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今日から学校と仕事、始まります。①莞

女は女に紹介するな。

作者: 孤独

新学期にしろ、新生活にしろ、俺達には新たな出会いが毎日やってくる。



「お?」


舟虎太郎は自転車がパンクしたせいでバスで通学しているところ、発見したのはウチの制服の子。

緊張もあって見られない顔に、一年生の女子だとすぐに気付く。


可愛い子が入ってきたー。こりゃモテるぞ。


のんきにめでたい事を思う。


彼女とは学校で会うだろうか?

今、名前とクラスを聞いて、バスケ部のマネージャーにでも誘ってみるか?


そんな妄想という儚いもんを考えながら、本心が気付かれないように彼女と一緒に同じバス停で降りる。ちょっと隣で良かったかな?その程度で早歩きで先に行く。

その歩幅よりも早く、回っていく輪。やかましい声にベルだ。


チリンチリン


「舟ー!」


これが彼女だとどれだけ良いか。腐れ縁にして、馬鹿野郎。


「お前、徒歩か!?」

「んなわけねぇーだろ、相場!」


わざわざ自転車から降りてまで、並んできやがる。ったく、これは嬉しくねぇ。


「チャリがパンクしやがったんだ。テメェの面を見た瞬間、それを思い出したよ」

「どーいう事だよ?」

「可愛い子を見つけてちょっとホッコリしてただけ。ウチの生徒だ。あとでクラス調べてくる。後ろにいる子だ、見てみー」


聞こえてないだろうって、確認で後ろを振り向く。相場もそれに合わせて向く。どうやら聞こえていない。音楽を聴いているところを見ると、何を聴いているのかも気になるところ。

しかし、相場はまったくそれを気付かず、見えた女子について舟に聞き返す始末。


「え?お前、御子柴が可愛いとか思ったのか?」

「なんであんな小悪魔を可愛いと思わなきゃならないんだ!!どSだぞ!」

「だって、後ろにいる奴だろ?御子柴がいたじゃねぇか」


相場の髪を掴んで、よーく見ろと振り向かせる。指さしもする。


「あの子だ、あの子だ。御子柴の後ろだ!」

「!あー、あの子か。ならそー言えよ。御子柴の事かと思ったぜ、気が狂ったのかと」

「川中さん以外はクラスじゃ天使は認めねぇ。ま、目を付けた彼女も程遠いけどな」


手を離して何事もなく、男子同士の会話をする雰囲気。


「ちょくで訊いてみるか」

「お前、そんな勇気あんの?」

「俺を誰だと思っている!明日、明日。バスで会ったら声を掛けてやる!落としてやるぜ!」


そんな会話を小悪魔は聞き逃さない。これはドッキリなのだと、分かりやすくする。告白強制タイム。まったく好きだからなんて、思わない。



◇      ◇


翌朝、

ドッキリなんてまったく把握していない、今回のターゲット。舟虎太郎。予定通り、昨日いた新入生がいるだろうバスに乗り込んだ。



「お」



仕掛け人は一同。異様とも思える、違和感。


「……………」


舟はバス後方と側面を見る。例の新入生は、降り口近くの一人席。話かけやすい位置に誘導され、座っている。


「でさー、この前お菓子作ってー」

「ホントー!?」

「あそこのパン屋超オススメー」


周囲の棒読みにして、にやつき加減は、明らかに舟の方に向けられている。

女子達だけではない。


「おい、早くしろ。舟、ガッツだぜ」

「カメラ回してあげてるからね」

「舞台は整った。俺達も見守っているぞ」

「あの子は何も知らない。ホントだぞ。行って来い」

「…………テメェ等……」


舟のお友達も一緒だ。

公共バスにクラスの大半が駆けつけ、新入生への声かけ。


『THE 告白 TIME』


スケッチブックのカンペまでご用意。あいつが完璧に仕掛け人である事を理解し、プレッシャーと苛立ちを覚える。


「御子柴……」


完全にお前の仕掛けた罠だな。これ……。

クラスの中で告白もいいが、バスの中で告白だと!?

彼女、音楽に夢中をいい事にやりたい放題かよ。


『舟くんの良いとこ、見てみたーい』


煽る文字がムカつく。後部座席でディレクターをやっているかのような振る舞いで、御子柴は舟の動向を楽しんでいた。

見知らぬ男に声をかけられ、連絡先を聞かれるとか、ドン引きですわ。


そして、そんな光景を早くしろ。早くしろ。ここで面白い事をしないと、全員で溜め息&早起きの無駄という状態だ。なんと、12人も。舟の玉砕を見に来てくれたのだぞ。

とはいえ、舟はそーもいかない。

かといって、このまま学校前のバス停に辿り着いたら、クラスで何を言われるか。


「このっ…………」


俺の良いとこ見てみたいか?お前等?


ここで舟がとった行動は、ここにいる友達という悪友共に伝える。大胆なこと。


ダァンッ   ダァンッ


「?」

「…………」


舟は半ばヤケクソであるが、御子柴の座るところまできて、カンペを取り上げるという乱暴な行為から無理矢理、その、彼女の両手を握り締めて。


「お前の事が好きだぁったから、」


裏返るところ、つっかえるところ、嶋村のカメラにしかと映されている。


「付き合え!御子柴ぁっ!」


仕掛け人も巻き込む、ドッキリされた側の逆襲。


「キモイ!つまらない!0点!」


振り方にして、やってやろうじゃんかという、意気込み。しかし、採点は0点。厳しい、……。

ビンタをして舟をぶっ飛ばす。


「俺が一番つまらんわーー!なんでこんな事をしなきゃいけねぇーんだ!」

「あんた馬鹿?私じゃなくて、あの子に告白するんでしょ!?みんなで笑いに来たのに!」

「わ、笑うのは結果見てからにしろ!聞いてからにしろ!」

「あーー?はっ、脚色して報告しようってのは、聞いてる側は面白くないわ」

「お前に結果を聞く権利はねぇーだろ!」



後部座席での男女のやり取り、痴話喧嘩にしては良いのだろうか?

学校前のバス停に着いても、みんなが降りても御子柴と舟は降りなかった。白熱中。


「御子柴って、舟くんの事が好きなんじゃないかな?」

「いや、あれは悪戯できるペットくらいにしか思ってないと思う」


今回のドッキリを仕掛けた御子柴を怪しむ川中であったが、嶋村は否定する。


「むしろ、舟の方がマジかと思った。私達がいる前でやる?ドッキリだとしても」

「それはそのー?どうかな?そうかもね?」


微妙な感じ。


「騒がしくてごめんなー。舟にドッキリ仕掛けたせいで、台無しだったけど」

「あ、はぁー?」

「名前とクラス。あと、LINEとかツイッターやってる?」


相場。さりげなく、新入生の名前とクラス、ツイッターまでも入手。



挿絵(By みてみん)


挿絵はスピード重視なんで、質は求めてません。予防線っちゃ予防線。

1時間以内でカラーにできればなぁって。

こんなクォリティでも、線画とアニメ塗りだけで90分はかかる始末。


忙しいんで1つに求めるのは厳しいんで、でもやりたいじゃんみたいな。


以前使ってた表紙も使うようにしないとね。


話しを書いていたのは3月頃らしいんで、そっちのチェックはしてません。


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