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おや、えらく静かですね。(分岐 人形完成編 其の一)

こんにちは、蓮華です。


「はぁ、暇ですねぇ」


 いつもの職場。


「・・・・・・次の任務はないの?」


 ソファに寝転んでる白頭巾がそう聞いてきますが。


「ないですねぇ。貴方も完全にあの子の穴を埋められるようになりましたし」


 相変わらず殺人鬼連合とのいざこざは絶えませんが、あちらもあれ以来結構大人しいものです。もしかして引け目を感じているのでしょうか。


「・・・・・・お姉ちゃん、どこ行っちゃったんだろ。あの時、やっぱり私も・・・・・・」  

 

「貴方が気に病むことではないですよ。むしろあれは円さんからこちらを引き離した。私達を巻き込まないようにと、自分達の問題だって」


「それでも・・・・・・」


 人形争奪戦。


 もう二年になるでしょうか、ドールコレクターの作った人形を巡って円さん達と殺人鬼連合がぶつかりました。


 結果は円さんを除く葵シスターズが全滅。


 殺人鬼連合側はあの三姉妹が大暴れで本来仲間であるゾディアックファミリーを壊滅寸前まで追い込みました。


 

 仲間を無残に殺され、自身の目、そして人形も奪われた円さんは、その後消息を絶ちました。


 今どこでなにをしているのでしょうか。


 私も探してはいるんですが、影も形も見当たりません。


「おっと、そろそろ定時連絡の時間ですね」


 私が各地に放っている小鳥や、無数にあるパイプからの情報の吸い上げです。


 何もなくてもこうして定刻に連絡が入るように・・・・・・。


「て、あれ?」


 おかしいですね。どこからも連絡が入ってきてません。


 通信障害でしょうか。


 いや、他は動いてますし。



 この時の私には知るよしがありません。


 これが所謂嵐の前の静けさだった事に。



       ◇


 少女二人が町中を歩く。


「で、ムカついたからまた殺しちゃったの、馬鹿だよねぇ、私を一体誰だと思ってるんだっての。殺人鬼連合第三殺、紅 紅子様だっつーの」


「そ、それは男? 女?」


「あぁ、男、男」


「なら良かった、もっと殺していい、と思う」


少女達は何気ない会話を楽しんでいた。


 二人は気付かない。


 すぐそこに死の危険が迫っていた事に。


 二人の真ん中を割り込むように一人の人物が通り過ぎる。


「痛った、おい、なんな・・・・・・」


「ちょ、あれ?・・・・・・」


 強引な割り込みに文句を言おうとする紅子だったが。

 

