが多く、どれだけ論理的に否定しても、さらに深い“裏の裏”を持ち出すことで、自説を不動にしようとする。


また、批判的思考は「証拠の質」を重視する。情報源の信頼性、論拠の妥当性、他の解釈可能性を検討し、透明性と一貫性を大切にする。陰謀論は逆に、曖昧な情報、匿名の証言、単なる偶然の一致を大きく取り上げ、それを過度に拡大解釈して信じ込む傾向がある。


ChatGPTとの対話は、この違いを見極める訓練に役立つ。特定の主張を入力し、それに対する反論や代替視点を提示させることで、自分の思考がどこまで柔軟か、どこで盲目的になっているかを点検できる。陰謀論的思考に陥っている場合、AIが提示する反証的視点に違和感や拒絶を感じることで、自らの信念がどれだけ強固すぎるかを自覚する機会にもなる。


つまり、批判的思考とは「疑う力」であり、陰謀論とは「信じ込む力」である。前者は開かれた思考であり、後者は閉じた思考である。論理的に社会と向き合うには、後者の甘い魅力に流されず、常に検証可能性と知的誠実さを持ち続ける覚悟が求められる。



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