ういうい、ゲーム七本勝負、対博士編なの、だ。(不定期)
ういうい、円、だ。
今、私はレンレンの指示である場所に来ておる。
詳細は分からぬが国家機関の一つである研究所のようだった。
「これはこれは、ようこそおいで下さいました、ワシがここの所長である博士三郎です」
「そして私が博士の助手である助手志麻子でございます」
白衣を纏った老人と若い眼鏡の女性が現れたのだ。
「うむ、私は円なの、だ。ここには上司であるレンレンに言われたままに来たの、だ。で、一体なにをすればいいの、だ?」
二人の眼鏡がなぜか光った。
「ワシ共は、ここであるゲームを開発してましてな。ご存じの通り、この国のゲーム産業は今危機的状況にありますじゃ。海外に押されつつある今の現状を打開し、かつての威厳と威信を取り戻っ、げほら、げほだがあっ!」
「あぁ、博士、あまり興奮なさると、また死にかけます」
「か、かまわん、ワシももう長くはない、ワシの目が黒いうちに再びっゲーム大国としてのっ・・・・・・げほらりっ」
博士が口を押さえて、何かを吐いた。
まさか、血!?
「博士っ! うわ、きちゃないっ」
いや、ただの涎だ!
「あー、そろそろいいか、なの、だ。で、結局なにをすればいいの、だ?」
「円殿にはワシ達が作ったゲームのデバッグをしてもらおうと思うのじゃっ!」
「ふふふ、作ったゲームのジャンルは複数あります。その全てをプレイしてもらいたいのです」
デバッグ、たしかバグとかを事前にプレイする事で見つけたいするやつなの、だ。
「ついでに難易度や、その他ゲーム環境なども円様の意見を聞いて調整したいと思っております。始めの難易度はかなり高めに設定しておりますので、プレイ内容を見て徐々に下げていこうかと・・・・・・」
「まぁ、基本死ゲーのようなもんですじゃ、多分今日の今日でのクリアは不可能、なので気にせずいっぱい死んでもらって・・・・・・」
言いかけた博士の言葉を遮るように。
「博士、難易度高めの死ゲーと言ったが・・・・・・・・・・・・」
私もゲーマーとしてのプライドがあるの、だ。
「別に一発でクリアしてしまってもいいのだろう?、なのだ」
不敵に笑う私と。
何故かまた光る眼鏡。
「ほう、構いませんが、果たしてできるじゃろかの~?」
こうして私達の長い戦いが今幕を開けたのだった。
切り裂き円 対博士&助手、国家プロジェクトゲーム七本勝負。
まず私はベッドに寝かされ、頭とか体に色々装置をつけられたの、だ。
「ワシ達のゲームは基本全て仮想空間で行われますのじゃ、この最初のゲーム、クリミナルスレイヤーもその一つ、ジャンルはローグライクっ!」
ローグライク、やるたびにダンジョンなり敵なりが変化するタイプのゲームなの、だ。
「詳しい説明はゲーム内でしますのじゃ、とりあえずゲーム起動っ!」
七色の光。
意識が遠のく、いや移動するといった感覚に近いか。
乗り物に乗りながら外の景色を見ているような・・・・・・。
◇
目を開けたとき、私はたしかに地面に足をつけていたの、だ。
「どうじゃ、視界のほうは?」
「ここは・・・・・・」
狭く、薄暗い室内。
目の前には一人の男。
「毎回部屋には敵が一人配置されてますじゃ、まずは倒してくだされ」
痩せ干せた男、頭の上にネームが浮かんでおる。
レベル1、下着泥棒。
「きょえええええええええ、パンツよこせぇええええええええええ」
突然襲ってきたの、だ。
「せいっ!」
私は素手だったが、カウンターで蹴りを顔面に食らわせた。
「ぱんつああああああ」
あっさりやられる敵。
「うむ、とりあえず倒しましたな、そうすると、倒した敵の上にアイコンが表示されますじゃ」
倒れた男を見る、たしかに変なウインドウが浮かんでおる。
「敵を倒すと三つの枠が出てきますじゃ、そこには武器、能力、がランダムで表示されております。円殿はその内の一つを選んで先にどんどん進んでもらうのじゃ」
「ほう、選べるのは一つか、ならば最初は・・・・・・」
アイコンはナイフのマーク、靴のマーク、鉄アレイのマーク。
それぞれのアイコンの下に説明文がある。
ナイフは武器、靴はスピードアップ、鉄アレイは攻撃力アップと書かれてあったの、だ。
「まずは武器か。このナイフをもらうの、だ」
ナイフを選ぶと、私の手に光るナイフが現れた。
