第4話:武器と防具と女の子
その12:最強武器?
モチ&イオがM本先生に飛ばされた先は、発明家U川先生が管理する「ウダの館」。
自ら開発した日焼けマシンでいつも褐色のピカピカお肌を維持するU川先生(♂)は、カジュちゃんの連絡を受けて二人の武器を用意して待っていた。
「あんたたち遅かったじゃなぁい」
傍らで作業を手伝う男子生徒E藤君の尻をナデナデしながらU川先生は言う。
「…先生、パーツの組み立て終わりました」
頬をヒクヒク引き攣らせながら報告するE藤君。
「チェックお願いします」
ノーマルな彼の心は、作業が済んだらとっとと帰りたい気持ちでいっぱいだ。
「い~んじゃなぁい?」
ゴキゲンなU川先生、E藤君の耳にフッと息を吹きかける。
「じゃっ、俺帰りますんで」
そそくさと逃げ出すE藤君。
「あら冷たいんじゃなぁい?」
残念そうに見送るU川先生。
「…あの~…U川先生」
「俺たちも帰っちゃっていいですか?」
汗タラ顔で言うモチ&イオ。
「ちょっと待ちなさいよ~、あんたたちに渡す物があるんだから」
それを引き止め、U川先生はE藤君に作らせた物を差し出した。
「あんたたちブラックTと戦うんでしょ~、これ持って行きなさ~い」
手渡された物を見て、二人は目が点。
「…何スかこれ?」
「発泡スチロールの剣よ~、見りゃ分るでしょ~」
面倒くさそうに言うU川先生。
「何でそんなもん持って戦わなきゃならんのですか」
「発泡スチロールの武器なんて、殴ってもダメージ与えられないっスよ」
呆れる二人。
「馬鹿ね~あんたたち。ブラックTにはそれが一番効くのよぉ、そんな事も知らないの~?」
やれやれと溜息をつくU川先生。
「ブラックTはね~、発泡スチロールを擦り合わせる音が嫌いなの~分ったぁ? これテストに出すから覚えときなさ~い」
『そんな訳分らん問題出さないで下さい』
同時にツッコミ入れるモチ&イオ。
「とにかくブラックTを倒したら箱詰めしてアタシんとこに送ってちょうだい。顔と大事なとこは傷つけないでね~」
ニヤニヤ笑うU川先生。
「…って顔知ってんですかっ?」
驚く二人。
「ん~、だってあいつアタシのコレだし~」
指を一本立てるU川先生(♂)。
その指が表わすのは「彼氏」。
U川先生の交友関係って…
頭痛と眩暈を起こしつつ武器を手に「ウダの館」を出る二人なのでした…
その13:最強防具?
修行の旅(?)を終え、最強武器(?)を手に寮へ戻ったモチ&イオを、出迎えてくれたのは寮母のリユ。
「お帰りなさい。二人の防具作って待ってたのよ♪」
と言って彼女が差し出したのは、二枚のセーター。
「えっ、これ普通の服に見えるけど…」
キョトンとするイオ。
「見た目はただのセーターだけど、実は違うの。モチが以前教えてくれたアレを毛糸の代わりに使ってるから300メガ倍増よ♪」
笑顔のリユさん
「何が倍増するんですか?」
「………@@;」
訳が分らないイオの横で、一人青ざめるモチ。
「ヒミツ♪」
くすっと笑うとリユは二人にセーターを手渡し、自分の部屋へ帰っていった。
「…冗談だったのに…」
青ざめたまま呟くモチ。
「…なぁモチ、アレって何?」
???って感じのイオ。
「…そのセーター、首には絶対近付けるなよ」
モチは普段より低い声でそう忠告した。
「えっ、それじゃ着れないだろ?」
「…腰にでも巻いとけ」
やっぱり訳が分らないままのイオの背中を押しながら、ブラックTとの決戦の場に向かうモチなのでした…
その14:最強なのは…
カジュちゃんはブラックTを封印した部屋の前で待っていた。
「やっと帰ってきたのねっ」
ホッとした様子のカジュちゃん。
その近くには、しばき倒された巨大ヘビが大量。
「…そのヘビ、どうしたの?」
山のように積まれたヘビたちを見て、呆然とする二人。
「あ、これ? ブラックTの手下なの。うちのユズが食べられそうになったから夢中で倒しちゃった」
カジュちゃんの肩には、ペットの手乗りインコ「ユズ」がとまっている。
「も~大変だったのよ、大量にヘビが現れて。これだけ倒して残りはブラックTと一緒に封印したんだけど…あたし、か弱いから」
だって女の子だもん♪と恥らうカジュちゃん。
「…か弱い…かな?」
顔を見合わせるモチ&イオ。
「敵はこの中よ。毒ヘビもいるけど二人とも元気だから噛まれても大丈夫よね」
にっこり微笑むカジュちゃん。
しばき倒されたヘビの山には、巨大コブラも混じってる。
『…いや普通死ぬって』
ツッコミ入れる二人。
「大丈夫大丈夫♪ ほら、入って入って」
容赦無いカジュちゃんに背中を押されながら部屋に入るモチ&イオ。
中には、巨大ヘビがドッサリ
「げ…」
青ざめる二人。
暖房の効いた室内でくつろいでいたヘビたちは、侵入者に気付いた途端一斉に襲いかかってきた。
慌てて魔法を使おうとする二人だったが、その必要は全く無し。
「きゃ~っ、やだ~っ、来ないで~~っっ!!!」
二人の背後からカジュちゃんが飛び出して、魔法で出した巨大ハンマーを手に、悲鳴を上げながらヘビたちをしばき倒してゆく。
わずかな時間で、ヘビ全滅。
「あ~怖かったぁ」
そして二人の背後に戻るカジュちゃん。
『…嘘つけ!!!』
同時に振り返り、声をそろえてツッコミ入れる二人なのでした…