表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

塀の中の3周年

今日でこの刑務所に収監されてからちょうど3年だ。

あれから3年。

飛行機事故で亡くなった恋人に会うためにどうしても過去に戻りたかった。

理論上、過去に戻れるのはたったの3分間だけだったがそれでも戻りたかった。

その際、国の研究機関の莫大なエネルギーを私的に利用してタイムスリップしたことにより業務上横領罪に問われ、俺は刑務所に入ることとなった。

後悔はしていない。

ほんの少しでも愛するミエに会えたのだから…


この3年は文字通り色の無い生活だった。

毎日ひたすら同じことの繰り返し。

言われたことを素直に言われたとおりに行う。

ただただそれだけの繰り返し。

有罪判決を受けたときの刑期は5年だったがいつのまにか模範囚ということになり当初の5年の刑期はかなり短くなる様子だった。

だが、それにも興味が持てなかった。

刑務所から早く出所したところでその先に何があるのだろうか。


「33番オカヤマ、面会だ」

突然刑務官から声をかけられ戸惑う。

俺に面会?

家族とは縁を切ったはずだ。

業務上横領罪に問われたことで友人も失った。

一体誰が?


不安な気持ちで面会室に入ると、そこには一人の女性が座っていた。

「えええっ!!ミエっ!?」

「オカヤマくん、やっと会えた…まさか刑務所に入っているなんて…」

頭の中が混乱してきた。

ミエは10年以上前に飛行機事故で亡くなったはずだ。

だからこそ業務上横領罪まで犯して俺は過去にタイムスリップしたんだ。

なのに、目の前にミエが座っている…

しかもタイムスリップしたときに3分間だけ会ったときのミエとそんなに歳も変わっていない感じだ。

「一体何が、どうなって…」

「オカヤマくんが10年前の私に会いに来てくれたあの時、泣いてばかりで何も言わないで消えちゃうんだもん。それって、少なくとも未来のオカヤマくんのそばに私はいないということだよね?一体、私に何を伝えようとしたのか気になって気になって、それで私も頑張って未来に行くタイムマシンを作ったの」

そうだったのか。

ふむふむ…確かに、過去に行くよりも未来に行く方が必要なエネルギーはかなり小さい。

そのため、装置もそんなに大がかりでなくても済むはずだ。

…いやいや、それでも俺でも10年かかったんだぞ?

「ミエは天才だな…」

「普通ならタイムマシンなんて出来っこないって諦めちゃうけど、実際にオカヤマくんが会いに来てくれていたから絶対に出来ると思って頑張れたんだ」

そうか…俺が過去に行ったことが過去のミエに頑張る力を与えたのか…

「それでオカヤマくん、一体私に何を伝えたかったの?」

俺はミエが飛行機事故で亡くなってしまうという事実を伝えることを躊躇した。伝えても歴史は変わらないかもしれない…だとしたら残酷だ。

「ミエ…この未来の世界にはどれ位滞在できるんだ?」

「十分なエネルギーを使ってきたから3日くらい居られるよ」


今すぐ刑務所から出たい!

「刑務官殿!俺はあとどれ位で出所できそうでしょうか!?」

俺は近くに居た顔見知りの刑務官に質問した。

「今手続き中だから、明日には出られると思うよ」

やった!

今度こそミエを抱きしめることが出来る!

模範囚として過ごしてきて良かった!

なんて素晴らしい3周年記念日なんだ!


その時、ミエが急に叫んだ。

「あれ!?なんか引っ張られるー!」

「ミエっ!?」

目の前に居たミエは眩い光と轟音と共に消えてしまった。

ああ、そうか。

俺を探すのに結構時間がかかってしまったということなのね…

今から3日ではなくて全部で3日だったのね…

そこは一番最初に言おうよ…


また『どうでもいい3周年記念日』に戻ってしまった…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