武器にはレベル表示があり、これは1。
「この先同じ武器のアイコンを選ぶとレベルが上がっていき形状などが変化しますのじゃ、他のスキルも同様に能力が向上していきますが、所持できる武器や能力にも限りがありますので選択もまた攻略の鍵となりましょう」
「なるほど、こんな感じで自身を強化しつつゴールを目指すの、だな。面白い、必ず初見クリアしてやるの、だ」
「ほほほほ、それは楽しみですじゃ、では先に進んでもらいますかの」
扉は二つ、好きな方に進めるの、だ。
◇
「博士、いよいよ我らが集大成、国家七大ゲームプロジェクトの序章が始まりましたね」
「そうじゃの、まずは第一の刺客、ローグライクじゃ。ちなみに全部で100室あるこのゲームでワシが一番最初のテストプレイでは15室で死んだ」
「私は10室でした。キリ番は一応ボス扱いでしたので弱い武器や能力では突破は難しいかと」
「まぁ、この生意気な小娘もよくて10室前後じゃろうて」
「そろそろ、10室ですが・・・・・・むむむ、博士、むむむですっ!」
「ん~? なんと、これはむむむじゃっ!」
◇
ういうい、円、だ。
今、ゲーム内では9人倒して今10室目。
これがここまでの万引きおばさんや信号無視オヤジとはレベルが違うの、だ。
敵、レベル10、タバコポイ捨てあんちゃん。
「だおら~~~~~っ! ころっそ、あぁあああああ」
ライターだ、ライターと殺虫剤で火炎放射してきたの、だ。
「くそ、あつ、仮想現実なのに、あつっ!」
熱い、でもまぁ、ナイフを持った私の敵ではなかったの、だ。
「ぎゃああやああああああああああああああああああ」
特に苦戦せず倒したの、だ。
お、またナイフのマークがでたの、だ。
これでナイフのレベルが5に。
キラーン、ナイフが光る。
「おお?」
[ナイフが半覚醒しました! この先、手元を離れたナイフも再び手に復活します]
つまり、ナイフを投げたとしてもまた瞬時に手にまた新たなナイフが出てくると。
これは便利なの、だ。
さぁ、どんどん行くの、だ。
◇
「博士っ、あの子、最初の壁である10室を突破しましたよ、それも無傷でですっ!」
「助手子よ、慌てるでないっ! ここからどんどん敵は強くなっていくのじゃっ!」
「そうでした、通常プレイではよくて30室が限界」
「そうじゃ、元々このゲーム、死ぬ事で経験値を持ち帰れ、それで素のステータスを強化してまた最初から挑戦していく趣旨なのじゃ。そもそも初見プレイでクリアできるようには作られておらぬっ!」
「そうですよね、って、博士、およよですっ!」
「ん~? なんと、これは、およよじゃ!」
◇
ういうい、円、なの、だ。
今、30室の放火魔を倒したの、だ。
こいつ、口から10室のやつとは比べものにならないほどの炎を吐き出してきたので、全く近づく事ができなかったの、だ。
なので相手の間合いの外から、ナイフを永遠に投げ続けたの、だ。
筋力強化も取ってレベルを上げていたからナイフの投擲力もかなりあがっていたの、だ。
「う~ん、たしかに敵がどんどん強くなってそろそろきつくなってきたの、だ。これはいい武器かスキルを手にしなければそのうち詰みそうなの、だ」
◇
「博士、あいつ、30室も突破しましたよっ!」
「助手子よっ、狼狽えるでないっっ! ここからは本当に無理ゲーじゃっ!」
「そ、そうでした、この先は、もう武器の完全覚醒、および超レアスキルの所持がなければ詰みですっ!」
「そうじゃっ! 武器の最大レベルは10、さらにそこに特定の進化アイテムを取ることで完全覚醒でもう別物の性能になる、だが進化アイテムも超レアスキルも、その出現率はおよそ0.001%。本来繰り返しプレイでその出現確立を上げることでしかお目見えできない品物じゃっ!」
「そうですよね、って、博士、あわわですっ!」
「ん~? なんと、これはあわわじゃっ!」
◇
49室の誘拐犯を倒したの、だ。
結構ギリギリだったが、そのかいはあったというもの。
選択ウインドウが金色に光っておる。
「これはレアスキル、か。なになに・・・・・・ほう、これは」
◇
「博士、あのくそアマ、ついに80室までいきましたよ」
「助手子よ、一応、98、99、100室の敵は理論上勝てないようになっておる、だから大丈夫、の、はず、じゃ・・・・・・ごふあ、あぶあっあぶ」