 少女達の首に一筋の線が浮かんだ。


 刹那、血が噴き出すと、少女達は斜めに倒れだす。


 何が起こったのか。


 薄れる視線から今通り過ぎた者を見る。


 後ろ姿だったが。


 背丈はそう大きくない。


 毛先が金髪の黒髪で。


 青と赤のドレス。



       ◇


「ほら、どこがいいの? どうして欲しいの? ん~? 言ってごらん?」


 女はいつもの場所で楽しんでいた。


「もごぉ、もごぉおおお」


「何言ってるか分からないよ、この豚ぁああああああああああ」


 踏みつける。喉を蹴りつける。


 眼下の肉の塊がそれにより激しくのたうちまわる。


 女にはそれが楽しい。


 丸丸太った男が好きなのは。


 最後に中に入れるから。


 女にとって男もいいが、女でも構わない。


「あぁ、あの子良かったなぁあ」


 数年前に殺した、白いやつと黒いやつ。


 記憶が蘇る。


 どっちも最後まで抗った。


 あんなにいっぱいしたのに。


 もう壊す所がない位。


「途中までお互いの名前を口にして、そして最後に円さんと・・・・・・」


 その情景が浮かぶ度笑いがこみ上げる。


「あはは、そういえば、あの子どうなったんだっ・・・・・・」


 いつの間にか女の横に人影があった。


「っ!?」


 流石に驚くが、その声はかき消される。


 相手の指が女の首に食い込んだ。


「で、どうやって殺した?」


 伸びっぱなしの髪は毛先だけが金髪で。


 目と目が合う。


 その瞬間、女は全てを理解した。


「で、どうやって殺した?」


 二度目の質問。


「あ、ああ、まず、指の骨を全部折って・・・・・・」


 何故か抗えない。


「こうか?」


「い、いぎゃああああああああああああああああ」


 別の手で指を一気に握り潰された。

 骨があらゆる方向に折れ曲がる。


「で、次は?」


「あ、ああ、残ってた耳を切り落として・・・・・・」


「こうか?」


 女の耳が髪ごと宙に舞った。


「あぎゃあああああああああああああああああ」


「で、次は?」


「い、い、いだ、つ、次は歯を全部、折って・・・・・・」


「こうか?」


 相手の拳が顔面にめり込んだ。


「ふぎああああああああああああああああああ」


 口から色々零れ落ちる。


「で、次は?」


「あぼぼあ、か、顔の、おぼご、皮を真ん中、から、切って、おごあ、」


「こうか?」


 女の顔、一直線に赤い線が引かれる。


「で、次は?」


「ああ、いが、ああ、その皮を、ああがや、手で左右に・・・・・・」


 首に食い込んでいた指の力が抜ける。


 それにより女がその場にへたり込む。


「こうか?」


 両手が女の顔に迫ってくる。


 逃げたい、でも逃げられない。


 抵抗したい、でも抵抗できない。


 相手は眼帯をしていて。


 残った片方の目で見つけられると。


 何もできない。


「そう、指を顔の肉に食い込ませて、一気に、あはああああああああああああ」



    ◇


広い庭、でかい邸宅。


 ここはゾディアックファミリーの拠点。


 ニルヴァーナが太陽の光を浴びながら椅子に座って寛いでいた。


 すぐ近くには側近のベアトリス。


 その彼女がいち早く異変に気付いた。


「・・・・・・っ」


 無言で二本の斧を握る。


 建物内からこちらの庭へと歩いてくる一つの人影。


 セキュリティはどうなってる。


 ここまで来るのは部外者では不可能。


「・・・・・・なんだ、お前?」


 ニルヴァーナも寝そべっていた椅子から身を乗り出す。


 それにより庭で待機していた他の仲間達が一斉にニルヴァーナの前に出る。


 歩いてくるのは毛先だけが金色の黒髪女。


 片目は眼帯をしていて。


「・・・・・・ん、お前・・・・・・」


 赤と青のドレスの女が一言声を出した。


「・・・・・・動くな」


 言いかけた言葉が詰まる。


 今にも襲いかかりそうだった他の仲間達も言葉通りに動きが止まった。


 悠々となんの障害もないまま歩き続ける女。


 その中でベアトリスだけが女に向かって飛び出した。


 振り下ろされた二本の斧は何故かあらぬ方向へと飛んでいく。


「・・・・・・違う、聞いて、本当は私・・・・・・」


 ベアトリスの両手首が消えていた。


 斧と一緒にどこかへ飛び立った。


「・・・・・・知ってる。でも関係、ない」


 どこを切られたのか。


 認識する間もなく、ベアトリスの体は地に吸い寄せられた。


「・・・・・・どういう事だ、僕達はむしろお前をっ!」


「どうでもいい。お前達はキラキラに協力する。なら排除する」


「あぁ、そうかいっ! なら僕達全員が相手だっ! おい、ルークっ!」


 ニルヴァーナ、六つの人格。


 その一つであるルークは好戦的で戦闘向き。


