表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

間話 あと2手の詰め将棋

 天上院姫と天上院咲は互いの盤上をみやる。咲が主人公のように、姫が悪役のように、その場を制する。

「とりあえずさあ、次やるときは早打ちやめて。誰も得しないよこんなの」

「まあ、そりゃそうなんだが。知っちゃった以上、新しさを求めるのは当然なわけで~」

「ダメ、プロットから練って」

 色々言いたいことはあったが、昭和の政治家を愚弄するような指し手はもうこりごりだった。姫はその言葉に出さない言動に反省の色を示す。

「とわ言え、このゲームもあと2手で終わる。私の負けでな。あとは咲がどう駒を指すかで決まる」

「……、投了はしないの?」

「最後に王将をお前が奪うまで諦めんさ、それまでは思考は巡らせ続ける」

「問題は、この棋譜が決定稿になった時に【何が起きるか】よね」

「そう、そこが読めない……これだけの盤上の駒……。それぞれの思惑、止まらない時間、終わらない盤面。およそ12年ほどこう着状態だった盤面に終止符を打つとどうなるか……」

「私達2人だけでは解らないと」

「……」

「……、じゃあ善悪でこう動くって決めたら?」

「狭間はどうする?」

「どっちつかずはあとで混乱を招く、今回は白黒しっかりつけて。しっかり廻す。互いがその白黒背負ってその人生を歩む」

「なるほど、で? 勝敗が決したあとの戦利品はどうする」

「よくわかんないけど、割り勘した200円のアイスを勝った方が手に入れる。ってことにしときましょう」

「ということは、私は100円失って。咲にアイスを食べられるのは確定か……」

「結果じゃなくて【過程】が重要なんでしょ?」

「……、そうじゃった……。今後こんな変な盤面はやめてほしいな」

「それはお姉ちゃんの無意識でしょ、なら誓って」

「何を?」

「公開は公開に、非公開は非公開に。パソコンはパソコンに。因果とか螺旋とか関係なしに、してちょうだい」

「それは、誰も知る必要はないと捉えられるぞ?」

「ならそれは、別のジャンルでやってちょうだい」

「……わかった【リバース】を私の意思であるべき姿に戻す。この棋譜はネット公開して良いんだな?」

「いいよ、最後の2手ぐらい。集中して考えさせて」

「おっけい。変換せずに、目は目に、公開は公開に。ただ、あるがままに元通りにする。それを誓う」

 あと2手で決着がつく。その反動は想像もつかない。

 咲が、次の駒を手に取り。天上まであげる、そこから天下させ盤面に差し込んだところで。


 ――パチリ。


 世界は暗転した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