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009:ヒカリ

ブックマーク急激に増えていた!めっちゃうれしい!

ブックマーク着けてくれた人ありがとう!

 

 今日の一言日記byシア:久しぶりにクラミチ様に会えたのです!今度はプライベートで会いたいです!。




 ※※※


 光が収まり目を開くと景色は先ほどまでのギルドの一室ではなかった。

 神聖さを感じさせる目を開くと白を基調とした神殿。

 その内部に作られた緊急用転移陣の間の奥には祭壇があり、一つの像が立っていた。


「とーちゃーっく!クラミチ様!クマ様!アルビダ様!さぁ、行きましょう!」


 あいも変わらずシアはとても元気だ。

 その姿に少しだけ笑みがこぼれる。


「うわぁ、ま、まってよ。シアちゃん!」


「クラミチ!ちゃんとついてきなさい」


 シアに腕を引っ張られてつれて行かれる二人。

 その二人をまるで娘を見る父親のような温かい目で眺めていたらアルビダに早くついてくるように催促される。

 しかし、緊急転移の間の出口でシア達が止まっているのが見えると俺は急いで駆け寄った。


「どうかしたのか?」


 声をかけるとシアは困ったような顔をしてアルビダはある一点に注目し、クマはよくわかっていないのか教会をきょろきょろ見渡している。


「・・・クラミチ」


 その声に、俺も驚いた。

 会うかもしれないと思ったが、こんなに早くとは思っていなかったからだ。


 緊急転移の間は礼拝堂の奥に繋がっており、その礼拝堂に備え付けられた長椅子の一つにクラミチとあまり変わらない年の少女が座っていた。


 彼女は俺を見るとガタッと音をたてて立ち上がる。


 かつての世界で見慣れた夜空を思わせる艶やかな黒い髪にうるんだ瞳をこちらに向け、その腰に付けられた神聖を纏う剣。

 その見た目はこの世界に多くなく、そして来た大陸に出現した魔王討伐の功労者として最も名をあげた人物。


 ―――勇者:ヒカリ。


「・・・久しぶりだな。元気、だったか?大人びて綺麗になったな」


 俺は今うまく笑えているだろうか?

 彼女と会うのはなんだかんだ言って数年ぶりになる気がする。


「―――!・・・ばかぁ」


 さすが勇者と言うべきか目にもとまらぬ速さで俺の胸もとに飛び込んで俺を抱きしめる。

 別に恋人などではない。ただ、彼女が召喚されて俺が巻き込まれたというだけである。


 前の世界でもそれほど親しかったわけではない。


 接点としては同じ植物委員をやったこととか、運動会で二人三脚を共に走ったことや吹奏楽部の朝練に手伝ったくらいか?

 俺とヒカリが召喚されたときも朝練をしていた朝だった。

 あの時持っていた制服やかばん、楽器などは今でも持っている。


 ・・・けど、俺は目の世界に帰る気はない。


 理由は様々あるけれど、この世界は純粋に楽しかった。

 けど、俺は楽しむために魔王討伐者の責務から逃げ出した。

 魔王討伐は俺を含めて7名。


 その全員が王国、教国、帝国の重役に二人ずついる。


 この国で言えば聖女シアと勇者ヒカリ。


 王国には剣聖と魔槍。


 帝国にはシーカーと魔導師。


 それぞれにあった国風の所へと行った。

 彼らは等しく大部隊の隊長クラスか王の近衛としての職に就き、貴族位を持っている。

 俺も各国から名誉侯爵という貴族の義務は発生しないがどこか一国に肩入れしないまた問題が起きたときは手伝ういう仮初の自由の下に生きている。

 それゆえに各国の重鎮や暗部、裏社会の頭とも面識があり、重鎮は彼の恐ろしさを知っている。


 一方、恐ろしいとわかっていても彼の生み出す利益に食いつかない者はいなかった。


 例えをあげるならギルドでクラミチに絡んできた男が言っていたカエデ商会。

 かの商会は高品質低価格で、きちんと貴族と庶民と適正価格の見極めもしっかりしており、パフォーマンス(イベントの開催、絵を入れた広告など)を行い信用と覚えをよくしている。

 さらに言えばそれにより冒険者に質の高い道具が回り、生還率の上昇、武器、食料品の買い付けにより経済が良く回る。


 また、カエデ商会の系列で国家間鉄道の開通にも着手し、儀式を用いた大規模な転移魔法以外では不可能だった大規模な人、物の国家間輸送が可能となった。

 こういった


 こういった3国で幅を利かせられるものだからこその功績を作り彼は親友の地に隠居を決めた。

 カエデ商会は後継の育成に成功し、同郷の転生者にして商才を持つ者によってさらに大きく躍進している。

 魔王討伐後、不穏分子の抹殺や上記の事をしていたためあまり仲間とは会えなかった。

 手紙は年に一度送り生存報告はしていた。


 彼女たちから送られてくる手紙には心配する声も書かれてあった。

 改めてクラミチは自らに抱きつくヒカリを見る。


 彼女は涙を流し、自分がここにいることを確かめるようにしっかり抱き着いている。

「ばか、ばか」と罵りながらもその声はとてもうれしそうに感じる。

 俺は、彼女いない歴=年齢なのでこういったときどうすればいいかわからない。


 しかし、昔やったゲームの一幕大思いだし、彼女の頭をやさしくなでた。




 彼女の涙が止まるまで、優しく、ずっと。





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