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うん、御招待しましょう。

 あ、リョナ子ではありません。

こんにちは、シストです。


ここはアジトの一つ。


 今日は不定期で行われる我ら殺人鬼連合、会合の日。


「シストさん、今度ここに連れてきたい人がいます」


 そう僕の前で告げたのは。


 学生服を着た丸眼鏡の少女、奏(かなで)。


 普段はどこか落ち着きがなくオドオドしている彼女だったが。


 今はとても凜としていた。



 アダムキラー奏。極度の男嫌いで、いつも周囲に目を見張らしているのは近くに男がいないか確認しているため。


 この殺人鬼連合のメンバーにも男はいるが、奏は喋る事も目を合わせる事もない。


 そんな奏も僕の前ではとても自然に振る舞っていた。


「そうか、奏の好きにするといいよ」


「ありがとうございます」


 理由は聞かない。


 ここに誰かを招きたい。


 それが意味する事は一つ。


◇


 

 奏です。流翠坂女学園の二年生です。


 ここはとても落ち着きます。


 だって、生徒、教師、なにもかも女性しかいないから。


 私が唯一緊張しないで済む空間。


 この学園内での私は普通の学生。


 友達とふれあい、笑いあい、学びあい。


 

 私には最近新しい友達が出来ました。


 少し前に転校してきた子です。


 本を読んでいた私に声をかけてきたのがキッカケで、彼女もまた本が好きだったのです。


 いつも明るく、可愛い子。


 でも、時折悲しい顔を浮かべていました。


 放課後はよく一緒に遊びました。


 そろそろ帰る時間だと告げても、彼女はもう少しだけと私を引き留めます。


 今思うと彼女は帰りたくなかったのかと、自分の家へ。


 帰るべき場所、本来一番安らぐ空間。


 そこへ戻りたくなかった理由は。


「奏ちゃん、実は私・・・・・・」


 出会って数ヶ月後、やっと彼女は私に心を開いてくれました。


 彼女は語ります。深呼吸しながらゆっくりと。

 

 実の父親に日常的な暴力を振るわれていること。


 前の学校で助けを求めて、一度は児童相談所で保護されたが、父親の求めで保護が解除になり家に戻された事。


 彼女が勇気を振り絞って書いた虐待の内容を綴った書面が、教育委員会を通じて父親に渡ったこと。


 それのせいで虐待がエスカレートしてしまったこと。


「奏ちゃん・・・・・・私、どうすれば・・・・・・」


 彼女は泣いていました。普段は明るく弱音を見せない彼女が。


 本来、守ってくれるべき行政がよりにもよって重大な不作為を起こし虐待を助長させたのです。


 当初どんな想いでこの子は助けを求めたか。


 とんでもない恐怖の中、それを強い気持ちで訴えたのに。


「ありがとう・・・・・・私に話してくれて」


 彼女が今度は私に助けを求めました。


 行政が、大人が、なんの役にも立たないのなら。


 私が動きましょう。



 シストさんに話しました。


詳しい内容は伏せて、ただ一言だけ。


 一般人をここに招いていいかと。


 私達のアジトは誰にも知られてはならない。


知られる訳にはいかない。


 それでもここに呼んだのは。


 

 深い井戸がある。


 底が見えないほどの暗い暗い穴。


 でも音はしてる。


 バチャバチャと。


 底では口を開けた獰猛な何かが今か今かと待っていた。


 投げ込まれたら最後。


 水はすぐに真っ赤に。


 鋭い牙を持つ幾つもの何かがそこにはいて。


 グチャグチャに、千切れ、喰われ。


 もう元の形は分からない。



 広い空間に椅子が二つ。


 手足を縛られ固定されているのは二人の男。


 目や口も塞がれ、ただただ震えていました。


「お~、奏、そいつらが招待客か」


 バールを持ったタシイさんが男達に近づいて行きます。


 タシイさんの問いにコクリと頷き。


「そうか、そうか」


 そういうとタシイさん徐にバールを振り上げ。


「むぐああああああああああああああああああああ」


 男の手の甲にバールを振り下ろしました。


 尖った釘抜き部分が甲を貫通、男は布越しから悲鳴を漏らしたのです。


「あ、私、最初に顔の皮剥いでいいっすかね?」


 紅子ちゃんがとてもはしゃぎながら男の顔にナイフを突きつけます。


 スキンラバーと呼ばれる紅子ちゃんは顔を剥ぐのが大好き。


 でも、今は目と口に布があるから綺麗には剥がせません。


「こうやって、切り込みをいれて、手で一気に・・・・・・」


「ひやあああああああああああああああ」


 それでも、むりやり毟り取る。

 乱暴にはぎ取った顔の一部が床に投げ捨てられました。


「今回は、嗜好品じゃないからアタシも適当でいいや~」


 目黒さんの千枚通りが目隠しされた布越しごと眼球に突き刺さり。


「ああが、あががああ、あがああああああが、あふあはうあ」


 そのまま、グリグリ動かし楽しみます。


 上、上、下、下、右、左、右、左、そして。


「がああうぁあぃあああ、ああああああ」


 今度はもう片方を突き刺しました。


「男じゃ効果ないのよね」


 そう言ったのは素っ裸にコートだけを羽織る女性、ヌードナチュラルの薫子さん。彼女は男の耳をさっと切り取ると、そこからポタポタ流れ落ちる血を、口を開いて味わいます。


「じゃあ、俺も」「待て待て、こっちが先だ」


 殺人鬼連合、男のメンバー達もなにかやり始めましたが見ないようにしたので何をしたかは分かりません、ただ大きな呻き声が次々と上がりました。


 啄む。10の鳥が血にまみれたクチバシで我先にと獲物を囲み啄む。

 


 この方々に善悪はない。


 ただ欲望だけ。


 人を殺したいという理由だけがそこにはあった。


 だから、ここで椅子に縛られているのが誰であろうと関係ない。


 男だろうが、女だろうが、老人だろうが、子供だろうが。


 善人だろうが、悪人だろうが・・・・・・。


 メンバーごとの趣向こそありますが、最後は殺したいという欲求のみが残ります。


 

 私はただ猛獣の縄張りに餌を投げ込んだだけです。


 後はかってに喰らってくれる。


 鈍い音が何度も響き、その度悲鳴。

 刃物が肉を切り裂く音、それは聞こえませんが、代わりに悲鳴。

 突き刺す音、剥がす音、抉る音、同じく聞こえませんが、とにかく悲鳴。


 そして、猛獣はこの人達だけではありません。


「本当は見るのも嫌なんですけど」


 大きな刃物を両手に持って。


 私の丸い眼鏡が光った。


「ああが、あばあ、ああはうあ。ああああ、ういやあ、やめえああああ、あもあいっだ」 


 刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した。


「い、あ・・・・・・、あ・・・・・・」


 反応はもう鈍く。

 

 声も小さく。  


でも。


刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した、刺した。


「奏、もう死んでる、仕上げだ」


 もう全身真っ赤に染まった二人の男に、火の花が、つんと鼻を掠める液体を全身に浴びせて。


 直後、周囲が綺麗なオレンジ色を放つ。


 業火に巻かれる男達。


 どんどん体は黒くなっていく。


 消し炭に。


「・・・・・・もう、これじゃ男か女か分かりませんね」


 そんな姿を見て、私はちょっとだけ笑った。

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