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最後に3分間だけでも会いたい

ここまで来るのに10年もかかってしまった。

ようやくタイムマシンが完成した。

タイムマシンといってもSFでよくあるような乗り物が完成したわけではない。対象物を一定時間過去に送り込むことが出来るエネルギー発生源だ。

相対性理論によると光の速度を超えなければ過去には行けない。そして、光の速度を超るためには莫大なエネルギーが必要だった。

俺はそのためにまずは国の研究機関に入って核融合の研究に力を注いだ。次いで、そのエネルギーを過去に遡るために正確に制御する理論の構築に密かに取り組んだ。10年はあっという間だった。

だが、これでミエに会える…

10年前のあの日、突然亡くなってしまった婚約者のミエに…


手元の核融合エネルギーを全て使っても過去に留まれるのは3分間だけだ。

これだけのエネルギー源を集めるのにどれだけの予算を費やしたか…

ある種、国を相手に詐欺を働いてきたとも言える。

タイムマシンのことは伏せて単に核融合の研究をすると称して莫大な予算を使ってきたのだから…

だがそれも全てはミエに会うため。

チャンスは1回だけだ。

3分間経つと強制的に元の時間に戻されてしまう。

そして戻ってきたら俺は巨大エネルギーの無断使用の横領罪で逮捕されるだろう。

2度目は無い。


俺は過去のどの時間のどの場所に戻るのかを正確に計算しコンピューターに入力した。

「行くぞっ!」

覚悟を決めて装置のスイッチを押した。

体の中心部がおもいっきり体の外に向かって引っ張られるようなあまり快適とは言えない感覚に包まれた。


気がつくと俺はミエと暮らしていたアパートの中に立っていた。

急いで部屋の壁に掛かっている電子カレンダーで日付と時刻を確認した。

そうだ。

この日だ。

ミエが俺の誕生日をサプライズで祝ってくれるために仕事を早退して帰ってくる日。

だが、家の中には人の気配はしなかった。

いや、間違いなくこの日にミエは家でサプライズパーティーを開いてくれたはずだ。

相当な量の料理やら手の込んだ部屋の飾り付けやらを考えたらこの時間には戻ってきているはずだが…

その時、玄関から人が入ってくる気配がした。

「ミエ!」

俺は玄関にいるミエに駆け寄った。

「オカヤマくんっ!?あれ?なんでこんなに早く帰ってるの?」

ミエは両手いっぱいに買い物袋を抱えていた。

「ミエ…」

「あれ?オカヤマくん疲れてる?なんか急に老け込んじゃったんじゃない?大丈夫?」

「あ、いや、話しても信じてくれるかどうか分からないけど俺は10年後からタイムスリップしてきたんだ…」

「え?」

「ここにいられるのは3分間だけなんだ。3分経つと強制的に元の時間に戻されてしまうんだ」

「よく分からないけど、オカヤマくんの言うことは私信じるよ」

「ミエ…」

「それで、何のためにタイムスリップしてきたの?」

「ミエ…会いたかったよ…」

「オカヤマくん、泣いてるの?」

「ごめん…」

その時、急に体の中心部がおもいっきり体の外に向かって引っ張られるようなあまり快適とは言えない感覚に包まれた。

もう3分経ったのか!

「ミエっ!」

俺はミエに手を伸ばした。

だが、目の前に立っていたミエの姿はぼやけ、俺の手が届くことはなかった。

元の時間に飛ばされる前ギリギリでミエの声が聞こえた。


「ちょっと待って-!これじゃ不安しか残らないんですけどー!!」


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