ハイエルフに転生して、色々とやらかしたのがバレた!
勢いだけで執筆しました。時代考察とか、時間軸とか諸々のツッコミは無しでお願いします。
ハイエルフに転生して何年、何十年、何百年、何千年と、この世界で過ごしたのか分からなくなってきた。
でもこのハイエルフとしての生活を辞めるつもりは毛頭無い。
やめるつもりは無いが、ハイエルフとして森の中での生活は刺激が何も無いので、森にはもう戻りたくない。
しかし、神聖視されるような、近寄り難い存在として扱われ、親しくできるような、気を許せるようなのが、もうだれもいなくなったのも、また寂しい。
あまりに寂しいって期間があって、つい、異世界召喚をしてしまった。一応の建前として、異世界勇者の召喚として、体裁は整えてある。世間体ってのはダイジだよね。寂しいってのが本当の理由だったのがバレたらおおごとでもある。
大事、大事。
さて、目の前にいる、この召喚した異世界勇者、どうも見たことがあるような、変な既視感を覚える。
初めての異世界召喚なので何か失敗でもしたのかとも思うが、失敗なら何も起きないはず。意図しないようなのが召喚されるような暴走はしないように保護系統の保険の術式をかけてあるから。
まだ意識がハッキリしてないのだろう。ぼや〜っとしている。しばらくすると、「先生?」小さいが、はっきりとした声が聞こえた。
あ…思い出した。はるか昔に何かの研究途中で死なしてしまった教え子が一人いた。…いや、そんな、まさか。まさかあの日本に転生してからこっちに帰ってくる事になるなんて…そんな事はありえない。
「先生、帰ってきました。」
ありえない事が、起きた。
事実は小説より奇なり。
とりあえず、元、教え子かも、しれない、この、異世界勇者を、教育するという、名目で、召喚した、この場を、取り繕って自室に急いで連れ戻った。疲れた。
「ねえ、本当にあの時の教え子?」
「そうですよ。日本に転生して生活してたら、先生の懐かしい感じの魔力が流れてきたんで、日本から離れたくない意識を分身体として残して召喚魔法に応じて帰ってきました。」
なにやってんだ、こいつは。あの日本には魔力なんて無かったはず…分身体を作って意識を分けて残してきた?ナニイッテンノ?
「そんな事よりも、先生?この防御魔法の絶対領域。どういう事ですか?」
「おや?無詠唱で防御魔法を唱えるとは、さすがは異世界勇者だね」
「何言ってんですか。この防御魔法、詠唱なんてしたくないですよ。『オニハソトフクハウチ』なんて節分な詠唱は。それに絶対領域って、意味が違うじゃないですか」
「え?節分?絶対領域…あ…」
「あ…じゃないですよ。あ…じゃ。日本に転生して節分の日に、『鬼は〜外、福は〜内』って豆投げしてるのを知った時に、思わず『オニハソトフクハウチ、絶対領域』なんて詠唱しちゃったじゃないですか。発動しなかったから良かったものの、姉に『絶対領域?えっち』ってなって、恥ずかしかったなんてものじゃないですよ。」
「あぁ、なんか、ごめん」
「もういいですよ。おかげであっちの日本での立ち回りをどうしたらいいか、考えるきっかけにもなりましたし。それよりも、あの巨大ゴーレム。鑑定したら『機動戦士鉄人ガーゲットドラゴンブイファイブ』なんて名前ですけど、色々とくっつけ過ぎのうえに、やりすぎです」
「え?いつの間に?ゴーレムはまだ紹介してないよね?」
「ここに来る途中で感知魔法を使ってあらかた確認しましたから」
「召喚したばかりだよね?やだ、この子。コワイ」
「先生から色々と教わりましたからね。えぇ色々と。今度は僕から色々と教えてあげます。例えば、機動戦士はテレビ、映画など合わせて何十作品もあって、魔人はカイザーとかエンペラーが出来てて、UFOは別にUの名のつく作品が新しく出来てて、ゲットなる作品はシリーズ化していっぱいあるんですよ。ブイとファイブは別作品で共闘して合体攻撃もしてますね。」
「なにそれ?ナニソレ?もっと詳しく」
「まぁまぁ落ち着いてください。あとで記憶転写して見せてあげますから」
「ホントに?本当に?」
「えぇ。ただ、先生が、他にもやらかしていないか、確認してからですけど、ね」
「え?そ、それはちょっ…と」
「じゃあ記憶転写は一切無しですね。他にも先生が気に入りそうな作品とか、甘味のレシピとか、先生が知らない家具家電とか、色々と覚えて再現出来るようにしましたのに」
「うぐ…べ、別に知られたからって何も減らないし…」
「あぁ、僕が看過できないようなやらかしがあった場合は、記憶転写は減点方式で減らしますからね」
「くっ……ころせ」
「はいはい。じゃあ行きますよ、先生。あ、そうだ、BLとかって広めてはいないですよね?」
