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後輩ちゃんと衝撃の事実

「せんぱぁい…年下の女の子をママ呼ばわりして頼ってくるそのどうしようもない小物っぷり…やはりあなたは私の理想の(おもちゃ)です…♪」


そう言って雪村は俺の頭を撫でてくれる。

どさくさに紛れて谷間に頭を突っ込んだ俺を優しく受け入れてくる彼女はまさに慈愛の女神そのものだ。

母性の象徴たる双丘も柔らかく、俺は全方位をIYA.SI.(イヤシ)フィールドに包まれていた。

ここが天国か。もう死んでもいい…


「なら私が引導を渡してやろう」


「一回死んだほうが朝日ちゃんのためになりそうね」


ガシリと両肩が掴まれる。

フィールドは万能ではなかった。無防備だった背後にいつの間にか麻宮姉妹が接近しており、あっけなく突破されたのである。俺の楽園は瞬く間に崩壊したのだ。


「いやだぁ!まだ死にたくない!助けてママン!」


「往生際悪いですねぇ、先輩」


死んでもいい?そんなの言葉の綾に決まってるだろ!

俺にはハーレムを作るという壮大な野望があるんだ、こんなところで死んでいい男では断じてない。


だから助けてくれ雪村。今も肩がギチギチと嫌な悲鳴をあげてる真っ最中なんだ。

これは女子の握力では断じてない。ゴリラ並の筋力で、俺の体は今にも二つに引き裂かれようとしていた。


「二等分の花婿になっちゃうぅ…俺はたとえ顔が半分になろうとも圧倒的なイケメンだけど、分割商法したら通信交換しないとパーフェクトイケメンにならないなんて世の女性から顰蹙(ひんしゅく)喰らうだろうが…!」


「案外余裕ありますね。あと言っておきますが、先輩はそこまでイケメンじゃありませんよ。せいぜい上の下くらいの顔です」


なん……だと……!?


ここにきて衝撃的な事実が俺を襲った。

お、俺が普通のイケメンだと…!


あまりのショックに俺は思わず両手から力が抜け、しがみついていた雪村から離れてしまう。



「あっ、ちょっ…」


「さよなら、先輩♪」



あ、これ死んだわ。



五体が引き裂かれていく感覚とともに、俺の絶叫が学校中へと響き渡るのだった。







「おー、いててて…俺じゃなかったら死んでたぞ、お前ら…」


「自業自得だ」


「朝日ちゃんってほんと丈夫ねぇ…」


俺は痛む体をさすりながら、双子と並んで廊下を歩いているところだった。

ちなみに五体満足である。俺の体はキッチリと繋がっていた。すぐねじ切れるソフビ人形などと一緒にしないでいただきたい。


タフなのが顔と並んで俺の自慢できる長所だ。体はそれなりに鍛えているからな。

何故かって?そんなのほら、決まってるだろ。ハーレム目指すやつが体力なくてどうするんだよ。この、このっ♪


「ていうか先輩、急いでくださいよ。もうすぐ購買しまっちゃいますよ」


「へいへい」


前を歩く雪村が俺を急かす。全く小悪魔な後輩だぜ…。


あの後、俺にお仕置きしたことでスッキリしたのか、双子と雪村はあっさり和解した。元々二人も購買にいく途中だったようで、ぶっ倒れていた俺は強引に起こされ、四人で食堂に向かっているところだ。


美少女に囲まれて校内を闊歩する…フッ、俺の理想がまたひとつ叶ってしまった。

内心ウッキウキである。この見返りとして全員に奢ることなど、逆にお釣りがくるくらいだ。


羨望の眼差しを受けて歩く俺はまさにハーレム主人公。先ほどまでの修羅場もあっさり忘れ、俺は食堂へ行くのであった。


ちなみに周りの生徒は先ほどまでの修羅場をしっかりと覚えており、朝日に送っていた視線はどちらかというと呆れや憐憫の眼差しであったという。



あと焼きそばパンは売り切れていたため、後藤くんにはコッペパンを買ってきてあげた。

文句を言いながらきっちり食べるあたり、やはり後藤くんはチョロいと思う。

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[一言] 数少ないであろう良心(チョロイン)後藤くん
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