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ういうい、ついに私達の出番なの、だ。(対リスト編 其の四)

街の高級飲食店。


 奥で食事をしている集団。


 店の入り口、そして中にも護衛と思われる黒服が数人待機していた。


 優雅に食事を楽しむは、この街を縄張りにしているガレストファミリー。


 この店自体もボスであるガレストが経営、管理していた。


 先代、さらにその前からこの一帯はガレストの一族の縄張りだった。


 しのぎも上場、敵対組織も特におらず、ファミリーは順風満帆であった。


 しかし、そんなガレストファミリーにもある日突然崩壊が訪れる。



 突如、店内に現れた数人の男達。


 今日は貸し切り、なのに見知らぬ客。


 来客の予定はない。


 入り口の護衛は。


 考える間もないまま。


「あぎゃあああああああああああああああああああ」


 叫び声が上がった。


 店内でガレストの周囲を守っていた男達が次々を床に伏せていく。


 銃を取り出す余裕などない。


 ナイフを持った少数の男達が素早すぎる動きで喉を切り裂いていく。


 テーブルに血が飛び散り。


 ついにその場にはガレストだけになった。


 呆然と男達を見るガレスト。


 なんとか声を絞り出す。


「だ、誰だ、この俺を知って・・・・・・」


 それすら遮って。


「・・・・・・我らはリストのプライド。ここは頂く」


 獅子の縄張り。


 無理矢理奪う。


「・・・・・・リ、リスト」


 それがガレストの最後の言葉。


 髪を掴まれ、引き出された喉に一閃の光。


「・・・・・・終わりました。他の一族もすでに、はい」


 リストはこうしてどんどん勢力を伸ばしていく。


 他の縄張りを乗っ取る。


 まるで獅子のようだと。


   




 リストにおける絶対的な支配者はボスであるサーリスである。


 その右腕であるプシュケーもまた強大な権限を要する。


 ある意味サーリスと並ぶ組織の顔。


 そんなプシュケーの顔に泥が飛ぶ。


「・・・・・・で、被害人数は?」


 とても冷静に問いかけるも。


 内心怒りでどうにかなりそうだった。


「・・・・・・情報収集に当たっていた五人です」


 人形探しも大詰めを迎えた矢先の出来事。


 自ら指揮を任された重要な仕事。


 なので、ここに連れてきたプシュケーの部下は精鋭揃い。


 一人一人自分で選んだ優秀な部下達。


 こんな異国の地で命を落とすような無能ではない。


「我らがリストと知っての事とは到底思えん。国ですら不介入を貫くというのに、ならば一体どこのどいつだ」


 すでに敵対しようと考える組織は世界中を探しても皆無。


 知らずに手を出したとしても自分の部下が簡単にやられるはずもない。


「・・・・・・となれば」


 考えつく中で最も可能性が高いものが脳裏に宿る。


「・・・・・・同組織の者」


 

     ◇



 こんにちは、シストです。


 今、僕達は父さんの依頼をこなそうとしている最中です。


「・・・・・・まず最初に動くのは彼女達。その後が僕達になる」


 アジトにて全員集合。


「すぐに動けるように各自準備は怠らないように。連絡はいつでも受けられる状態でいてくれ」


 後手に回るのがどれだけ不利か。


 どこまで道筋は出来ている。


 どこまで先を読んでいる。


 想像するだけで震えてくる。


 こうしている間にも刻々を状況は変化している。


 殺人鬼連合の仲間達の顔を一人ずつ眺めていく。


 タシイの顔を最後に見て。


 やはり家族はいいものだと感じていた。



    ◆


 こんにちは、蓮華です。


 なんか凄いヤバい人達が入って来てるみたいですね。


 名前を呼ぶのも憚られるような連中です。


 まぁ、私は一切関わろうとも思いませんけど。


 反対にあの子達は裏でこそこそ何かやってるみたいですね。


 それも見て見ぬ振りです。


 火中の栗を拾うような事はしたくありませんし。


 相手が相手なので少しでも調べようものなら首が飛びかねませんよ。


 触らぬ神に祟りなしとはいいますが。


 まぁ、あの子達なら触っても多分大丈夫でしょう。


 


    ◆



 サーリスはずっと写真を見つめていた。


 自室に籠もり暇さえあれば。


「おおぅ、なんと素晴らしい、こんな美しいものがあったとは・・・・・・」


 どこの誰かも知らない者が作った人形。


 画像だけでもこれほど魅了されるとは。


 歳はとるものだと。


 年老いてなお、これほどの興奮を味わえるとは人生も捨てたものではないと熟々思った。


「早く実物を見てみたいものだ」


 報告ではプシュケーが手に入れる寸前だと。


 順調にいけば数週間でお目見えできるだろう。


 遅れはしたが、流石は自分の右腕と信頼している男。


 やはり、組織の後継者はプシュケーが妥当か。


 あいつなら今や強大な組織になったこのリストもうまく纏められるだろう。      


 少しだけそんな事を考えて。


 サーリスはまた写真に視線を戻した。



    ◆



 ソーマはこの国の拠点であるホテルで窓の外を眺めていた。


 人形探しは先を越され。


 連れてきた部下の半数を失う事にはなったが。


 思わぬ協力者のおかげで万事うまくいきそうだと喜びに打ち震えていた。


 表だった動きはサーリス伯父の耳に入る。


 あくまで自分は無関係を貫かなければならない。


 最高幹部である自分達がわざわざ動く事自体少ない。


 これは好機。


「しかし、あの協力者・・・・・・」


 一抹の不安。


 それは手際が良すぎるという事。


 こちらの小鳥を逆にうまく使って接触。


 影さえ無いように裏から立ち回ってる。


 そのくせ巨大な組織である我がリストにも一切恐れを抱くことない大胆さ。


 ただ見ているだけなのに勝手にプシュケー側が追い込まれていく。


 プシュケーは自分を疑うだろう。


 しかし、確証などなにもない。


 それどころか奴らがこちらに目を向ければ向けるほど奴は闇の海を泳ぐ事になる。


 

 ◇



 ういうい、円なの、だ。


 今、私は一人。


 何となく予感がしたの、だ。


 それは的中する。


 後ろから気配。


 よく知る者の。


「円ちゃん、今連絡が入ったよ」


 種の声を受けゆっくりと目を瞑った。


「・・・・・・そうか」


 呟き、天を見上げて瞼を開けた。


「じゃあ、いよいよ始めるの、だ」


 前を向く。


 ゆっくり歩く。


 周囲に一気に気配が増した。


 一人、二人、三人、四人・・・・・・。


 黒い影が、私と種を囲む。


 私が歩くとそれらは同時に付き進む。


「その人形は姉御の、だ」


 決意を口に。


「返してもらう、ぞ」

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