「くっころせ」
「減点1」
「いやぁぁぁぁあ」
〜〜〜
「先生、この機動鉄人なんたらゴーレムは何目的で作ったんですか?」
「う〜ん、特に何も。敢えて目的って言うなら、作ってって頼まれたからかな」
「なんでこんなのを作ってなんて頼まれるんですか」
「むかし、モンスタースタンピードがあった時に、巨神兵ごっこで、薙ぎ払え!ってやった後に、再利用できないように崩れる所まで再現しちゃったから、その時の功績として残してって頼まれたの」
「減点1」
「うそぉ?なんで!?」
「巨神兵ごっことか言ってる時点でアウトです。先生の能力ならモンスタースタンピードくらい、ゴーレムなんて使わなくてもいいのに、わざわざゴーレムでごっこ遊びをするからです」
「ごっこ遊びなんてひどい。真面目にやってたのに」
「スタンピードの最中にこんなの作って、ご自身で巨神兵ごっことか言ってるからですよ」
「う、うぐっ…しくしく」
〜〜〜
「先生、この『真実のドラゴン』って名前を表示してるドラゴン型のゴーレムって…なんなんですか?」
「あぁ、これはね、ローマにある真実の口を参考にして、嘘なのかどうかをわかりやすくする為に作ったのさ」
「どうするのですか?」
「う〜ん、口頭で説明するよりも実践が早いかな。ここ何年かは使ってないし、丁度いい感じのがいたはず…あぁ、そこの君、例の犯罪者をここへ」
「はっ。すぐに連れてまいります」
「例の犯罪者って?」
「最近になって流れてきた、嘘偽りばかりの言動で悪い事をしてたのを捕まえてたんだよ」
「あの口の奥に嘘判定の識別用術式でも仕込んでるんですか?」
「そうだよ」
「…ドラゴン型のゴーレムじゃなくて水晶型とかでもよくないですか?」
「それだけじゃつまらないじゃないか」
(アウトな気がしてきた)
………
……
…
「エルフ様、連れてきました」
「うむ。ごくろう」
「くそ!オレは本当の事しか喋ってねえって!何度言ったらわかんだよ!」
「先生、この先の展開が読めたんですけど、ちょっと酷すぎやしませんか?」
「なにか勘違いをしてないかい?酷い事なんて何もないよ?」
「そうですか?まぁいいですけど…」
「さて、そこの流れ者君。これを見て分かるかな?」
「あぁん?ドラゴンの形をしたゴーレムだろ?そんなん見ただけで分かるだろ」
「そうだね。それじゃ見ててね。このドラゴンの開いてる口の中に、こうやって私の腕を入れて『私はハイエルフである』何も起きないね。じゃあ、次に嘘を言ってみるからね『私はドワーフである』」
ぐしゃッブチっボキボキ
「エルフ様!腕が!腕が!」
「おい!お前は、何を、やっているんだ」
「そうだね。嘘を言ったからこうやって腕が噛みちぎられてしまったね。それに血だらけになってしまった。あぁ痛い痛い」
「や、やめろ…オレはイヤだ」
「なんの事かな?本当の事を言ったら何も起きない。嘘を言わなければいいだけだ。今こうやって見せただろ?」
「オ、オレ、オレが悪かった!本当の事を喋る。今までのは全部嘘だ。だ、だから、やめてくれ」
「うん。よし。じゃあ連れて行って」
「それよりも!こんな奴よりもエルフ様の腕を!衛兵!救護班を!早く!」
「あぁ、君はまだ知らなかったか。大丈夫だよ。ほら、再生魔法でもう治ってる」
「エルフ様!さすがはエルフ様だ!」
「じゃあ、もういいよね。この流れ者を連れて行って」
「はっ!おい立て!」
「オレは…オレは…」
………
……
…
「どう?有用でしょ?」
「…先生、減点1」
「うそぉ!なんで!?」
「パフォーマンスが酷すぎます。やっぱり水晶型でいいじゃないですか。あと、このゴーレムは危険すぎます。封印しますね『ロックアウト』」
「あぁ~細部までこだわって作ったのに…まぁいっかまた作れば」
「また似たようなの作ったら減点1じゃ済まないですよ?」
「はい。もう作りません」
「なら、よし」
「シクシク」
〜〜〜
「ねぇ、再現魔法ってどんなのが再現できるの?嘘とか大風呂敷を広げてるとかじゃないのは分かるけど」
「そうですね。じゃあ一個だけ再会の記念にでも作りましょうか」
「やった!」
『リクリエイト』
「うん?ただのクッションじゃない?」
「名前は堕落椅子です」
「だらくいす?」
「まぁまぁ一回座ってみてください」
「ふ〜ん。ヨイショっと…何これ?ナニコレ?すんごい気持ちいいんだけど」
「中身はマイクロビーズという物が入ってまして、こっちの世界ではまず作れない物ですね。それで、一回座ると立てなくなるんですよ」
「そんな事無いでしょ…あれ?本当だ立てない。どうして?まぁいいや。気持ちいいし。もうずっとこのままでいいや」
「だから堕落椅子なんですよ」