コーヒーと今後のこと
久しぶりの更新。アミュレットの方を更新するのは本当いつぶりだろう。これからはこっちメインで行きます。
二作品ともよしなにお願いします。
チュンチュン––––
外の庭で囀っている鳥の声で目を覚ます。
「う〜ん、ベッドで寝たからかな、疲れがほとんど無いや」
その言葉に偽りは無く、昨日までの疲労が嘘みたいに吹っ飛んでいて、今ならなんだって出来そうな気分だ。
ちょっとした全能感に包まれながら着替えや洗顔を済まし、広間へ。そこでは、優雅に足を組みながら黒い飲み物を飲んでいるナターシャさんがいた。
「お、リオンおはよう。早いな」
「おはようございます。ところで、今飲んでいる黒いのは何ですか?」
「これか?これはコーヒーって言う飲み物だ。苦いから、リオンにはまだ早いかもな」
「こーひー、ですか。一回飲んで見たいです!」
「いや、苦いぞ?これ」
「ちょっとだけでいいんです!」
「そこまで言うなら、ホレ。飲んでみな」
ナターシャさんから差し出されたカップを受け取り、中身を見つめる。手の揺れによる波紋が綺麗だった。そして、コーヒーを口へと運ぶ。
「苦っ!」
「ははは、だから言ったろう。まだ早いって」
ちょっと前の自分の好奇心を恨む。う〜、すごく苦いよ……ナターシャさんアレを飲めるんだ。すごい。
ちょっと涙目になりつつ苦みに悶える僕を微笑ましく見つめるナターシャさんは、ふと思い出したように言った。
「それにしてもスティのやつ遅いな。よしリオン、あいつの部屋行って起こして来い」
「はい、分かりました」
廊下を歩き、スティの部屋の前に来た。僕の部屋と変わらない扉をノックして尋ねる。
コンコン、
「スティ起きてる?」
「リオン?う〜、あと3分だけ……」
「あと3分だけだよ」
もしかしたらスティは朝に弱いタイプなのかも知れない。そう言うところは人それぞれだよね。
それにしてもここって、何度見ても綺麗なところだなぁ。
廊下から見える外の景色は、僕の部屋の窓と違い、川が流れていた。スティを待つ3分の間、窓から見える景色と微かに聞こえる川のせせらぎ、魚の跳ねる音を楽しんだ。
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景色を存分に楽しんで心癒された後、再びスティの部屋の前へ。コンコン、
「スティ、起きた?」
「うん、ちょっと、待ってて……」
しばし待つと、扉が開いて寝癖はそのままに着替えだけしたスティが出てきた。
「ふわぁーあ、リオンおはよう」
「おはよう、スティ。ナターシャさんが呼んでたよ?」
「分かった」
なんだか猫みたいにぐっと背伸びして歩き出す。やっぱり髪の毛、変だなぁ。
「スティ、髪梳いて良い?寝癖もあるし」
「ふぇ?い、いいわよ別に!」
「んじゃ失礼」
「ひゃあ!?そ、そう言う意味じゃ……でもまぁ、お願い」
「うん!」
顔をりんごの様に真っ赤してスティが言う。しっかり髪の毛を整えてあげなくちゃ。せっかくの綺麗な赤髪が台無しになっちゃう。
張り切って髪の毛を梳いて整えるリオンを一目見やって、スティは小さく呟いた。
「はぁ、リオンって天然っ子だったのね……」
その一言が、少年に届くことは無かった。
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スティの髪の毛を整え終え、広間へと戻った。するとそこには、サラダ、スープ、そして小さなパン。一般的な朝食二人分が並んでいた。スープからは湯気が立ち昇り、いかにも出来立て、といった風情だった。
「わぁぁ」
「やっと来たか。遅かったから、さっきの間に朝食を作って置いた。私は先に食べてしまったから、二人で食べてくれ」
ナターシャさんはそう言い残して去っていった。その後ろ姿を見送り、目の前の朝食に再び視線を落とした。いわゆる普通の朝食だ。ここまでの朝食を始めて見た。いつもは黒パンとクズ野菜だったのだ。朝からのこう言った食事に驚くのは仕方がないだろう。
「「いただきます」」
