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006:アルビダ

 

 一言日記byクマ:クラミチと一緒にギルドにいた!でも、アルビダさんと話している時もやもやした。・・・もしかして




 ※※※




「誰だ、あんちゃん?その嬢ちゃんの連れか?」


 冒険者の一人はそう言って俺を威圧する。

 しかし俺は全く動じず少し睨み返すと逆に相手が怯んだ。


「そうだ、この子が何か迷惑をかけたか?」


 俺はあそこで痛がっている奴がさも眼中にないかのように言うと「なんだと?」と、男は剣を抜こうと腰の手をやる。


「・・・おまえ」


「ギルドの規定違反を未然に防いであげたんだ。少しは感謝したらどうだ?」


 そういって俺は男に剣を返した。

 ギルドにはいくつかの規定があり、冒険者と言う力を持つ職だからこそかなり厳しくなっている。

 破った者は様々な処罰を受けることになっており、その裁量はギルドマスターによって変わる。


「ふざけやがって・・・!雷ま―――ごふっ!」


 男は突如として意識を失い膝から崩れる。


「・・・人に対して自己防衛以外でのスキル使用、規定違反だ」


 彼が崩れたのはクラミチの歩法と空間魔法の合わせ技による移動と特殊体術による腹パン。


「な、アニキ!?」


「なんだよー、なんだよ―、このギルド!俺たちは聖都でBランク取った冒険者だぞ!」


 足を折られた奴は涙目でそう言い、いまだ無傷の奴は先ほど雷魔法を放とうとしたリーダーと思われる人物に駆け寄る。


「・・・聖都のBランクね、だからその程度か」


「なッ、なんだと!」


 男は怒るが足がおれていているため、わめくだけだ。


「おい坊主、いいこと教えてやるよ」


 そう言って肩を叩くのは中年の頬に傷があるこのあたりの顔が効く男の冒険者だ。


「ここにあるダンジョンはな?全部が最下層又は最上層50以上のSランクダンジョンなんだ。つまり、ここでダンジョンを入るために必要なギルド共通ランクはS。そして、今お前さんらを見守っている連中は全員がそのSランクダンジョンに参加できる免許を持つ『B止め』のベテラン冒険者。そして、あいつはこのギルドの最高戦力にして特別顧問。『ビックリ箱』のクラミチだ。聞いたことあるだろ?ここの領主さまのノーライフキング討伐の伝説を?あいつはそれに参加した冒険者の一人だ」


 男はよく見ると周囲の奴らの目がこちらに向いており、酒を飲んでいると思った奴らも今はまったく酔っていない素面に戻っている。


「・・・まあ、足を負ったのはこいつがしたことだから直してやる」


 そういっておれは足の折れている奴に紅葉のマークの入ったポーションを振り掛ける。


「そ、それ、カエデ商会の上級ポーション!」


「・・・うん?しっているのか?」


「知ってるも何も、今この大陸でもっとも技術革命を起こしている商会じゃないか!そのポーション、今なら金貨200枚(2000万)はするぞ!」


「そうなのか・・・」


「はぁ?」


 俺のそっけない反応に戸惑う足の折れていた冒険者。

 それをみて周囲の冒険者はさらに笑う。


「そりゃあ、そうだよな。だって、原材料たったの銅貨一枚(10円)だもんな。カエデ商会元会頭様?」


「うるせえ、もうポーション作らねえぞ?」


 クラミチは恥ずかしさからか、八つ当たり気味に脅迫するとまた笑いが巻き起こる。


「おっと、『ビックリ箱』が怒ってる、怒ってる。・・・っと、クラミチのあんちゃん。ギルマスきたぜ」


「まったく・・・私のギルドで騒ぎとは、まだ命知らずがいたのか?」


 彼女がそう言うと、一部冒険者・・・と言うか7割が姿勢をただし、最敬礼を取っている。


「で、今回はどこのバカだ?どこにいる?・・・うん?クラミチ!?」


 アルビダは俺の顔を見るなり顔を真っ赤にする。・・・うん、君とはいろいろあったからわかるけどさ・・・。


「聖都から来たという自称Bランク冒険者と、クラミチ殿とその友人のようです。・・・規定違反者はこちらに」


 すると、俺の気絶させたリーダーの奴が意識を取り戻した。


「ぐっ・・・なにが?」


「アニキ、やばいっす。ここやばいっす!」


「やっぱ来るべきじゃ中なかったんですよ!聖都で止めら通りここ魔窟ですって!」


「あ?何言って・・・『紅の宝石姫』!?」


 リーダーの男はアルビダの事を知っていたようだ。


 ・・・そして、その噂も。


「ほお、私の事を知っていたうえでの狼藉なのかい?・・・よりにもよってクラミチに手を出しやがって」


 アルビダは怒りを一切隠さない笑みで彼らにそう問いかけると彼らは震えあがってしまった。


「「「ヒィ・・・!」」」


「おい、アルビダ。・・・落ち着け」


「ひゃい!・・・お、おい、クラミチ!耳元でしゃべるな!」


 アルビダは突如として隣に立ち耳元でささやくクラミチに驚き、頬を赤くしながら距離を取った。

「・・・すまない。そ、そんな驚かなくても。まあ、いい。そいつらの罪は一応すべて未遂にしている。聖都に通報でも一本入れて、あとは新人研修の手伝いか、ボランティア活動が妥当だろう。どうする?」

「ああ、私もそれでい異存はない。コロン!聞いていたな?」


「はい、ねえさん。あとは任せて」


 そう言ってコロンはそのきゃしゃな体に似合わない怪力で3人をまとめてギルドの奥へ連れてゆく。


「しっかし、昼間から見学者とは・・・いい御身分だな、お前ら?」


 あの3人がいなくなり、次の矛先は周囲で傍観冒険者に向く。


「やべっ!」「まずい、やばい!」「クラキチの旦那!」


 就活の冒険者は焦った様に、慌て出す。

 俺は仕方ないので溜息を吐きながらアルビダに声をかけた。


「アルビダ、お前中は用があって俺が呼びつけてきたはずだ。まずは、俺だけを見ろ」


 そういってアルビダの顎をつまみ、俺だけを見させる。

 その間に俺は視線で「さっさと、依頼に行け!」と催促をした。

 先ほどまで俺とあの三人の喧嘩?を楽しんでいた奴らは慌てる様に依頼書をひったくると受付を済ませ出て行く。

 やけにおとなしいとアルビダを見ると、彼女は目をつぶり口を突き出していた。


「…アルビダ?まあいいや」


 そういって俺は彼女の額に唇を軽く当てた。


 ーーーミシッ。


 不穏な音が聞こえそちらを見ると、クマの足元の床にヒビが入っていた。

 それにクマは頬を膨らませ、唸っている。


「おいおい…勘弁してくれよ」


 俺は本気で頭を抱えたくなった。


「あ、よそ見しちゃダメ」


 そういってアルビダは俺に顔を近づけてくる。


「ああ、ダメ!」


 それを止めたのはクマだった。


「誰だい、あんた?」


 アルビダはかなり不機嫌だ。

 彼女は大人びて見えるが、気に入った相手への依存がかなり強い。

 両者背後に熊と虎の幻影を背負い、睨み合う。




「落ち着け二人とも、今日はこのクマのギルドカードを作りにきたんだ」







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