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なんか、支度をするみたい。

 ちょっと中休み的なお話。

 こんにちは、リョナ子です。


 これから出勤、準備中。


 つけていたテレビではニュースが流れていた。


「この煽り運転の犯人は今だ逃走中で・・・・・・、他にも各地で同様の・・・・・・」


 支度をしながら画面に視線を送った。


 最近話題のやつだね。


 高速道路で相手を煽り、あげく道の真ん中で停車、車から降りてきて暴行。


 危険極まりない行為だ。


 犯人は特定されたけどまだ捕まってない。


 今もどこかで危険な運転をしてなきゃいいけど。



    ◇



 ある日の夜。


 少女二人がドライブを楽しんでいた。


「昼間は暑いけど、夜は涼しいねぇ」


「虫が入ってくる時があるけどね」


 赤いオープンカー。


 そこそこのスピードで走行していると。


「ん?」


 後ろからとても眩しい光。


 後続の車は相当のスピードで彼女達の車を追い越すと。


 無理矢理車線変更し割り込んできた。


「うわっ、あぶねーなぁ」


 少女は咄嗟にクラクションを鳴らした。


 

 それは運命の鐘の音のようなもの。


 黒い高級SUV。


 その車はクラクションに怒りを覚えたのか。


 緩急つけてブレーキを踏みまくる。


「ちっ、なんだぁ」


「あれじゃない、煽り運転てやつ」


 蛇行、急ブレーキ、今にもぶつかりそうになる。


「おいおい? 喧嘩売ってんのかぁあ」


「どう見てもそうだねー」


 少女は構わずクラクションを連発。


 それにより前の車の動きもどんどんエスカレート。


開いた窓から腕を出し、こちらに向かって挑発行為を繰り返す。



 そしてついには。



 車を真横に、道を塞ぐように停車した。


 先に出てきたのは助手席の女。


 ガラケーを手にこちらを撮影するように近づいてくる。


 続いて運転席から大手を振って出てきた中年の男。


「おんどらぁあああああああああああああああああ」


 大声を上げ少女達を威嚇してきた。


 本来ならこのような場面ではドアや窓を開けるべきではない。


 でも、少女達の乗っていた車はオープンカー。


 男の怒声がダイレクトで伝わる。

  

「降りてこいやぁあ! ごらぁぁああ、古くせぇー車乗って何煽ってきてんだぁ!?? おあぁあああぁん?」


「そうよっ! こっちは高級車よ、いくらすると思ってんの!? もし傷でもつけたらどうすんのよ??」


 男達は、相手が若い女二人と分かるとより一層声を荒げる。


 本当なら車に籠もって警察に連絡するのが手っ取り早い。


 だが、この少女達は普通ではなかった。


「・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・」


 彼女の車は外車、左ハンドル。なので逆の運転席からツインテールの少女が無言で降り立つ。


「おぉおおお、この糞アマがああああああああああああああああ」


 男が少女の胸ぐらを掴む勢いで距離を詰めるが。


「う? ぎゃああああああああああああああああああああああああ」


 それより先に少女が手に持つバールで男の頭部をフルスイング。

 

 当然男は吹っ飛び、木の棒のように地面に倒れた。


「え?」


 近くにいた女は一瞬何が起きたか分からず。


 そのまま。


「え、え、え、あぎゃあああああああああああああああ」

  

 悲鳴を上げる事になる。


 助手席から降りてきたおかっぱ女がガラケー女の腹部に千枚通しを突き刺したのだ。


「おらあああああああああああああああああああ、煽ってんのはお前らだろうがぁああああああああああああああああああああああああ、何が高級車だぁあ、たかだが一千万位だろうがっ! こっちはもっと高けえぞぉおおおおおおおお、あああああああああああぁ?」


「そうだよ、傷でもついたらどうするんだい? こんな風にさぁ」


 おかっぱ女がガラケー女の髪を掴む、引っ張り引き寄せるとその顔面に、針が貫通した。


「あぎゃ、あぎゃああああ、あああああがああぁやああああああああああ」


 何度も突き刺す。顔に穴が増えていく。


 地ベタに倒れた男がそれを見て声を上げる。


「あぁぁ、き、木下さんっ!」


「おら、最初の威勢はどうした? おお? あああああ????」


 ゴキブリを潰すように、ツインテールのバールが男の背中に打ち付けられる。


「ごぼあぁ!」


「ほらぁ、まだだ、骨が粉々になるまでやるぞぉ、おらぁあ」


「ごふあぉ! あぼぁあ! べぼらぁ! ぼぶえっ!」


 一頻り体を叩き付けると。


 最後に後頭部目掛けてバールを振り上げる。


「知ってるか? 全身を強く打ちって奴は、損傷が激しくて原型を留めてない状態の事だ、そう、お前もそう報道される」


「こっちも顔がグチャグチャだ」


 ガラケー女の顔は真っ赤に染まり、無数の穴から血が流れ出続けていた。


「じゃあな、今度煽るなら、自分より弱くて、自分より大人しそうで、自分よりまともな奴を選びなっ!」


 こうしてバールが男の頭蓋を叩き割る。


 アスファルトに血が広がっていった。


 

 その後、少女達は何事も無かったように車に乗り込んだ。


「ち、Uターンするしかないね」


「連絡はしといたから、仕切り直してドライブ楽しもう」


 道路に横たわる二つの死体。


 それを車で踏みつけながら。


 赤いオープンカーは闇夜に向かって走り出す。




       ◇


 こんにちは、リョナ子です。


 今日もお仕事、朝の支度の真っ最中。


「各地で煽り運転をしていた男が、昨夜未明事故により死亡しました。これにより運転していた男と同乗者の女は全身を強く打ち・・・・・・」


 朝のトップニュースが耳に飛び込んでくる。


「あぁ、事故ったのか。まぁ、あんな運転繰り返してたらいつかはやるよね」


 あれほど危険な行為だったけど、もし実刑になっても多分レベル3がいいとこだね。


 それを考えると何とも複雑な気分。


 ああいう輩は、罰を与えてもまたやるからね。


 腐った根っこは、引っこ抜かないかぎり。


 何度も生えてくる。

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