手を合わせて食べ物に感謝してから食べる。こう言った礼儀作法もあの門番さんに教えて貰った。
まずはスープを一口。
「熱っ!?」
「プッ、リオン何やってるのよ」
「あはは……」
熱い!てか湯気立ってたし当然か。でも予想以上に熱かった。次からは冷ましてから食べよう。
フーフー、とすくったスープを冷まし、再び口へと運ぶ
昨日食べたあのシチューはちょうどよかったのに……
「おいしい!」
まだ少し熱を残すスープは、口当たりもよく、具材との相性?も良さそうだった。スプーンを動かす手が止まらない。
久しぶりに食べたちょっぴり豪華な朝食は、とても美味しく感じられた。
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朝食を全て食べ終え、現在スティと二人でナターシャさんの部屋の前に来ている。いや〜朝食、本当に美味しかった。
ナターシャさんに「朝食の後、二人で来てくれ」と言われ、今に至る。
「お師匠様、急に呼び出したりしてどうしたんだろう」
「多分、これからのことじゃないかな。僕の。」
コンコン。ノックをして尋ねる。
「ナターシャさん、入っても良いですか」
「お、来たか。二人ともこっちに座ってくれ」
部屋は執務室のようなところで、一人用の椅子にナターシャさんが。長机を挟んで対面のソファーに僕らが並んで座る形になっている。
「さて、何故呼んだかは察しているようだね。そうリオン、君のことだ」
名を呼ばれ、思わず背筋を伸ばしてしまう。もしかして……厄介払いされる?
「リオンに問おう。君はこれからどうしたい?」
「僕は–––––」
そこまで出かけた言葉は、自身に浮かんだ疑問によって掻き消された。
一体、僕はどうしたい?できるならここに居たい。二人と一緒に。だけど、僕は所詮他人なのだ。つい昨日知り合ったばかりの他人なのだ。そんな要らない子を、僕を匿う理由があるか?答えは否。メリットが無いのだ。だからこそ、自分のワガママを自分自身で封殺する。
「リオン、君は自分が“要らない子”“メリットが無い”そう思っていないかい?ネガティブな思考に陥っていないかい?君はまだ、不安定なんだ。この間に激情して起こした魔力暴走。君の身に宿るたくさんの魔力が、自身を狂わす要素となっている。一旦落ち着いて見ないかい?気持ちと一緒に魔力は落ち着く。君の心の揺れが、魔力を介して伝わってくる。私たちは、リオンを追いだしたりなんて、絶対にしない。だから、そんな悲しそうな、寂しそうな顔をしないでくれ」
気持ちを押し殺すのでは無く、操る。未だによくわからない魔力を動かす。1箇所に集めて、動きを静ませる。
「ふぅ」
「おぉ、いいぞリオン。それでいい。では改めて問おう。君はこれからどうしたい?」
「僕は–––––僕は、ナターシャさんと、スティと一緒に居たい、です」
「よくぞ言ってくれた。そうだよリオン、それでいい。自分に正直であれ。正直、魔力制御があまり出来ない子は、危なっかしくて、面倒を見ていたい、ていうのもあるけれどね」
「ありがとうリオン!私、リオンが出てっちゃうのかと思った!」
「あはは、ありがとう。でも、ここに住って、何をすればいいんでしょう?正直僕は出来ることが少ないですよ?」
「リオンにはな、スティと一緒に、私に魔法を教わって欲しい。そうすれば、いつかここを出ることだって出来るし、何より、私が楽しみだ。規格外の魔力を持つ少年が、どこまで高みに昇り詰められるかも興味がある」
「魔法を……!やります!僕、やり切ってみせます!」
「はははっ、では改めてよろしく、リオン」
「私からもよろしくね!」
僕は差し出された手を取って。
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
ちなみにこの時の彼らには、修行の時を経て、リオン達がどこまで成長するのか。それは、誰にも知る由は無かった。
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これからも雨燕と拙作をよろしくお願いします。
作品は狂喜乱舞以下略。