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004:願わくば

 


 一言日記(ホルス):クラミチがまた厄介ごとに巻き込まれそうでした。




 ※※※




「ホルス、また来るよ」


「これからどうするんだい?」


 朝食を頂いた俺は、ホルスの屋敷を出ようと門のところまで来る。

 ホルスも散歩がしたいと言って見送りに来てくれた。


「とりあえず・・・クマの身分証が欲しいかな。冒険者ギルドに登録させようと思う」


「まあ、それが無難だな」


 この世界には3つの絶対的に信用されている身分証がある。


 1つが冒険者ギルドの発行する冒険者カード。


 名刺サイズのカードに顔写真に名前と年齢。

 それに戦闘に必要な5つのステータス(攻撃力、防御力、素早さ、魔力、精神力)がA~E±でわかる優れものだ。またスキル名を見ることは可能。

 さらに開示情報の設定もできる。

 最低でも2年に一度更新をしなくてはいけないが、更新用魔道具通すか依頼をこなすだけで更新できるので農村とかでよくとる人がいる。


 2つ目が生産ギルドの発行する掲示板と呼ばれるカード。


 冒険者カードと同じく名前と顔写真有で、A4くらいの大きさのカードで、カードに詳しい依頼内容を書くことで依頼を出すことができる。

 そのほかに生産に必要な5つの適性(木材適性、鉱物適性、魔物的性、魔石適性、薬物的性)同じくA~E±でわかる。

 こちらは最低1年に一回更新手続きに来なくてはいけない。


 3つ目が神殿が発行する、スキルカード。


 これは、スキルの詳細が見れるカード。冒険者や生産職のベテランが良く取得する・・・と言うか取得出来ない。

 半年に一回の更新なので、かなりお金がかかる。

 そのため、神殿はDランク以上の冒険者にしか発行しない。

 これとは別に、格安で使い捨ての鑑定紙と言うのもある。

 一度しか見れく制限時間は1時間と短いが、スキルカードと同じ効果がある。


「クマ!冒険者カードをつくりに行こう。サーシャさん、今夜また伺います」


 俺は少し離れたところで話していた二人に声を掛ける。


「はい、お持ちしてます。くーちゃん、また今夜ね?」


「うん!サーちゃん、バイバイ!」


 どうやらかなり仲良くなったようだ。

 普段、どんな人にも敬語で話すことの多いサーシャさんが砕けた口調になっている。


「クマ、サーシャさんと仲良くなれたのか。よかったな」」


「うん?私はサーちゃんと元々仲良しだよ?」


 クマは元の姿の時からサーシャを知っていてよくホルスと共にご飯をあげていた。

 それできっと、彼女もあれほど親しげなのだろう。


「じゃあ、ホルス。また今夜」


「ああ、ムリするなよ」


 そう言ってホルスと別れ、俺達は冒険者ギルドへと向かった。




 ※※※



「サーシャ、・・・あいつは、また無理をするんだろうな」


 屋敷から離れてゆくクラミチの背中を見てホルスはそうつぶやいた。


「・・・彼は、私たちの時もそうでしたが自分を重視しません。帝国元公爵家の私をあなたとくっつけるために、あなたをだまし、事前準備はしっかりさせる。そのうえで、私たちにお重みにならないように己の師であるノーライフキングを倒す。さらにその報酬二人分であなたを教国の中でも3つもダンジョンを抱える辺境伯と言うあなたにとって理想的な土地を手似れるために根回しまでしてくれた。・・・まったく、それを私たちが本当に気づかないとでも思ったのでしょうか?」


 そうなのだ、サーシャは今はメイドをやっているが数年前に彼女が公爵家から追放された双子の妹であることが分かった。


 帝国の貴族では双子は王家以外は認められていない。


 そのため、彼女は平民へそれも政治的利用をされないために教国へと養子を出されたのであった。

 それから冒険者となりホルスと出会ったのだ。

 帝国公爵の娘ともあり、魔法の才能にあふれていて教国としては彼女をこの国に縛っておきたかった。

 それゆえに教会関係者との婚約をもくろんだが、クラミチと教王の次に偉い、7聖典と呼ばれる人の二人を味方につけ根回しをしたらしい。

 それにより、ホルスは教国で最も多くのダンジョンを抱える土地の辺境伯に就任し、その食客と言う形でクラミチはこの領地に留まった。


 彼は、多くの人を助けるためによく走る。


 それはよい事なのだが、それによって助けられた人の気持ちも考えてあげてほしいとも思っている。

 彼のそばにいたいと思う人は多いし、彼を重要視する権力者は多いだろう。

 それゆえに彼は一人を選び続け、20歳なのにまだ独身だ。(・・・冒険者としてはふうだが)

 そう言った意味では今回、クマが亜人になったことはとてもいいことなのかもしれない。

 亜人と言うことで多くの出来事が降りかかるかもしれない。


 けど、彼は一人で立ち向かわないで済むだろう。


 彼女を彼は親友と呼んだ。

 昔、肩を並べられたぼくは今では自由な冒険者ではない。

 けど、彼女はきっと彼のそばに、いいや隣にいるだろう。

 それはきっと彼の心のよりどころになり、安らぎとなってくれるはずだ。

 ・・・願わくば、彼のこれからに安らかな時があることを。







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