010:挨拶(前半)
短いです。
たくさんのブックマークありがとうございます!
今日の一言日記byヒカリ:やっと、逢えた・・・。
※※※
「・・・えっと、ごめんね?女神さまからクラ(ヒカリがクラミチを呼ぶ時のあだ名)が今日、ここに来るって聞いたから」
「あいつか・・・」
「も~、クラ。女神さまをあいつ呼ばわりしてはいけないよ」
俺は今泣き止んだヒカリと共に教王、七聖典のいる七星塔と呼ばれるこの国の王城の変わりである聖域にむかっている。
この聖域には招待された者か、神に認められたものしか通ることができない。
聖女であるシアや勇者であるヒカリ、俺や招かれたクマはいいがアルビダは入ることができない。
その為に教国の冒険者ギルド本部に今頃送られているであろうクマのステータス情報の報告に行ってもらっている。
分れる時に寂しそうな顔をしていたので、彼女がよく機嫌がよくなってくれる行為(頬にキス)をすると彼女はは顔を真っ赤にして嬉しそうに手を振って分れてくれた。
その時のクマやヒカリ、シアの目が怖かった。
というか、今も自分の少し前を先行して歩いていてこちらから少しでも近づこうものなら同じ分だけ距離を取られてしまう。
しかも、シアとヒカリの力によって認識阻害と防音が掛けられ、声が聞こえず何が話しているか読唇術でも読めない。
side:ガールズ
「え!?あなた、あの時クラの拾った子グマなの?」
「うん!」
「特殊個体とは思っていたけど、亜人と慣れるだけの存在とは…」
ヒカリがクマの元の姿を知り少し驚いているとシアがクマにどうやって進化したか聞いた。
クマは少し悩んだ後、何か思い出したように口を開く。
「ある日、クマはクラミチと一緒にいたい。と思っていると神様の声が聞こえたの。強くなってあじんを目指しなさいって。だから、亜人になるために森にいた強い奴いっぱい足したの!」
そしてクマはシャドーボクシングの素振りをした。
それから自分の胸に手を当て振り返り愛おしいそうにクラミチを見る。
「でも、クマはいっぱい敵を倒すと気持ち悪くなっちゃんだけど、クラミチが毎日身体をいじって気持ちよくしてくれるとなんか、パワーアップして体が軽くなるの!それと魔石いっぱい食べてクラミチみたいな魔法を使えるように頑張ったの!」
「え?それって…」
ーーー動物の魔物化を塞ぎ、亜人へと導いたということ?
シアとヒカリはそのことに気づき後ろを振り返りクラミチを見る。
彼はあくびをしながら気だるそうについてくる。
油断だらけのように見える。
けど、それはフェイクだ。
彼をよく見ればここら一帯にすでに彼の魔力が行き渡っている。
広すぎるゆえに普通のAランク冒険者ではほとんど気づけない、空間魔法による監視。
かつて、チートなスキルをもらって、勇者と呼ばれ天狗になっていた私を努力と工夫によって英雄クラスの戦闘でボコボコにした、ありふれていながら極められた空間魔法。
彼はやることなすことなすこと全てが禁忌に触れたり、この世の真理に迫るものばかりだ。
故に彼は権力者に有無も言わせぬ力を持ち、一人放浪する。
彼が各地に行くだけで大事を暗躍権力者の抑止力になるし、パワーバランスを崩さないためだ。
だから、彼は私たちに何も言わずに出て行った。
私たちパーティーメンバーがクラをどう思っていたかも聞かずに。