To become distant.
其の場所に僕はいてはいけないんだと、と君はひび割れた笑顔を浮かべた。
どうして? と、尋ねる私に、俯いて、きっとそうなんだ、と零した。
そんなことを考えているのはきっと、彼一人きりなのだと見回した。
喧噪の中で、私と彼だけが取り残されているようだった。
(ねえ、もしかして。私の為に、あなた、此処からいなくなろうとしているの?)
(そんなことをしても、何も変わらないのに。あなた、そんなことにもきっと気づいてるのに)
誰かに可哀相だと思って欲しくて、生きていた頃があった、そんなことばかりを覚えていて。
振り向いてばかりいても、どうにもならないことに気づいた頃には遅すぎた。
君はきっとまだ途中で、少し遠回りをしているだけなんだと思う。
こんな場所にいるのは、きっと、私や君みたいな人ばかりなんだろうから。
(ねえ、もしかして。私の為に、あなた、此処からいなくなろうとしているの?)
(そんなことをしても、何も変わらないのに。あなた、そんなことにもきっと気づいてるのに)
無機質な世界、凍り付くほど冷たい機械音、感情的な人間の見下げ果てた表情。
見下しているのは私と君、いつかは終わる線、何時かは出て行かなければならない場所。
何時かは、全てが遠くなる。遠くなる。遠くなる。遠くなる。全てが幻のように遠くなる。
それでも、今は嘘なんかじゃないから。
(ねえ、もしかして。私の為に、あなた、此処からいなくなろうとしているの?)
(そんなことをしても、何も変わらないのに。あなた、そんなことにもきっと気づいてるのに)