 一度外に出れば相手が粉々になるまで勢いは止まらない。


 はずだったが。


「お、おい、どうした? なぜ出てこないっ! もういい、他は? クイーン、ナイトっ!?」


 しかし、どの人格も表に出てこようとはしない。


「な、なんだ、どうした、切り替わらない、いくら押してもっ!?」


 こうしてる間にも女はどんどん近づいてくる。


「き、恐怖してるのか、目の前の女に・・・・・・」


 備え付けの丸いテーブル、その上から銃を取り出す。


「役立たず共めっ! なら僕直々に相手してやるよっ!」


 その後、一心不乱に引き金を引いたが、その銃弾が女に当たる事はなかった。



 ナイフから血が滴る。


 ボスが蹂躙されていても仲間達は何もしなかった。


 ただ見ているだけ。


「最後、だ。お前ら、そこに並べ」


 女はそう号令を出す。


 素直に従うゾディアックファミリーの構成員達。


「今から一人ずつ喉を裂いてやる」



       ◇



 こんにちは、シストです。


 信じられない話が耳に届きました。


「お、おネニー様、マキナ伯母さんが・・・・・・」


 つい先ほどあのマキナ伯母さんが死体で発見されたとの事です。


「・・・・・・正直耳を疑う。一体誰が・・・・・・」


 あれを殺せる者なんて非常に限られてくる。


「・・・・・・それが死体は吊されていて。その状態が、あの時と全く同じだって。寸分違わず」


「・・・・・・まさか」


 戻ってきたのか。


 そういえばうちで飼ってる情報屋からの定期連絡がこの所滞ってる。


 それどころか、何人かのメンバーからも。


「・・・・・・今すぐ母さんに連絡だ。いや、父さんが先か」


 もう遅いかもしれない。


瑞雀さん、他のメンバーにも情報を。


 どう対処するのが的確か。


 彼女の目的はまだはっきりはしないけど。


 多分。


 人形の奪還、そして復讐。 


 


    ◇


 円、だ。


 残響が。


 仲間の声が。


 頭が割れる。


「円さ、ん、た、助けて・・・・・・い、いだい、いだいのおおおお」


「ああああいうあああはあだああああああ、ああああああ」


「ま、円さん、すいま、せん、力、およば・・・・・・ぐあああ」


「もう、殺して、ころ、ころし、て、お、お願い、ころ、ころしててててて」


 目の前で仲間達が切り刻まれていく。


 絶叫を上げ。


 目から涙を流し。


 その中で混じる奴らの笑い声。


「全員、殺し、てや、る。そし、て皆の願、い、を叶える」


何度も何度も呟いてきた言葉。

 

 今の私には後ろにはっきり姉御が見える。


「次はどうする? 誰を殺せばいい?」


[そうだねぇ。動いた以上相手の動きに合わせよう。次は・・・・・・]


 ここからはキラキラ、レンレンも知ることとなる。


 キラキラの思考、レンレンの思考、こう考え、こう動く、そこから修正修正。


 大丈夫、こっちには姉御がいる。


 迷えば聞けばいい。


 必ず答えを出してくれる。



     ◇


 こんにちは、蓮華です。


 静寂は破られました。


「白頭巾、今すぐミドガルドシュランゲ、そして蛇苺さんに連絡をっ!」


 彼女が帰ってきました。


 下から情報が全く入ってこない。


 今は横の繋がりだけで動くしかない。


「そうか、これだったんですね。ドールコレクターの人形は二体あったんです」


「どういう事?」


 白頭巾も連絡と支度を同時にこなします。


「こっちが本物です。ドールコレクターの目的は人形を完成させること。それは円さんという人形でです」

 

 元の人形も、葵シスターズも、このための布石。


「もし、これがドールコレクターのいう完成形なら・・・・・・」


 引きだしからシグちゃんを取り出し乱暴にバックに入れます。


「ここからは総力戦です」

 切り裂き円 葵人形完成版・・・・・・武力SSS+ 精神力SSS+ 知力SSS+

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんか円ちゃん、種ちゃんは助かるような気がしてました…。葵ちゃんの謎パワーとかで。葵ちゃんという人物の狂気を少し私は軽く見ていたかもしれません。衝撃がやばい… 「円ちゃんは私の生きたお人形…
[一言] なるほど円ちゃんも葵ちゃんの人形だったのか。 今の円ちゃんならましろちゃんやリョナ子ちゃん、殺菜ちゃんやお千代さんを前にしても動けますかね? ・・そろそろ、天城さんの拷問見たいな…… マキ…
[良い点] 本編としっかり繋がっていてとても自然で素敵です! [一言] 今週もありがとうございます。 葵ちゃんもことが好きだからでしょうか、私このエンドとても好きです。 お人形として完成された円ちゃ…
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