↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/177

おや、これはどういう事でしょう(対リスト編 其の二)

 こんにちは、蓮華です。 


今、私達がいるのは。


 収容所、最下層。


 多くのレベルブレイカーが収監されている場所。


「貴方やドールコレクターは最も奥で閉じ込められていましたが・・・・・・」


 コツコツと三つの足音が響く。


「実は、ここにはさらに奥があります」


 電子制御の扉、その最後が開く。


「・・・・・・どういうことなの、だ」


 一つの部屋。


 その中は。


「お姉ちゃん、なにもないよ」


「・・・・・・確かにここにあったんですよ。厳重に保管されていた」

 

 ドールコレクターが作った人形。


「・・・・・・最後に見たのはいつなの、だ?」


「なにぶん私は部屋からも中々出ませんのでね。二年前か、それとも三年前か」


 本当ははっきり覚えてますがそんなのどうでもいいこと。


「その間、誰かが持ち出したって事なの、だ」


「蓮華お姉ちゃん、心当たりはないの?」


「そうですね、心当たりといいますか、まずここに入れる者は非常に限られます」


 入管履歴は事細かく記録されてますし、調べればどこの誰が何回入ったか分かるでしょう。 

 しかし、それは正式は手続きを踏んだ場合ですがね。


「となると考えられるのは・・・・・・」



  ◆


「まだ用意できないのか!」


 サーリスは憤りを隠せない。


 自分達は今までどんな要望にも迅速で応えて来た。


 なのに、今回は時間が掛かりすぎている。


 この商売、信頼が命。


「依頼人は首を長くして待っておられるっ! もっと小鳥たちを放てっ! プシュケー、ソーマ、お前らが人員を指揮しろっ! そして必ず持ち帰ってこいっ!」


 サーリスの両隣の男達が軽く頷く。


 プシュケー、リストでもっとも古株、サーリスの信頼も厚い。立派な口ひげが特徴の寡黙な男。


 ソーマ、サーリスの甥。しかし血筋で片腕になった訳ではない、優秀さを自らサーリスに認めさせたからだ。手段は問わず、これまで期待に応えてきた。 銀縁眼鏡の目つきは少々きつい。


 普段、部下に任せるだけの二人が動く事になる。



      ◆


 床は血で赤く染まる。


 歩くたび靴に血がこびり付き水滴が垂れる。


 チョッキン、チョッキン。


 死体の山を掻き分けて一歩、一歩、踏み出す。


「わ、分かったっ! も、もう、お前の、か、か・・・・・・あぎゃあああああああああああぁ」


 両目にハサミが突き刺さる。


「まだ、まだだよ」


 少女はさらにその柄に力を込めて。


「まずはこれが終わりの始まり」


 ブザーが鳴り響いた。



     ◇



 人形は完成されなかった。


 両の目は閉じている。


 中には何もない。


 ドールコレクターと呼ばれた少女は諦めたのか。


 いや、そんなはずはない。


 完成させたくてもできなかったのだ。


 作者の少女がもしその後見合うものを見つけたとしても。


 それは叶わない。


 だって、人形はここにあるのだから。



     ◆



 一人の男が吊されている。


 麻袋を被せられそこからは血が滲んでいる、体からは滴る。


「こいつ本当に知りませんぜ」


「・・・・・・ちゃんと関係してたのか」


 銀縁眼鏡のソーマは床の血だまりを見つめながらそう問いかける。


 周囲には部下の黒服が五人。


「執行局の職員で、当時人形回収に同行してました」


「しかし、その後どこに運ばれたかは知らないの一点張り」


「それを知る可能性がある人物を吐いたには吐いたのですが・・・・・・」


 その人物自身から聞き出すのはほぼ不可能。


 そうなると相当上まで登らないと情報は得られそうにもない。


「できるだけ事を荒げたくはない。他に人形回収に関わった職員を調べろ、後釜に納まってる可能性もある」


 ソーマは静かにそう指示するが内心は焦りに満ちていた。


 同時に、古株プシュケーも動いている。


 組織は一枚岩ではない。


 叔父のサーリスはまだ元気とはいえ高齢には違いない。


 近い将来引退する可能性もある。


 これは丁度いい機会でもある。

 ここで有能さを見せつけておけばいづれ訪れる後継者問題も有利に進むだろう、と。



      ◇



 こんにちは、シストです。


 ここはアジトの一つ。


 全メンバーに加え、奥にはゾディファミからニルヴァーナ、右腕ベアトリスの二人。


 さらには。


「いいわね。これは決定事項よぉ」


 僕達の前に立つヴィセライーターこと、僕の母さん。

 隣には血色の瑞雀さん。


「・・・・・・ママ、それはパパの指示なの?」


 タシイが神妙な面持ちで問う。


「そうよぉ。だからみんな従いなさい」


 細い目から覗く冷たい瞳。


 反論は許されない。


 そう言わんばかりの。


「・・・・・・お言葉ですが、アタシ達のボスはシストくんだ。親だか何だか知りませんけど貴方に指図される覚えはありませんね」


 ここで意見をいえるのは流石だと思う。


 他のメンバーは母さんを前に萎縮しまくっている。


 でも、目黒さんだけは視線をしっかり合わせてそう告げた。


「・・・・・・え、なになによく聞こえなかったわぁ~」


 微笑。

 

