「第一話 僕はこれからも生きていく。」
生きる価値が見出せない人間である僕。
僕とは一体なんなのか、僕は今日も生きて行くのだ。
ふとこんなことを考える。
僕の周りの人間が皆幸せそうにしているのは
何故だろうか。
僕自身が消して不幸せというわけではない。
むしろ他人よりは幸福な方だろう。
しかし、そう思っているはずのぼくの考えとは裏腹な感情が僕の左心房あたりからぼくに
問いかけてくるのだ。
本当にそうなのかと。
自分自身が幸せかどうかは他人が決めるものではなくじぶんが決めるものだ。
こんなことを母親に話したことがある。そうしたら「あんたは人より恵まれているんだからそう考えられるのは有難いことだよ。本当に忙しい人、貧しい人はそんなことを考える余裕すらないよ。」と言われてしまった。
確かにそうだ。と僕は感心したが納得はできなかった。そういう考え方もあると思ったが、肯定はできなかった。
そんなことを考えながら、僕の1日は始まる。
カーテンを開けると暖かい木漏れ日が僕に問いかけてくるのだ。また、今日が始まるぞと。時間は待ってはくれずいつも僕を置き去りにしてしまう。
僕は微睡みに包まれた体を無理やり起こしてリビングに向かった。
そこには、朝食を作っている母親がそこに立っており一言を挨拶を交わすとテーブルに座った。
朝食が出てくるまでの間に、なんとか微睡みから向け出そうとテーブルの上に置いてあったグラスに水を注いで飲むことにした。
グラスに水が注がれることで、僕の心もグラスと同様に満たされればいいのに。
そんなたわいのない事を考えているうちに
朝食ができた様で母親が朝食を運んできてくれた。
「優也おはよう。
早く食べて支度しなよ。あんた、いつも学校ギリギリで行くんだから。」そんないつもの会話を投げかけてくる。毎朝同じ会話を投げかけてくるものだからつい苦笑いが溢れてくる。
「アンタは、ロボットかよ(笑)」
「いつになったら優也は私のことを母親て呼んでくれるのかしらね…。まあ、いいわ早く食べて支度するようにね。」
「はーいよ」
そんな会話を交わしながら手短に朝食を食べ終わると、手短に学校に行く準備をして学校に向かった。
僕の家から学校までは自転車で20分程度のところに位置する公立の学校に通っている。
本当は電車で40分以上かかる世間一般に言われている私立の進学校に通いたかったのだが、家庭の事情と僕の成績の関係で地元の普通の高校に通うことにした。
初めは自分の不甲斐なさや家庭の問題を怨んだが今となってはどうでもいい事だ。
適当に勉強して地元の大学に入学して適当に就職して人生を生きて行くのだ。
そんな事を考えて自転車のペダルを漕いでいると案外時間が経っていたらしく校門の前まで来ていた。
今日も僕の一日が始まるのだ。