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なんか、世界は不思議に溢れているみたい。

おはようございます、リョナ子です。


朝、職場の門を潜り中に入ろうとした時だった。


「ん、蟲盛さん?」


 建物の奥に人影。


 近づいて見ると、案の定蟲盛さんだった。


「おはようございます。また、なにか見てるんですか?」


「あぁ、リョナ氏か。おはよう。何を見ているか、それはあれだよ」


 見上げる先。


 そこには、蜂が巣作りをしている最中だった。


 まだ、作り始めたばかりといった感じで小さい。


「不思議だと思わんか、あの六角形、ハニカム構造というが、もっとも効率のいい形であり耐久性も兼ね備えている。蜂はそれを知っているのだ」


「はぁ、確かに」


「他にも、サバンナのシロアリの巣なども、激しい昼夜の温度差に堪えられるような構造になっており中は非常に快適だ」


「ほえー、そうなんですか」


「そしてツムギアリは、幼虫の吐き出す糸を利用して葉をだな・・・・・・」


 あ、これ長くなるやつだ。


 特級拷問士の人達はそれぞれ得意分野があったりする。


 ドク枝さんもそうだけど、この手の話に及ぶと話は止まらなくなるのだ。


「あ、そういえば、蟲盛さん、今日はあれでした、ましろちゃんが見学にいくみたいですね。丁度、僕も時間があくので一緒に見てもいいでしょうか?」


 時間も時間なので話の腰をぽっきりと折る。


「ん、あぁ。そうだったか。まし氏が来るんだったな。リョナ氏は彼女の直属先輩だ、かまわんよ」


「ありがとうございます! では、後ほどっ!」


 他の特級の拷問は、合同執行でしか中々見られないからね。


 勉強にもなるし機会があればこうして見学はしたい。



 午後。


 黒ニャンと白ニャンのお面をかぶった僕とましろちゃんは蟲盛さんの部屋に出向いた。


「失礼します、リョナ子です」


「ましろですっ! 今日はよろしくお願いいたします!」


 部屋に入ると、執行の準備はある程度整っていた。


「うん、よろしく」


 蟲盛さんは、青く美しい蝶の仮面をつけており。


罪人はすでに手足が椅子に拘束されていた。


「さっそく始めよう。レベルは3。罪人、23歳女性。掛け持ちしていた別のアルバイト先へ抜け出すために誘拐されたと上司に虚偽の連絡をいれる。それにより警察は40人体勢で捜査、結果、偽計業務妨害と」


「うわー・・・・・・」

「なぜ、こんなすぐバレる嘘を・・・・・・」


 こういう仕事をしてると信じられないような事件も多い。


「人は嘘をつくが、虫も例外ではない。アリグモ、イワガネグモなどは他の昆虫の姿に似せたりするし、そもそも木や花、葉っぱなどに擬態する種も多い、そして・・・・・・」


「よし、始めましょうっ!」


 話の腰を折るっ!


