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一話

一話1話が短いです。

 学校が休みの土曜日。夕方近くまでバイトをしていた俺は、家の玄関を開けようとして、違和感に気付いた。


「おかしいな。確かに朝鍵を掛けたのを確認して出掛けたのに……」


 ガァーガァーッと掃除機の音がしている。


「父さん?」かと思ったが、俺の父さんはつい先日アメリカへと渡米したのを見送ったから知っていたし。俺には、母さんは愚か兄弟もいない。県外に祖母はいるが……。


 誰だ?泥棒?とも思ったが、泥棒が掃除機をかけるなんて話は聞いたことがない。


 ゆっくり、静かに、足音を立てないように、リビングへ行き、そっと扉を開けた。


「っ!?」


「あ、おっかえんなさぁいっ!!」


 見覚えのない女の子がいた。


 その女の子が、リビングの掃除をしていた。


 ビキニ姿で!!


「だれ?」


「暑かったでしょ?」


「え? じゃ、なくって……。え! ちょっ! ぃやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 帰宅早々、見も知らぬ女に裸にされた挙句、バスルームへと放り込まれた。


「どうですか? お湯加減は……」


「……。」


 泥棒なのか?たいして金目のものなんかないし。じゃなかったら、父さんの再婚相手?いや、それは犯罪になるだろ?じゃ、誰だ?


 頭の中が、絡んだ糸のようにこんがらがって……


「ここは?」と目を開けたら、いつものリビングで……


「ぎがづいだぁぁぁぁっ!!!」とさっきの女の子が、泣きながら俺の顔を見て、涙?鼻水?が俺の顔に落ちてきた。


 しかも……


「っ!!!」


 裸!しかも、そこだけタオル掛かってる!!


「どうして?」


 呼んでもなかなか、返事がなく、扉を開けたら沈む寸前で、慌ててここまで運んだらしい。


「で、君は誰?」


「蜜、です」


 父さんが、俺の事を心配して、アメリカのあるメイド協会から派遣されてきたらしい。日本人。


 ビキニなのは、ちょうど風呂掃除をしてて、暑くなって着替えたと。


「そう……。じゃ、なくて、その……」


「大丈夫です。ちゃんと、ご主人様のは守っておきましたから」


 守るとは?!ってことは?


「可愛いかったですぅ」の一言で、気を失いそうだった。


 み、見られた!まだ、誰にも見せてないのに!(親は除く)


「大丈夫ですよ。触ってませんから。ちょっと、つついただけですし」


 おムコに行けるかしら?


 その蜜というメイドが作った料理を食べながら、


「俺、別に困ってないよ? 料理も掃除も洗濯も普通にできるし……」そう言ったら、


「そんなこと言わないで下さいよぉ! せっかく、お父様に頼まれて来たんですからぁ!」とごねられた。


「なんならぁ……」


 その蜜が、近づいて耳元で……


「アッチのお手伝いもしますからぁ」と言われた時、俺は激しくムセた。


「てへっ」


 いや、てへっ、じゃねーし。



 夜は、夜で、必死に背中を流すと言い張る蜜に負けて……


「さぁ、お身体洗いますよぉ」と俺が目隠しをして、蜜が裸で洗ってきた。


 なんか、違う。


 なんか、おかしい。


 これ、なんかのプレイか?


「い、いや。ここは、いいからッ!!」とソコだけ阻止!


「いいじゃん! もぉ、見てるんだし、触ってるんだし」とごね始めたから、追い出した。


 そして……。


「ごーしゅーじーんーっ! あーけーてーっ!!」


 廊下に締め出された蜜は、部屋のドアをガンガン叩いたが、暫くして静かになった。


「諦めたのか?」


 バンッ!!


「…は?」


 蜜が、部屋に入ってきた。俺の部屋のドアを蹴り破って……。


 ゴクッ……


「ご主人さま。寝ましょ?」


 その物凄い力を見せつけられた俺は、頷くしかなかった。


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