第2話:魔法学部
その5:自爆注意
自由度高過ぎなアサケ学園が他の学校と違うのは、「魔法学部」がある事。
本気で魔法使いを目指す熱き魂の持ち主だけが、この学部に入る事が出来る。
授業内容は時にデンジャラス。
「メガンテ!」
…ちゅど~んっっ!
「うわぁっ、モチが自爆したぁっ」
悲鳴が上がり、ガラガラと崩れる教室。
「こらぁっモチ! 自爆呪文は外でやれっつったろっ!」
怒鳴るM本先生(現担任)。
「E原、モチにザオリク(死者蘇生呪文)かけとけ」
言われて、溜息つきつつ魔法を使うE原君。
たとえ自爆しちゃっても回復してもらえるから大丈夫。
さあ、君も今すぐメガンテ隊に入ろう!(byモチ)
その6:双子?
魔法学部所属のモチには、とっても気の合う友がいる。
友の名はイオ。
「まんじゅうはこしあんが一番っ♪」
食べ物の好みに始まり…
「俺、胃ぃ弱いんだよねー」
体質に続き…
「痛ぇっ、本棚に頭ぶつけたっっ!」
…ドジまで一緒…
あまりにも似てるので、二人は占いオババ(何故か廊下の隅に普通に陣取ってる)に聞いてみたところ…
「あんたたちは双子なのさ」
…オババは語る。
「なぁんだ、そぉだったのか~♪」
普通に納得する二人とクラスメイトたち。
…ちょっと待て。
戸籍は全然違うだろ?
それでいいのか?
「お前たちは前世で魔王を倒した双子の勇者さ」
…などとオババが語れば…
「そういやF島先生って自分のサインに悪者って書くよな~。戦いに行ってみる?」
こそこそ相談
後日、家庭科室で調理実習中のF島先生にちょっかいを出しに行き、超激辛カレーを食わされて半泣きで逃げ帰った二人なのでした…
その7:旅立ち?
学園には遠方から入学してきた生徒の為の寮がある。
ある寒い冬の夜、寮の談話室でくつろいでいたモチとイオのもとへ、仲良しのカジュちゃんが走ってきた。
「二人とも逃げて!」
いきなり言われて、目をパチクリさせる二人。
「逃げてって…どしたの? カジュちゃん」
「…まさかF島先生がまた超激辛料理作って差し入れに来たとか…」
「ちがうの、そんないつもよくある事じゃないの」
カジュちゃんは必死に説明する。
「悪の化身・ブラックTが現れたのっ。前世で魔王を倒した双子を探してるのっ」
「じゃあそいつ倒しちゃおう、俺たちが」
「何言ってるの、モチなんかまだメガンテ(自爆呪文)しか使えないくせに」
気楽に言うモチに、ツッコミ入れるカジュちゃん。
するどい指摘に危うくメガンテしかかるモチだったが、いかんここで自爆しても意味が無ぇ、と踏みとどまった。
「とにかく、今は逃げて。修行してもっとレベルアップしたら戦いに戻ってきて。それまでブラックTはあたしが空き部屋に封印しとくから」
そう言って、カジュちゃんは談話室の窓を開けた。
冷気が流れ込む室内。
「ここから逃げて。冬だけど二人とも元気だから大丈夫よね」
にっこり微笑むカジュちゃん。
外は吹雪。
『…いや寒いって』
モチ・イオ同時にツッコミ入れた。
「んもぉしょうがないわね」
しぶしぶといった感じで魔法を使い、二人分の上着を出すカジュちゃん。
それは、世界的に有名な眼鏡の魔法使い君も愛用のコート。
「はいこれ。じゃ、頑張ってレベルアップしてきてね♪」
コートと一緒に二人を魔法で外に放り出すカジュちゃん。
「着るまで待つ気は無いんかい~~~!」
二人の抗議の声が、吹雪の中に虚しく響いた。
「あらあら大変ねぇ。二人に防具を作っておかなきゃね」
編物しながらのんびり言うのは寮母のリユさん。
毛糸に混じって、その傍らには怪しげな生物が…
「毛糸の代わりにコレ使うと300メガ倍増するのよね。試してみましょ…くすっ」
何を使う気だリユさん?
魔法学部卒業生の若き寮母さんは、ちょっぴり(かなり?)デンジャラスな人なのでした…