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001:VS雷装の鹿

 今日の一行日記:久々に魔物と会った。肉うめー。



 ※※※



「ふわぁ・・・」


 俺の朝は早い。


 日本にいたころの名残でブラック会社にいた俺の起床時間は4時きっかりと体が覚えてしまっている。


 ただ、この世界の朝四時は・・・朝日は昇ってきているがまだ暗い。


「さて、運動しようかな・・・」


 俺は枕もとの眼鏡をかける。


「スキル起動:夜目」


 すると、真っ暗な視界が良く見えるようになる。


 男はベットの隣にかけてる服に着替えると人差し指を額に当ててスキルを使う。


「空間魔法:転移」


 俺の視界が歪み気づけば、近くの山の麓にある森奥の開けた草原へに立っている。


「グァア・・・」


「クマ!」


 彼が現れると、弱弱しい声をあげながら森の奥から一匹の熊が現れる。


 これはこの森の主、ジャイアントベアーにして俺の舎弟(親友)のクマ。


 そのクマが腹から血を出して弱弱しくこちらに逃げてくる。


 俺が欠けよろうとして近づくと、クマがこちらに吠えてくる。


 それが何をさすが察した俺はバックっステップを取り、その場から距離を取ると、そこを一本の稲妻が走った。


「矢か!?」


 ハンターや冒険者がクマを狙ったかと思ったが、どうやら違うようだ。


「クルゥゥゥ・・・」


 草原の草を焼きながら一直線に進んだそれはゆっくり足を使って方向転換し、角から放電をしながら威嚇をしてくる。


「鹿の魔物か。・・・よし」


 俺は軽く体をほぐしたり飛び跳ねたりする。


「特殊スキル:贋作」


 そう言って、生成した2本の槍を両手に持った俺はそれを鹿に向かって投げつけた。


「クルゥ!」


 投げつけた槍は鹿の電撃に撃墜され、威力を無くす。


 落ちる槍を空間魔法で収納し、手元に戻す。


「グァア・・・」


 クマが今の攻防を見てこちらに心配そうな声をかける。


「心配してるのか?・・・まあ、見てろって」


 そう言って俺は回復ポーションを取り出してクマの頭上と手前の空間を空間魔法でつなげる。


 そこに回復ポーションを流すとクマの傷部分にかかり、傷を癒していく。


「グァ!」


 傷の治ったクマは、体長が治った確かめるためにそのまま元気に動いて見せる。


「どうやら大丈夫のようだな」


「クルゥウウウ!」


 どうやら鹿はクマが復活したことに怒り心頭のようだ。


 鹿は角からバチバチと電撃を弾けさせながら角に魔力を集める。


 おそらくチャージを必要とする一撃物の大技。・・・おそらく先ほどの光速の一撃だろう。


「おっと、さっきの奴が来るのか。じゃあ、こっちも準備しないとな―――空間魔法:錬金室」


 俺は目の前に現れたパネルを操作する。


「―――完成」


「クルゥウウウウウううううううう!」


 鹿はその身に何万ボルトもの雷を纏い、草を燃やし、光の速さで迫ってくる。


「空間魔法:配置換え(キャスリング)」


 俺はまっすぐ突っ込んでくる鹿に対して真横に展開した亜空間倉庫から槍を少し飛び出させた状態にしてその槍と場所を交換する。


 光速で俺に向かっていた鹿は止まることも避けることもできなく、生命を収納できない亜空間との境の壁とそこから飛び出す槍の先に自ら突っ込む。


 動物は角や、爪、甲羅などは武器と判定されるため、本体が生きていようと、亜空間に入れることはできる。


 ただ、亜空間の入り口はもろくましてや、自分から半径30センチ以上離れて亜空間を開ける空間魔法使いはなかなかいない。


 鹿は自ら雷を纏ったまま脳天をやりに串刺しにされて絶命し、それによって死体となり、亜空間に収納された。


「よし。・・・魔物討伐完了!」


「グァア?」


 クマは今の戦いを目で追えなかったのか、突如として消えた鹿の行方を心配する。


「安心しろ。鹿は倒した」


 そういって蔵道は少し離れたところに鹿を呼び出す。


 鹿はいまだに雷を纏っている。


 死後、雷を纏ったまま時を停められるクラミチの亜空間に入ったからである。


 クラミチはもう一本槍を取り出すと鹿の心臓部に突き刺した。


 すると、その槍に大量の雷が走るがそれはやがて鹿の体内へと戻ってゆく。


「・・・もういいかな」


 そう言ってクラミチが槍を引き抜くとそこにはきれいな人の拳3つ分の黄色の宝石が刺さっていた。これが、この鹿を魔物にしていた魔石だ。


 本来、この程度の鹿からはこれほど大きな魔石は取れない。


 しかし、鹿が魔力を十分に貯めてスキルの使用中に死んだことにより、体内に魔力が残っていた。


 そこに、一度鹿の雷下によってやられた槍の一本に錬金術を使って魔力との親和性を高め、圧縮の術式を込めておいた。


 鹿の額を貫いた槍には槍を固くする硬化の術式と状態維持の術式、さらに絶縁体に性質を変えて魔力をそのままにさせた。


 これらを行うことにより通常より大きな魔石を手に入れることができる。


 だが、こんな芸当ができるのは世界を見渡してもこのクラミチしかいないのではないかと言えるだろう。


 彼は、自称隠居の20歳。


 しかしその実。世界最強の空間魔法使いなのである。




 ※※※




「クマ、シカ肉うまいぞ。魔力抜きした魔物の奴だととくに」


「グルゥ」


 クマは鹿肉ではなく、鹿から取り出した魔石を食べる。


「あ、おい・・・まあいいか」


 あれほどの魔石を売れば首都に豪邸を建てられるものだが、隠居していると言っているクラミチからすれば持て余していて親友の辺境伯に上げようかと思っていたものなのであまり気に止めない。


 クマはあったころはとても弱く、クラミチが興味本位で動物に魔石を与えて体内にたまる魔力を肉体になじませれば魔物にならず動物として進化するのではないか言う実験をしていた元実験動物である。


 それが今は体が大きくなり、この森で主を名乗るほどになっている。


 クラミチの考察は正しく、このクマは魔力を消化、エネルギーに還元できる肉体を持ち、〈戦闘〉のスキルを持つことができるようになった。


 これはダンジョンに稀に存在する亜人と呼ばれる使徒も同じ性質を持っている。


 使徒はこの教国では、信仰対象であり、人に好意的であれば市民権を認められもしている。


 また、ダンジョン攻略にも協力してくれたり、異世界の知識を提供してくれる存在である。


『体内に保有する魔力親和率が基準を達成しました。亜人への進化を開始します』


 それは隣にいたクラミチの耳のも聞こえた。


 この声は過去のい一度だけ聞いたことがある。


 スキルをもらった時の声。神の声だ。


 鹿肉をほおばりながら、クラミチは朝日と共に光出した熊に驚いた。







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