「ん、そうか。では、こやつには精神的執行を行うとしよう」


 蟲盛さんは、そういうと罪人の頭に四角い透明なケースを被せた。


「これは虫籠を改造した物だ。下の穴から頭を中に入れる。そして本来の入り口からは・・・・・・」


 奥のケースから何かをピンセットで取り出す。


 そこに挟まれていたのは・・・・・・。


「うわっ」

「ひっ」


 オオスズメバチ。


 ご存じ世界最大級の毒蜂。


 で、でかい。


「これを数匹、この中に入れる事にする」


 言葉通り、続けて数匹、この罪人の顔が入ったケースにオオススメバチを離した。


「ひ、ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」


 これには罪人も驚愕した。


「お、暴れないでくれたまえよ。蜂が刺激されて刺してしまうかもしれないぞ」


 馬鹿でかい蜂が、目の前を行き来する。

 たまに鳴らす羽音が本気で怖い。


「や、やぁあああああああああああ、とっ、とってああああああああああ」


 これはやばい。


 親指ほどある蜂が、眼前に何匹もいる。


 あぁ、その内の一匹が顔に向かっていく。


「ふぎゃああああああああああああああああああああああああ」


 女は気が狂いそうだ。目には涙を浮かべる。

 されど、頭は振れない、そんな事したら中の蜂も暴れちゃうからね。


「ごめんなさいっ! もうあんな嘘は二度とっ! ああああああああああああああああ」


 女の頬を登っていくオオススメバチ。


 何分たっただろう。


 女はいつの間にか気を失っていた。


「ま、こんなものか。これでこの執行は終わりとしよう」


「お疲れ様でした。いやー流石です。こんな執行本当ごめんですね」


「お、お疲れ様でした。凄まじい執行でした。ですが、これ大丈夫なんですか? もし刺した場合アナなんとかショックで死んでしまうのでは・・・・・・」


 なるほど、ましろちゃんは心配なんだね。

 執行レベルが3であるのに、もし間違えたら死んでしまうような執行をしたことに。


 それは杞憂だよ。


 だって、蟲盛さんは特級拷問士で虫のスペシャリスト、そんなミスはするはずがない。


「アナフィラキシーショックか。確かにスズメバチに刺された場合、その危険性はある。だが、今回その心配は全くないのだよ。なんせ、この蜂は刺さないのだから」


「え、そうなんですか?」


「うむ、このケースに入れたオオスズメバチは全て雄だ。毒針は生殖器が変化したものだから刺すのは雌だけなのだよ」


 うん、そういう事なのさ。


「刺すというのは嘘だ。嘘つきの執行には丁度よかろう」


 

 続いて次の執行が始まる。 


 今度の罪人はすでに手を上で縛られた後吊されていた。


「罪状、暴行罪。夫が起きないと熱湯をかけて重度の火傷を負わせたとしてレベルは4」


「うわぁ」

「なぜ、こんなやり方を・・・・・・」


 結構歳をとってる夫婦みたいだけど、暴力は日常茶飯事だったみたいだね。

 

「痛みには痛み。こちらには肉体的なダメージを与えよう」


 蟲盛さんが次に取り出したのは。


 これも蜂であった。


「今度は紛れもなく刺す蜂だ」


 青みがかかった黒。これまたでかい種だね。


「オオベッコウバチ。タランチュラさら捕食する大きな蜂。そしてシュミット指数というものがある。これは痛みに関する指数なのだが、ハナバチで1、スズメバチで2、そしてこのオオベッコウバチのシュミット指数は最大の4だ」


 皮肉にも執行レベルと同じ。


「では刺そうか」


 蟲盛さんはピンセットで挟んだオオベッコウバチを罪人に近づけていく。


 そして。


「あぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 絶叫。


 これがシュミット指数最大4の痛み。


「そ~れ、もう一回」


「ふがやあああああああああああああああああああああああああああああ」


 もう一度言おう、これがシュミット指数最大4の痛みだ。


 そういや、以前もなんとかアリってので執行してたね。

 あれはいくつだったのだろうか。


「リョナ子さん、これも死ぬ事はないんですよね・・・・・・」


 罪人の異常すぎる叫びを聞いて、ましろちゃんが聞いてきた。


「勿論だよ。蟲盛さんは自分で痛みを体験してるからね、これもちゃんと計算されているはずさ・・・・・・」


 多分だけど。


 こうして、僕達はとても有意義な勉強会を終えたのであった。


「今日はとてもいい勉強になりました。さすがベテランの特級は違いますね」


「そうだね。でも、今回は比較的低レベルの執行だったけど。今度は高レベルの執行も見てみるといい。蟲盛さんの高レベル執行はかなりエグいから」


 想像するだけでも身の毛がよだつ。


 殺菜ちゃんの執行は言うまでもないし。


「結局、どの特級に当たっても地獄だよ」


 僕もその一員として負けないようにしないとね。


「さて、今度は僕らの番だ」


 今日も各部屋から悲鳴が漏れるだろう。

 蟲盛さんの高レベル執行は機会があれば。


蟻をつかった執行書いた気がするんですが、本家の何話だったか。。

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