 その場が凍りつく。


 僕を先頭に、すぐ横にいるタシイ、目黒さん。


 その目黒さんに向かってゆっくり近づいて行く。


「もう一度、はっきり、聞こえるように、近くで、言ってもらえないかしらぁああああああ」


 二人の間を手で遮る。


「まぁまぁ、母さん落ち着いてよ。目黒さんは当然の事を言ったまでだ。殺人鬼連合は僕が纏めているんであって、父さんも母さんも関係ない」


 立ち位置はそのままで視線だけが僕に移った。


「そうねぇ、なら貴方の口から指示しなさい」


 母さんは普段僕達にはとても優しいけど、怒ると手がつけられない。


「分かったよ。じゃあ、みんなそういう事で」


 ここで断ればこの場は血深泥になるだろう。


 僕とタシイ以外の全員が死ぬ。


「・・・・・・僕達もシストきゅんの頼みなら実行しよう。でも、勘違いしないで欲しい、あくまでシストきゅんのためであって、貴方のためじゃないから」


 人の皮を繋ぎ合わせたマスクをかぶるニルヴァーナの声が母さんに向けられる。


「・・・・・・なんなの貴方。いちいちそんな事言わなくてもいいわぁ。私は誰にも頼んでないの。手伝いたきゃ好きにしなさい」


 折角抑えたのに、また母さんの神経を逆撫でするような事を。


「・・・・・・マスター、あれはともかく横の赤髪は相当厄介です。私でも守り切れるかどうか」


「ふ~ん、ベアトリスがそういうならこれ以上からかうのは控えよう」


 奥の二人が耳元で囁き合った。


 そして、大げさに手を広げて僕の方に腰を落とした。


「ともかく僕達の行動はシストきゅん次第だ、遠慮無く頼ってくれ」


 見返りが怖いから余り手を借りたくはないけれど。


 仮に父さんの言う事を聞くならば。


 ゾディファミの力は必要になる。



     ◆ 



 一人の男が椅子に縛られている。


 周囲には複数の人影。


 男の前にはテーブル。


 腕はその上に押さえ付けられながら突き出され。


「で?」


 鉈が振り下ろされる。


「いぎゃゃあああああいあああああああああああああ」


 手首が飛び落ちる、真っ二つ。


「で?」


 さらに振り落とす。


「ひあああがああっがああああああああああああああ」


 男の腕がどんどん短くなる。


「で?」


「ああ、あああぁあ、知らない、けど、あ、あれ、捕まえた、人形を作ったやつ、そ、それは、知ってるっ」


 プシュケーがそれを聞いて手を上げる。


 やめろの合図。


「接触してるか。なら可能性はある」


 手を下ろして。


「で? その者の名は?」


 降ろした手。


 再開の合図。


「ぎゃうあぅがあああああぁああああぁああああああああああっああ」


 輪切りになる。


「次は左手だぞ?」


「ひ、ひ、く、詳し、くは知らな、い、でも女っ! 若い、女っ!」


 プシュケーは考える。


 人形の作者を追い詰め捕まえたなら今叫んでいるこいつよりは有益な情報を持っているだろう。


「チョリスゥウウウウウウウウウウ」


「おふぅっ!」


 名を呼ばれた大柄な男が息を荒げてドスドスと足音を立てる。


「こいつはもういい、遊んでいいぞ」


「お、お、おふぉぉおおっ!」


 歓喜の声を上げて。


 喉切りチョリスが牛刀を取り出した。


 チョリスの仕事は名前の通り。


 それでも喉を切るのはまだまだ先。 



◆



 ういうい、円なの、だ。


「くちゅんっ!」


「ん、円ちゃん、風邪かな?」


 いや、馬鹿は風邪をひかないから違うの、だ。


 しかし、ノイズ、震え。


 目の前に死体の山が一瞬見えた。


 この高鳴り。


 間違いない。


「うくく、いい風なの、だ」


 人をいっぱい殺せる予感。

 とりあえず今は募金くらいしかできませんね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。