「は、博士、大丈夫ですかっ!? これはこのままクリアされたら死ぬんじゃなかろうか」
「だ、大丈夫じゃ、100室のボスは、伝説の殺し屋レベル100。こやつの能力は凄まじい、相手の攻撃を100%カウンター、視鏡。1ターン38回行動、千手。単体に特大威力の万能属性攻撃、虹撃。確率で各種状態異常、魔草。一定確率での即死攻撃、死神。体力50%以下で使用してくる聖天使。これら超絶スキルと所持しておる」
「そうでしたっ! 確かにとんでもない超絶スキルですが・・・・・・」
「助手子よ、それ以上はもういい、なにもいわんで・・・・・・」
「あ、博士、あのアマ、いよいよ98室まで来ましたよ」
◇
ういうい、円、だ。
98室まで進んできたの、だ。
相手は元特殊部隊の犯罪組織の護衛。レベル98なの、だ。
普通に戦ったら苦戦するだろうが、私にはレアスキルがあるの、だ。
[完全洗脳、レベルマックス。いかなる相手も目を見るだけで何でも言う事を聞くようになる]
まずは相手の目を見て。
「自害するの、だ」
「はい」
瞬間、相手は自分のナイフで喉をかき切ったの、だ。
よし、クリア。
次もこれでいいの、だ。
◇
「博士、なんです、あの完全洗脳て。途中でこのゲーム終わったじゃないですか」
「助手子よ、ゲームには制作者の遊び心も必要なのじゃよ。まぁ普通はでないはずなんじゃよ、攻略サイトに書いてもガセ認定されるほどの出現率なのに」
「これで99室も素通りですね」
「待てっ! 100室のラスボスは仮面をつけておるっ! だから完全洗脳は無効じゃっ!」
「いや、でも、あのアマ、他にも出しましたよ、超絶レアスキル。後、武器も完全覚醒してるし、とっくに壊れてますから」
「うぐぐぐ・・・・・・ぐああふじゃだふうあああがあああ、あんながああああぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「あぁああ、博士も壊れたぁあああああ」
◇
ういうい、円、だ。
ついにラスボス、100室まで来たの、だ。
相手はなんか仮面をつけた伝説の殺し屋。レベル100。
攻撃力、防御力、精神力、速力、体力、女子力、全てカンスト。
所持スキル、虹撃、千手、魔草、視鏡、死神、聖天使。よく分からんが、ヤバそうなのばっかりなの、だ。
でも、ま、関係ないの、だ。こっちには完全洗脳が。
「自害するの、だ」
「シーン」
「む、こいつ効かないだと」
そうか、マスクつけてるから。でも視界は確保してるとは思うが。
まぁ、いいの、だ。
こっちは他にもスキルは持ち合わせてるの、だ。
切り裂き円。
攻撃力、防御力、精神力、速力、体力、姉御好き力、全てカンスト。
所持スキル、時間停止、完全洗脳、ベクトル操作、武器ナイフ完全覚醒[円卓]
「先手必勝なの、だ」
時間停止。
時計の針がグルグル回ったのちゆっくり止まるエフェクト。
今、このゲーム内で動けるのは私だけになったの、だ。
「円卓っ」
私の後ろの空間から無数のナイフが出現する。
「射殺すの、だ」
敵に指をさすと、一斉にナイフが高速で襲いかかる。
隙間のないほど突き刺さるナイフ。
そして・・・・・・。
「時は動き出すの、だ」
血飛沫が上がる。
敵が自らの血を浴びながら倒れていく。
「ゲームクリアなの、だ」
◇
「博士・・・・・・」
「助手子よ。ワシはもう・・・・・・パチンパチン」
「博士、博士ぇえ、まるでボスとリンクしていたかのように光と共に同時に・・・・・・うう」
「お取り込みのようだが、もういいか、クリアしたの、だ」
「この小娘、よくも博士をっ! いい気になるなよぉおおっ! ぶっ殺してやるっ!」
「うわ、なんだ急に、こいつ、こんなキャラだったか」
「助手子よ、やめるのじゃ、わしらの負けじゃ」
「博士、生きてましたか」
「円殿、今回は素直にワシ達の負けを認めよう、しかし、この先、第二、第三のゲームがお主を待ち構えておるのじゃっ」
「うくく、望むところなの、だ。どんなゲーム、どんなジャンルでもクリアしてみせるの、だ」
円と博士達の長い戦いはまだ終わらない。
戦いはこれから、だ!
一応、途中ですが真面目? なのも書いてます。
関係ないですが、今期やってる処刑少女の生きる道のオープニング歌ってるMiliは前から好きで推してます。使われるなんてめちゃくちゃ羨ましい。。