両親と御守り
はい、第一話からスタートでございます。
一度心機一転してモチベを上げて行きたいと思っています。
ではよろしくお願いします。
これは、僕、リオンが『氷結の魔道士』として世界に名を馳せるまでの成長のお話。それは、僕が8歳だった頃の話から始まる。
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僕は、貧民の一人息子だった。家はボロボロで、着るものもツギハギだらけ。貧しそうな青髪の子、として周囲からは
認識されていた。既にお母さんは他界、残るお父さんは魔法使いで、村の自警団だったが、今は病床に伏せている。
ある日、いつもの様に川へ行き、そに水を汲んで家に帰って来た時のこと。お父さんが胸を押さえて咽せていた。
「大丈夫!?お父さん、まだ死んじゃ嫌だよ…。ほら、水飲んで。」
「ゴホッ、いやいい。俺はもう長くない。せめて最後に形見を、と思ってな。さっき作ったんだが、これを受け取ってくれないか。」
そう言ってお父さんが差し出してきたのは、氷で作られた華が添えられた小さな御守りだった。
「これは…?」
「俺の形見だ。ゴホッ、実はその氷は、父さんの全魔力を注ぎ込んで作った御守りだ。最低でも10年は凍ったままだ。だからそれを父さんと思って、大事にしてくれ。ゴホゴホッ、」
「無理しないでよ!魔力を全部使うって、本当に死んじゃうよ!」
すると父さんは弱々しく笑って。
「ゴホッ、もう元々死にかけだったんだ。だったら最後に、形見ぐらい残してもいいだろ?ゴホッ、ゴホゴホ!」
「ほら、横になってて!水を飲んで休んでよ。僕は薬を買えるようにするから!」
「はは、もう父さん眠くなってきちゃったな。リオン、俺からほとんど何もしてやれなくてごめんな。だからせめて、自由に生きてくれ。それが父さんの願いだ。じゃあな。」
そう言い残し、お父さんは目を閉じる。
「父さん?ねぇ父さん、返事してよ。死なないでよ。まだ、僕と一緒に居てよ。もっと一緒に話そうよ。ねぇ、父さんったら!僕を…独りに…しないでよ……」
大粒の涙が頬を流れ落ち、言い表せぬ喪失感が僕を襲う。僕は、孤独だ。父さんの母さんもいなくなって、僕は独りだ。手元に残されているのは、父の形見だけだった。
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僕は、それからの毎日を人形の様に過ごした。ただひたすらに、無感情に。世界から色が消えた。周りのあらゆることがどうでもよく、いらない物だった。ただ一つ、形見があればそれで良かった。そんな無意味な日々が通り過ぎて行く。
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いつもの様に最低限の食事のみを取っていた時。隣の家で火事が起きた。その火は僕の家をも焼き焦がした。やがて僕は住む場所、いるべき場所をも奪われた。
そんな僕は、村にたまたま居合わせた奴隷商に捕まり、村から、連れ出されることになった。それはまさに、自分の居場所を奪われるような気がして。その日の夜。
「お前、ちゃんと掃除をしておけと言っただろう。何故してないんだ。」
「……」
「おい、お前主人に逆らうのか?……うん?お前いい物を持っているじゃないか。それ、万年氷だな?よし。それを渡せば許してやろう。ほら、よこせ。」
「……」
「嫌なら力ずくで奪うまでだ。往生際が悪いんだよ!おい雇われ、こいつから万年氷を奪れ。」
「あいよ、おいガキ、悪いがこれは貰ってくぜ。」
奴隷商の雇われ用心棒の手が伸びてくる。
「……やだ」
「あん?何か言ったか?」
「……嫌だ。」
「嫌だ〜?そんなの知るか、よこしやがれ。」
ついに手が強引に形見を奪おうとする。
「嫌だって言ってるだろ!!!!」
そう叫んだ瞬間、僕を中心として、周囲が一瞬にして凍り付いた。それによって、奴隷商や用心棒、近くにいた奴隷達は全員が凍り付き、氷の彫像と化した。
それに留まらず、奴隷商の馬車や近く樹木など、周囲の物を凍らせ続けた。近くを飛んできた鳥でさえ凍りつく、極寒の世界を僕は作り上げた。
この時、僕に意識は無く、ただ形見を守る、という感情の元に、氷魔法を無意識に全力で使っていたのだ。一瞬にして周囲は銀世界、何もかもを凍てつかせる。
そんな氷獄の世界に、一人の人間が踏み込んだ。
「誰だこれをやったのは…。私でもギリギリ耐えられるぐらいだな……」
その人間は赤いローブを着て、赤く燃え盛る炎を手から上げて、この超低温の世界から身を守っていた。そしてリオンのもとへ近づく。
「コレハワタサナイ…!」
僕はまた近づいて来た人物を形見から遠ざけようと魔法を使う。
「なるほど。この子の魔法の暴発か。だが、放っておくと魔力の過剰使用で死んでしまう。助けないとだな」
魔法を使い続けているというのに、その人間はこちらに向かってくる。そしてここでも尚、抵抗して唸りを上げる僕を抱きしめてこう言った。
「ほら、もう大丈夫だ。私は君の物を奪ったりしないし、こうやって君を温めてあげられる。だから、安心して。」
「君は独りじゃないから。」
その言葉を聞いた途端、全身から力が抜けて、その人に向けて倒れ込んだ。もの凄い疲労感に襲われ、動けそうにない。
「やっぱり、この子は連れて帰った方が良さそうだ。よし、私はナターシャだ。君は何て言うんだい?」
「…リオン。」
「リオンか。いい名前だ。疲れてるみたいだから、ゆっくり休んでおくれ。」
僕は自分の名前を言うのが精一杯で、すぐに眠りについた。
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